ゾーン停止からアプリケーションを保護するには、Hyperdisk Balanced High Availability ボリュームを使用して、同じリージョンにある 2 つのゾーン間でデータを同期的に複製します。同じボリュームにある複数のゾーンへの書き込みアクセスが必要な場合でも、Hyperdisk Balanced High Availability ボリュームを使用できます。このドキュメントでは、Hyperdisk Balanced High Availability の各種機能について説明します。
1 つの Hyperdisk Balanced High Availability ボリュームに対して最大で 100,000 IOPS と 1,200 MiB/秒のスループットを指定できます。Hyperdisk Balanced と Hyperdisk Balanced High Availability は、ブートディスクとして使用できる唯一の Hyperdisk タイプです。
新しい Hyperdisk Balanced High Availability ボリュームを作成するには、リージョン ディスクを作成して管理するをご覧ください。
Hyperdisk と他の Hyperdisk タイプの詳細については、Hyperdisk についてをご覧ください。
マシンシリーズのサポート
Hyperdisk Balanced High Availability は、次のマシンシリーズで使用できます。
ユースケース
高可用性とゾーン停止に対する復元力を必要とするアプリケーションでは、Hyperdisk Balanced High Availability を使用します。その例として以下が挙げられます。
- 高速なフェイルオーバーを必要とする高パフォーマンスのワークロード
- さまざまなゾーンにあるインスタンスからデータを同時書き込みするためのアクセスを必要とするワークロード
- 2 つのロケーションでのデータ レプリケーションに関して規制要件があるワークロード
- Microsoft SQL Server フェイルオーバー クラスタ インスタンス(FCI)
Hyperdisk Balanced High Availability ボリュームの障害対策
Hyperdisk Balanced High Availability ボリュームは、インスタント スナップショットと標準スナップショットでバックアップできます。スナップショットには、特定の時点における Hyperdisk Balanced High Availability ボリューム上のデータがバックアップされます。
不測の停止が発生した場合に備えてデータを保護するには、複数のゾーンと複数のリージョンにわたって Hyperdisk Balanced High Availability ボリュームのレプリケーションを有効にします。
複数のゾーンにわたる同期レプリケーション
Hyperdisk Balanced High Availability ボリュームのゾーン レプリケーションは同期レプリケーションとも呼ばれ、ボリュームのデータのレプリカを 2 つのゾーンに作成します。1 つのゾーンで一時的な停止が発生しても、他方のゾーンのレプリカを使用してデータを引き続き利用できます。ゾーン レプリケーションの詳細については、同期レプリケーションについてをご覧ください。
複数のリージョンにわたる非同期レプリケーション
非同期レプリケーションを有効にすると、リージョンが停止した場合にデータを保護できます。非同期レプリケーションは、別のリージョンのボリューム上にデータのコピーを保持します。たとえば、us-west1
の Hyperdisk Balanced ボリュームを保護するには、非同期レプリケーションを使用して、us-east4
リージョンのセカンダリ ボリュームにボリュームを複製します。us-west1
のボリュームが使用できなくなった場合は、us-east4
のセカンダリ ボリュームを使用できます。
ベースライン パフォーマンス
Hyperdisk Balanced ボリュームでは、追加料金なしで最大 3,000 IOPS と 140 MiB/秒のスループットを利用できます。140 MiB/秒を超えるプロビジョンド スループットと 3,000 IOPS を超えるプロビジョニングされた IOPS では追加料金が発生します。
Hyperdisk Balanced High Availability のプロビジョニングされたパフォーマンスについて
Hyperdisk ボリュームを作成するときにパフォーマンスをプロビジョニングする必要はありません。パフォーマンスをプロビジョニングしない場合、Compute Engine はデフォルト値でボリュームを作成します。この値は後で変更できます。デフォルト値の詳細については、IOPS とスループットのデフォルト値をご覧ください。
パフォーマンス要件がわかっている場合は、ボリュームを作成するときに Hyperdisk Balanced High Availability ボリュームの IOPS とスループットの上限を指定できます。ボリュームを作成した後で、これらのプロビジョニングした値を変更できます。サイズを指定しないと、IOPS もスループット レベルも指定できません。
サイズとパフォーマンスの上限
Hyperdisk Balanced High Availability ボリュームに指定できるサイズ、IOPS、スループットの値には、次の上限が適用されます。
- サイズ: 4 GiB~64 TiB。デフォルトのサイズは 100 GiB です。
- IOPS: 3,000~100,000 IOPS。320 GiB 未満のボリュームでは、指定できる IOPS 値の範囲がサイズによって異なります。詳細については、構成可能な IOPS の上限をご覧ください。
- スループット: 140~1,200 MiB/秒。ただし、プロビジョニングする IOPS の値に応じてスループットの値は異なります。詳細については、プロビジョニングされるスループットの上限をご覧ください。
構成可能な IOPS の上限
次の上限に従って、Hyperdisk Balanced High Availability ボリュームの IOPS 上限を選択できます。その最小値と最大値は、次のようにサイズによって異なります。
- 構成可能な最小 IOPS:
- 4 GiB または 5 GiB のボリューム: IOPS の値はそれぞれ 2,000 と 2,500 に固定されます。
- 6 GiB~64 TiB: 3,000 IOPS 以上。
- 構成可能な最大 IOPS:
- 6~249 GiB のボリューム: 式
MIN (500x or 3,000)
に従います。x
はボリュームのサイズ(GiB)です。 - 250 GiB~64 TiB のボリューム: 最大 100,000 IOPS。
- 6~249 GiB のボリューム: 式
一般的なボリューム サイズで構成可能な IOPS の上限を次の表に示します。この表にないサイズについては、前述の式を使用して、構成可能な最大 IOPS を計算します。
サイズ(GiB) | 構成可能な IOPS 値 |
---|---|
4 | 2,000 |
5 | 2,500 |
10 | 3,000~5,000 |
50 | 3,000~25,000 |
150 | 3,000~75,000 |
249 | 3,000~95,000 |
250 以上 | 3,000~100,000 |
構成可能なスループットの上限
容量が 4~5 GiB のボリュームの場合、スループットは固定値の 140 MiB/秒です。このサイズを超えるボリュームでは、スループットを追加でプロビジョニングできます。サポートされているスループット値の範囲は、プロビジョニングした IOPS によって異なり、次の式に基づきます。P
はプロビジョニングした IOPS 値です。
- 構成可能な最小スループット:
MAX (140, P/256)
MiB/秒 - 構成可能な最大スループット:
MIN (1200 MiB/s, P/4)
MiB/秒
プロビジョニングした IOPS 値とそれに対応するスループット範囲の上限を次の表に示します。この表にないサイズについては、上記の式を使用して許容値を計算します。
プロビジョニングした IOPS | 構成可能なスループット(MiB/秒) |
---|---|
2,000 | 140~500 |
2,500 | 140~625 |
3,000 | 140~750 |
4,000 | 140~1,000 |
8,000 | 140~1,200 |
32,000 | 140~1,200 |
50,000 | 156~1,200 |
64,000 | 250~1,200 |
3,000~100,000 | 140~1,200 |
3,000~100,000 | 250~1,200 |
デフォルトの IOPS 値とスループット値
Hyperdisk Balanced ボリュームを作成するときに IOPS またはスループットの上限を指定しないと、Compute Engine によってデフォルト値が割り当てられます。割り当てられる値は次の式に基づきます。x
はボリュームのサイズです。
- デフォルトの IOPS:
- 6 GiB 以下のボリューム:
500x
IOPS - 6 GiB~26.666667 TiB のボリューム:
6x + 3,000
IOPS - 26.666667 TiB より大きいボリューム: 100,000 IOPS
- 6 GiB 以下のボリューム:
- デフォルトのスループット
- 6 GiB 以下のボリューム:
140
MiB/秒 - 6 GiB より大きいボリューム:
1.5x + 140
MiB/秒
- 6 GiB 以下のボリューム:
- デフォルト サイズ: 100 GiB
プロビジョニングしたパフォーマンスまたはサイズを変更する
Hyperdisk Balanced High Availability ボリュームのプロビジョニングしたパフォーマンスとサイズは、4 時間に 1 回の頻度で変更できます。サイズまたはパフォーマンスを変更する方法については、Hyperdisk ボリュームを変更するをご覧ください。
インスタンスにアタッチした場合のパフォーマンスの上限
このセクションでは、Hyperdisk Balanced High Availability のパフォーマンス上限について説明します。1 つの Hyperdisk Balanced High Availability ボリュームに対して最大で 100,000 IOPS と 1,200 MiB/秒のスループットを指定できます。
次の表に、サポートされているインスタンスごとに Hyperdisk Balanced High Availability ボリュームで達成可能な最大パフォーマンスを示します。インスタンスにアタッチされた Hyperdisk Balanced High Availability ボリュームのパフォーマンスは、インスタンスのマシンタイプの上限を超えることはできません。パフォーマンスの上限は、各ボリュームのプロビジョニングされたパフォーマンスに関係なく、同じインスタンスにアタッチされているすべての Hyperdisk Balanced High Availability ボリューム間で共有されます。
複数の Hyperdisk Balanced High Availability ボリュームでパフォーマンスを向上させる
特定のインスタンスで、1 つの Hyperdisk Balanced High Availability ボリュームの最大パフォーマンス(100,000 IOPS または 1,200 MiB/秒)を超えることがあります。複数の Hyperdisk Balanced High Availability ボリュームをインスタンスにアタッチすると、インスタンスでこれらの上限を達成できます。
次の表のインスタンスのパフォーマンスの上限が 100,000 IOPS または 1,200 MiB/秒を超える場合、インスタンスがその上限を達成するには、複数の Hyperdisk Balanced High Availability ボリュームをアタッチする必要があります。たとえば、Hyperdisk Balanced High Availability を使用する c4a-*-72
インスタンスのパフォーマンスの上限は 240,000 IOPS と 5,000 MiB/秒です。この最大パフォーマンスを実現するには、少なくとも 5 つの Hyperdisk Balanced High Availability ボリュームをインスタンスにアタッチする必要があります。
パフォーマンスの上限は、カスタム N4 マシンタイプにも適用されます。
インスタンスのマシンタイプ | 最大 IOPS | 最大スループット(MiB/秒) |
---|---|---|
a3-highgpu-1g |
120,000 | 1,800 |
a3-highgpu-2g |
160,000 | 2,400 |
a3-highgpu-4g |
160,000 | 4,800 |
a3-highgpu-8g |
160,000 | 4,800 |
a3-edgegpu-8g |
160,000 | 4,800 |
a3-ultragpu-8g |
320,000 | 10,000 |
a3-megagpu-8g |
160,000 | 4,800 |
c3-*-4 |
25,000 | 400 |
c3-*-8 |
50,000 | 600 |
c3-*-22 |
100,000 | 600 |
c3-*-44 |
100,000 | 1,200 |
c3-*-88 |
100,000 | 2,500 |
c3-*-176 |
100,000 | 2,500 |
c3-*-192 |
100,000 | 2,500 |
c3d-*-4 |
25,000 | 400 |
c3d-*-8 |
50,000 | 600 |
c3d-*-16 |
100,000 | 600 |
c3d-*-30 |
93,750 | 600 |
c3d-*-60 |
100,000 | 1,900 |
c3d-*-90 |
100,000 | 2,500 |
c3d-*-180 |
100,000 | 2,500 |
c3d-*-360 |
100,000 | 2,500 |
c4a-*-1 |
25,000 | 400 |
c4a-*-2 |
50,000 | 800 |
c4a-*-4 |
50,000 | 800 |
c4a-*-8 |
50,000 | 1,000 |
c4a-*-16 |
80,000 | 1,600 |
c4a-*-32 |
120,000 | 2,400 |
c4a-*-48 |
160,000 | 3,300 |
c4a-*-64 |
240,000 | 4,400 |
c4a-*-72 |
240,000 | 5,000 |
m3-*-32 |
100,000 | 1,200 |
m3-*-64 |
100,000 | 2,500 |
m3-*-128 |
100,000 | 2,500 |
n4-*-2 |
15,000 | 240 |
n4-*-4 |
15,000 | 240 |
n4-*-6 |
15,000 | 240 |
n4-*-8 |
15,000 | 480 |
10~14 個の vCPU を備えたカスタム N4 マシンタイプ ( n4-*-10 、n4-*-12 、n4-*-14 など) |
15,000 | 480 |
n4-*-16 |
80,000 | 1,200 |
18~30 個の vCPU を備えたカスタム N4 マシンタイプ ( n4-*-18 、n4-*-24 、n4-*-30 など) |
80,000 | 1,200 |
n4-*-32 |
100,000 | 1,600 |
34~46 個の vCPU を備えたカスタム N4 マシンタイプ ( n4-*-34 、n4-*-42 、n4-*-46 など) |
100,000 | 1,600 |
n4-*-48 |
100,000 | 1,600 |
50~62 個の vCPU を備えたカスタム N4 マシンタイプ ( n4-*-50 、n4-*-58 、n4-*-62 など) |
100,000 | 1,600 |
n4-*-64 |
100,000 | 1,600 |
66~78 個の vCPU を備えたカスタム N4 マシンタイプ ( n4-*-66 、n4-*-72 、n4-*-78 など) |
100,000 | 1,600 |
n4-*-80 |
100,000 | 1,600 |
z3-*-88 |
160,000 | 4,800 |
z3-*-176 |
160,000 | 4,800 |
各リージョンでの Hyperdisk Balanced High Availability の使用可否
Hyperdisk Balanced High Availability は、次のリージョンで使用できます。
- 彰化県(台湾) -
asia-east1
- 東京(日本) -
asia-northeast1
- 大阪(日本) -
asia-northeast2
- ジュロンウェスト(シンガポール) -
asia-southeast1
- ムンバイ(インド) -
asia-south1
- シドニー(オーストラリア) -
australia-southeast1
- サンギスラン(ベルギー) -
europe-west1
- ロンドン(イギリス) -
europe-west2
- フランクフルト(ドイツ) -
europe-west3
- エームスハーヴェン(オランダ) -
europe-west4
- チューリッヒ(スイス) -
europe-west6
- ミラノ(イタリア) -
europe-west8
- パリ(フランス) -
europe-west9
- トリノ(イタリア) -
europe-west12
- マドリード(スペイン) -
europe-southwest1
- ドーハ(カタール) -
me-central1
- ダンマーム(サウジアラビア) -
me-central2
- テルアビブ(イスラエル) -
me-west1
- モントリオール(ケベック州) -
northamerica-northeast1
- トロント(オンタリオ州) -
northamerica-northeast2
- ケレタロ(メキシコ)-
northamerica-south1
- サンパウロ州オザスコ(ブラジル) -
southamerica-east1
- カウンシルブラフス(アイオワ州) -
us-central1
- モンクスコーナー(サウスカロライナ州) -
us-east1
- アッシュバーン(バージニア州) -
us-east4
- コロンバス(オハイオ州) -
us-east5
- ダラス(テキサス州) -
us-south1
- ザ ダルズ(オレゴン州) -
us-west1
- ラスベガス(ネバダ州) -
us-west4
Hyperdisk Balanced High Availability ボリュームを VM 間で共有する
目標復旧時間を 1 秒未満としたワークロード クラスタリングと高速高可用性(HA)フェイルオーバーを実現するには、同じ Hyperdisk Balanced High Availability ボリュームを複数のインスタンスにアタッチします。Hyperdisk Balanced High Availability ボリュームを複数のインスタンスに同時にアタッチすると、各インスタンスでは、そのボリュームへの書き込みアクセスが維持されます。ボリュームを複数のインスタンスにアタッチするには、各インスタンスがボリュームのレプリカと同じゾーンに存在する必要があります。
詳細については、VM 間でディスクを共有するをご覧ください。
料金
Hyperdisk Balanced High Availability ボリュームでは、そこでプロビジョニングした合計サイズ、IOPS、スループットに対し、そのボリュームを削除するまで課金が発生します。ボリュームをインスタンスに接続していない場合や、インスタンスを一時停止または停止している場合でも、料金が発生します。詳細については、ディスクの料金体系をご覧ください。
Hyperdisk Balanced High Availability の制限事項
- Hyperdisk Balanced High Availability ボリュームからマシンイメージを作成することはできません。
- マルチライター モードの Hyperdisk Balanced High Availability ボリュームには、このほかにも制限事項があります。
- Hyperdisk ボリュームのサイズとパフォーマンスは、4 時間に 1 回の頻度で変更できます。