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「日本人にはデブリーフィングはなじまない
 」と思っているのは指導員か?受講生か?

                                                     日本BLS協会
                                                        青木太郎




                                                      2013/3/7
               QuickTime˛ Ç∆
           H.264 êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ
ǙDZÇÃÉsÉNÉ`ÉÉÇå©ÇÈÇΩÇflÇ…ÇÕïKóvÇ≈Ç∑ÅB




                                         於:第5回日本医療教授システム学会
結論
•   シミュレーショントレーニングのデブリーフィン
    グにおいて学習効果を高める方法についてどのよ
    うに考えているかを調べた。

•   指導員は「半分程度の時間は指導員が喋るべきだ
    」と考えており、受講生は「指導員は4分の1程
    度喋ってくれれば十分だ」と考えていることが分
    かった。 p<0.05
背景


    定着する医療
シミュレーショントレーニング
背景   定着する医療
 シミュレーショントレーニング




                QuickTime˛ Ç∆
            H.264 êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ
 ǙDZÇÃÉsÉNÉ`ÉÉÇå©ÇÈÇΩÇflÇ…ÇÕïKóvÇ≈Ç∑ÅB
背景
    •   蘇生マネキンを使ったシミュレーショントレーニング

             •   直後のデブリーフィング




•
•   指導員が受講生に
    指導員が受講生に          •
                      •   受講生同士の振り返り
                          受講生同士の振り返り
    「講義」
    「講義」                  時間を多く取る
                          時間を多く取る
背景
    •   蘇生マネキンを使ったシミュレーショントレーニング

             •   直後のデブリーフィング


                 • 日本の文化にな
                 •
                 じむのか?

•
•   指導員が受講生に
    指導員が受講生に          •
                      •   受講生同士の振り返り
                          受講生同士の振り返り
    「講義」
    「講義」                  時間を多く取る
                          時間を多く取る
研究方法
       医療職 20 名に AHA-ACLS コースを実施
•
•    コース終了後に受講生に質問( 5 点法)
     コース終了後に受講生に質問( 5 点法)
••   学習効果を高めるためには、振り返りの時間に、指導員は何割くらい喋るとよいと
     学習効果を高めるためには、振り返りの時間に、指導員は何割くらい喋るとよいと
     考えるか?
     考えるか?




      PALS インストラクター 42 名に質問を実施
•
•    ( 5 点法)
     ( 5 点法)
••   学習効果を高めるためには、振り返りの時間に、指導員は何割くらい喋るとよいと
     学習効果を高めるためには、振り返りの時間に、指導員は何割くらい喋るとよいと
     考えるか?
     考えるか?
研究方法
  実際のデブリーフィング風景




                 QuickTime˛ Ç∆
             H.264 êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ
  ǙDZÇÃÉsÉNÉ`ÉÉÇå©ÇÈÇΩÇflÇ…ÇÕïKóvÇ≈Ç∑ÅB
学習効果が最大になるためには

結果   指導員が何%くらい喋ると良いでしょう?




 n=55  
学習効果が最大になるためには

結果       指導員が何%くらい喋ると良いでしょう?
 指導員の答え
                    受講生の答え

                       シナリオステーション終了後の振
                       シナリオステーション終了後の振
                       り返りの時間の使い方について指
                       り返りの時間の使い方について指
                       導員がしゃべっている時間の長さ
                       導員がしゃべっている時間の長さ
                       に注目した。
                       に注目した。

                       指導員は47%は喋るべきだと考
                       指導員は47%は喋るべきだと考
                       えている一方
                       えている一方
                       受講生は、26%程度喋ってくれ
 ±12.7                 受講生は、26%程度喋ってくれ
                       れば十分だと考えている
                       れば十分だと考えている
                       ことがわかった。
                       ことがわかった。
            ±12.4



 n=55  有意差 p<0.05
結論
•   シミュレーショントレーニングのデブリーフィン
    グにおいて学習効果を高める方法についてどのよ
    うに考えているかを調べた。

•   指導員は「半分程度の時間は指導員が喋るべきだ
    」と考えており、受講生は「指導員は4分の1程
    度喋ってくれれば十分だ」と考えていることが分
    かった。 p<0.05
考察
• 受講生同士によるデブリーフィング技法は、シミ
  ュレーショントレーニングに必須のものとして、
  欧米では研究が進んでいる。
• 主に国内の指導員から「受講生に喋らせるデブリ
  ーフィングなどという技法は日本の文化には合わ
  ない」という意見が散見されたが、受講生からは
  特に違和感を感じないという意見が得られた。
• 受講生は、指導員が考えているほどは指導員の話
  が学習に効果があるとは考えていない。
• むしろ、デブリーフィングに苦手意識があるのは
  国内の既存の指導員なのではないだろうか?
今後の課題
•   AHA コース以外のシミュレーショントレーニン
    グでも同様の結果が出るのか?

•   ブラインドテストが出来るように研究のデザイン
    を整えたい。

•   受講生は全員女性で看護師だった。指導員は全員
    医師だった。ジェンダーや職種による差を排除で
    きるようにしたい。
「日本人にはデブリーフィングはなじまない
 」と思っているのは指導員か?受講生か?




                                                   日本BLS協会
                                                      青木太郎
                                                      2013/3/7
                                         於:第5回日本医療教授システム学会
               QuickTime˛ Ç∆
           H.264 êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ
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  • 1. 「日本人にはデブリーフィングはなじまない 」と思っているのは指導員か?受講生か? 日本BLS協会 青木太郎 2013/3/7 QuickTime˛ Ç∆ H.264 êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉÇå©ÇÈÇΩÇflÇ…ÇÕïKóvÇ≈Ç∑ÅB 於:第5回日本医療教授システム学会
  • 2. 結論 • シミュレーショントレーニングのデブリーフィン グにおいて学習効果を高める方法についてどのよ うに考えているかを調べた。 • 指導員は「半分程度の時間は指導員が喋るべきだ 」と考えており、受講生は「指導員は4分の1程 度喋ってくれれば十分だ」と考えていることが分 かった。 p<0.05
  • 3. 背景 定着する医療 シミュレーショントレーニング
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  • 5. 背景 • 蘇生マネキンを使ったシミュレーショントレーニング • 直後のデブリーフィング • • 指導員が受講生に 指導員が受講生に • • 受講生同士の振り返り 受講生同士の振り返り 「講義」 「講義」 時間を多く取る 時間を多く取る
  • 6. 背景 • 蘇生マネキンを使ったシミュレーショントレーニング • 直後のデブリーフィング • 日本の文化にな • じむのか? • • 指導員が受講生に 指導員が受講生に • • 受講生同士の振り返り 受講生同士の振り返り 「講義」 「講義」 時間を多く取る 時間を多く取る
  • 7. 研究方法 医療職 20 名に AHA-ACLS コースを実施 • • コース終了後に受講生に質問( 5 点法) コース終了後に受講生に質問( 5 点法) •• 学習効果を高めるためには、振り返りの時間に、指導員は何割くらい喋るとよいと 学習効果を高めるためには、振り返りの時間に、指導員は何割くらい喋るとよいと 考えるか? 考えるか? PALS インストラクター 42 名に質問を実施 • • ( 5 点法) ( 5 点法) •• 学習効果を高めるためには、振り返りの時間に、指導員は何割くらい喋るとよいと 学習効果を高めるためには、振り返りの時間に、指導員は何割くらい喋るとよいと 考えるか? 考えるか?
  • 8. 研究方法 実際のデブリーフィング風景 QuickTime˛ Ç∆ H.264 êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉÇå©ÇÈÇΩÇflÇ…ÇÕïKóvÇ≈Ç∑ÅB
  • 9. 学習効果が最大になるためには 結果 指導員が何%くらい喋ると良いでしょう? n=55  
  • 10. 学習効果が最大になるためには 結果 指導員が何%くらい喋ると良いでしょう? 指導員の答え 受講生の答え シナリオステーション終了後の振 シナリオステーション終了後の振 り返りの時間の使い方について指 り返りの時間の使い方について指 導員がしゃべっている時間の長さ 導員がしゃべっている時間の長さ に注目した。 に注目した。 指導員は47%は喋るべきだと考 指導員は47%は喋るべきだと考 えている一方 えている一方 受講生は、26%程度喋ってくれ ±12.7 受講生は、26%程度喋ってくれ れば十分だと考えている れば十分だと考えている ことがわかった。 ことがわかった。 ±12.4 n=55  有意差 p<0.05
  • 11. 結論 • シミュレーショントレーニングのデブリーフィン グにおいて学習効果を高める方法についてどのよ うに考えているかを調べた。 • 指導員は「半分程度の時間は指導員が喋るべきだ 」と考えており、受講生は「指導員は4分の1程 度喋ってくれれば十分だ」と考えていることが分 かった。 p<0.05
  • 12. 考察 • 受講生同士によるデブリーフィング技法は、シミ ュレーショントレーニングに必須のものとして、 欧米では研究が進んでいる。 • 主に国内の指導員から「受講生に喋らせるデブリ ーフィングなどという技法は日本の文化には合わ ない」という意見が散見されたが、受講生からは 特に違和感を感じないという意見が得られた。 • 受講生は、指導員が考えているほどは指導員の話 が学習に効果があるとは考えていない。 • むしろ、デブリーフィングに苦手意識があるのは 国内の既存の指導員なのではないだろうか?
  • 13. 今後の課題 • AHA コース以外のシミュレーショントレーニン グでも同様の結果が出るのか? • ブラインドテストが出来るように研究のデザイン を整えたい。 • 受講生は全員女性で看護師だった。指導員は全員 医師だった。ジェンダーや職種による差を排除で きるようにしたい。
  • 14. 「日本人にはデブリーフィングはなじまない 」と思っているのは指導員か?受講生か? 日本BLS協会 青木太郎 2013/3/7 於:第5回日本医療教授システム学会 QuickTime˛ Ç∆ H.264 êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉÇå©ÇÈÇΩÇflÇ…ÇÕïKóvÇ≈Ç∑ÅB