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October 2019
森・濱田松本法律事務所
パートナー弁護士 増 島 雅 和
保険業界における業務効率化のためのAI活用と
保険金支払業務
Copyright © 2019 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 1‐
<自己紹介>
増 島 雅 和(ますじま まさかず)
森・濱田松本法律事務所 パートナー弁護士
2001 弁護士登録
2006 米国ウィルソン・ソンシーニ法律事務所(シリコンバレーオフィス)
2007 ニューヨーク州弁護士登録
2010 金融庁監督局銀行第一課(RRP担当)兼保険課
日経CSISバーチャルシンクタンク・フェロー
イニシアチブ: 金融の力で我が国産業構造のイノベーションを加速する“Startup Innovators”主宰
http://startupinnovators.jp/
2013 経済産業省 新事業創出支援関係者会議 委員
2015 IMF外部カウンセル(米国FSAP:金融破綻処理法制担当)
日本クラウドファンディング協会理事、日本ベンチャーキャピタル協会顧問、FINOVATORS代表、
日本ブロックチェーン協会アドバイザー、ブロックチェーン推進協会アドバイザー 等
2016 経済産業省 FinTech研究会 ブロックチェーン研究会 委員
内閣官房IT総合戦略本部 シェアリングエコノミー検討会合 委員
全銀協オープンAPIのあり方に関する検討会 委員
2017 経済産業省 ブロックチェーン法制度検討会 委員
経済産業省 研究開発型ベンチャー企業と事業会社の連携加速に向けた調査検討会 委員
2018 内閣府 革新的事業活動評価委員会 委員
特許庁 経営における知的財産戦略有識者会合 委員
経済産業省 ブロックチェーン技術を活用したコンテンツビジネスに関する検討会 座長代理
2019 総務省 AIインクルージョン推進会議 委員
内閣府 デジタル市場競争会議WG 委員
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保険金等支払業務の位置づけ
保険事業の必要不可欠・基本的かつ最も重要な機能としての支払業務
 保険金支払いについては、保険募集のように保険業法に個別の行為規範が定められているわけではない。
 2005年に発生した「保険金不払い問題」を契機に、監督指針において重厚な保険金等支払管理態勢の整備が要
請されている。
監督上問題となる事例
不適切な不払い 正当な理由に基づかずに支払いを拒否する
支払い漏れ 明示的な請求がないものの支払事由に該当するものについての支払いが行われない
請求勧奨漏れ
特定の支払事由につき請求があった場合に、同様に該当する可能性のある支払事由に基づく請
求を顧客に案内しない
商品性や請求方法について、保険会社が顧客に対して情報優位にある場面における、
顧客保護の観点から保険会社に求められる態勢
監督指針II-4-4-2 「保険金等支払管理態勢」
適時・適切な保険金等の支払いを行っていくことは、保険会社として保険 事業を行っていく上で必要不可欠な基本的かつ最も重要な機能であり、自己 責
任原則に基づく適切な経営管理機能の発揮のもとで、自主ガ イドラインも踏まえつつ、適切な支払管理態勢の構築が求められている。
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保険金等支払業務の位置づけ
顧客保護と同時に、顧客による悪用から保険機能を守るための仕組みが必要
 顧客の属性や支払事由の存否・状況について、保険会社が顧客に対して情報劣位にあることにより、顧客に保険の
機能を不正利用されてしまうことが起こりうる。
ー 保険詐欺(不正請求)
ー マネーロンダリング/犯罪資金供与(反社会的勢力による利用を含む)
ー 税逃れ
保険料算出基礎を含む保険基盤の弱体化や国家財政基盤の弱体化、社会の安定に対する脅威と戦うことが、
金融機関たる保険会社に求められている
保険監督者国際機構(IAIS)Insurance Core Principle 21
• 保険詐欺は、詐欺を働く当事者またはその他の当事者が利益を得ることを目的とする欺瞞行為または不作為である。
• 保険詐欺は、多くの形式をとる可能性があり、保険に携わる当事者(保険者、保険者の管理職および職員、仲介者、会計士、監査役、顧問、損害
査定人、第三者保険金請求者および保険契約者等)により行われる可能性がある。
• 詐欺は、すべての金融セクターに深刻なリスクをもたらす。保険詐欺によ り、風評および財政上の被害が及び、社会的および経済的費用が生じる。
• 詐欺行為により生じる損失は、保険者の利益に影響を及ぼし、保険者の財務健全性に影響を及ぼす可能性もある。その埋め合わせのため、保険者は
保険料を上げることになり、結果として保険契約者の費用負担が大きくなる。
• 詐欺は、個々 の保険者、保険グループ、保険セクターおよび、潜在的には、さらに広範に経済の 安定性に対して影響を及ぼす可能性がある。
• 保険者および仲介者は、詐欺に対する脆弱性について理解し、それを最小限に抑えるための措置を講じる必要がある。
• 金融市場の統合の高まりや国際的に活動する保険者および仲介者の数の増加により、詐欺およびその潜在的な世界規模の影響は、国際的なレベル
で対処すべき重要な問題となっている。
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保険金等支払業務の位置づけ
顧客による保険体験のなかに、顧客保護の仕組みと保険機能の悪用防止の仕組みをどのように組み込むか?
 顧客保護態勢としての保険金支払管理の問題と、保険機能悪用防止の問題は別のものとして位置づけがち
ー 観点や規制における位置づけが異なる
ー ソリューションとして提供されるシステムが異なる
ー 会社内における担当部署が異なる
 さらに、保険金支払管理・不正請求防止の問題は保険金支払部門の話であるとして位置づけがち
 顧客から見れば、一連の保険体験のなかの一部としての位置づけであり、規制体系上の位置づけや社内システム、社内担当部門など
関係ない
 データの観点から見ても、マーケティング、契約手続き、期中保全、支払手続きを通じて、顧客はデータを吹き出し続けており、顧客が
吹き出すデータの統合的なマネジメントができれば、行うべき支払いを行い、行うべきではない支払いを行わないという事務処理を確率
論の問題として処理することができる
支払管理の問題も不正請求の問題も、「いかに顧客を知るか」という課題の中に位置づけるというアプローチが、
デジタル時代における正しいアプローチ
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保険金等支払業務の位置づけ
マーケティングから支払いまで一貫してマネージされた顧客データと、過去支払事例、ベンダーサービスを結合
マーケティング 募集プロセス 契約保全 保険金支払
グループ会社
サービスデータ
本人確認 告知
他社サービス
連携データ
ID付与
グループ会社
サービスデータ
他社サービス
連携データ
顧客
エンゲージメント
(自社アプリ/サービス、
契約確認、更新
etc)
顧客
エンゲージメント
(自社アプリ/サービス、
契約確認、更新
etc)
紐付け
事故受付 請求 査定 支払
自社事例
データ
他社連携
データ
(スコアリング/不
正請求検知)
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不正請求管理の実務
不正請求管理の必要性を正しく理解する
2014年 2015年 2016年 2017年
件数 168件 177件 158件 160件
人数 379人 275人 333人 346人
被害額 4億3,278万円 2億6,595万円 3億4,267万円 3億1,424万円
日本における交通特殊事件における保険金詐欺の取締状況(警察白書より)
 Hard fraudとSoft fraudを含む保険詐欺の実態を正確に把握することは難しい
ー 表に出ている統計資料は、Hard Fraudのうちの一部であり氷山の一角
 Soft Fraudと正常な保険金請求の区別は表面上、とても難しい
• 請求者が有責事案と思い込んでいる
• 十分に精査せずに保険金を請求
 各国における保険金請求額の占める不正請求の額は推計で約10%といわれている
 日本においてのみ(soft fraudを含む)不正請求の額が小さいと考える根拠はどこにもない
 日本損害保険協会では、2013年に通報窓口「保険金不正請求ホットライン」を設定、一部の保険種目において保険
会社間で保険金請求歴、不正請求歴を共有する制度をスタート(保険金請求歴につき2018年に全種目に拡大)
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不正請求管理の実務
不正請求の理論を理解することは、不正請求に対処するうえで重要な第一歩
IAIS “Application Paper on Deterring, Preventing, Detecting, Reporting and Remedying Fraud in Insurance”
(2011.9)
ー ICP 21 (Countering fraud in insurance and the accompanying standards and guidance)の具体的な適用方法に関するガイダンス
 保険詐欺には3つの類型が存在
ー Internal Fraud: 社内人材が社内・社外の第三者と共謀して保険会社から保険金を詐取する類型
ー Policyholder Fraud/Claims Fraud: 顧客が単独または第三者と共謀して商品購入時または支払時に保険会社から保険金を詐取する類型
ー Intermediary Fraud: 仲介者が保険会社または顧客から金銭を詐取する類型
 保険詐欺の発生要因(Fraud Triangle)
ー motive/incentive: 当事者の資金繰り、実現不可能な事業目標に対する重圧等の不正を働く背景・動機の存在
ー opportunity: 発見される可能性が低い等の不正を働く機会の存在
ー rationalization: 不正を働くことについて正当化しようとする心理的プロセスの存在
• 「保険料を支払っているのだから保険金をもらえて当然」という感覚
• 「この程度であれば他の人もやっている」という感覚
• 保険会社に対する悪感情
• 知人から教えてもらって真似する
※ 社会一般が「不正請求は被害者がいない犯罪である」という認識となってしまうことも、不正請求が高まる要因となるとされている。
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不正請求管理の実務
不正請求の理論を理解することは、不正請求に対処するうえで重要な第一歩
 不正請求の当事者には2種類のプロファイルがある
ー 機会主義的な不正請求者
• 規範意識が低い
• 保険会社に対して支払った保険料を取り返すことは許されると考える
ー プロの不正請求者
• 犯罪により生計を立てている
• 検知されるまで不正請求を行い、多数の保険会社を渡り歩く
• 組織的犯罪集団の構成員
• 得られた金銭を他の犯罪実行のための資金に用いる
 不正請求行為の類型
• 虚偽の損害・損失を報告
• 損害・損失を過大に報告
• 事故が免責事由に該当しないよう不正確な事故報告をする
• 被害者について事実を偽る
• 劇場型の不正請求
※ 他者名義契約など、他の不正との組み合わせによって生じることもある
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不正請求管理の実務
体制整備の前提として、保険会社は、不正請求という事象に対する組織として正しい「認識」を持つことが必要
 ICP 21とその適用文書の存在にもかかわらず、監督指針には、不正請求に対する言及がほぼない
 監督指針に書かれていないことはやらなくてもよいということを意味しないことは当然として、不正請求を防止するための態勢を整備する
にあたって、保険会社の経営における不正請求の位置づけと認識を世界の標準に合わせておく必要がある
 リスクの種類としてはオペレーショナル・リスクの一つとして位置づけられる
ー 不正請求に対する支払いによる損失の発生
ー 不正請求の温床であるとみなされることによるレピュテーション低下による損失の発生
ー 保険会社/保険業界が経済社会の荒廃に加担していると社会からみなされることによる保険制度の信頼性の低下
 態勢整備にあたっての前提となる、不正請求に対する組織としての認識
• 迅速な保険金支払とのトレード・オフの関係に立ちうることを認識する
• 保険業界に対する信頼維持に対する会社の責任を認識する
• 不正請求は顧客からの保険会社に対するレピュテーションに直結することを認識する
 リスクの管理のための枠組みは、いわゆるRisk based approachを採用
ー 特定:自社の提供している保険商品によって、どのような不正請求のパターンが考えられるかを特定する
ー 予防:特定された不正請求のパターンを予防するための管理態勢を策定する(規程、組織、システム)
ー 検知:態勢を適切に機能させることによって不正請求を検知する
ー イテラティブ・プロセス:PDCAを適切に回し、不正請求サイドの流行や手口の高度化に対応して態勢のアップデートと強化を図る
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不正請求管理の実務
入口と期中における不正請求管理態勢の概要
 保険商品開発において、不正請求/不正加入の観点からのリスク評価を実施
ー 約款の条件設定の仕方によって、不正請求のプロを呼び寄せてしまったり、不正請求を動機付けてしまったりすることがある
ー 条件設定そのものを見直すという対応のほか、発生するリスクを引受管理、契約者管理、支払管理の工程でコントロールするための
仕組みを持つことで対応する、ということも可能
<引受管理によるコントロールの例>
• 保険商品ごとに、購入が想定される顧客属性をカテゴリカルに特定
• カテゴリーごとに想定される契約条件のレンジを設定
• 商品と想定顧客の組み合わせと異なる顧客に対する商品販売に際しては、その後に契約・顧客を要管理先に位置づけ
 厳格な本人確認手続きを走らせることも併せて実施
 引受管理プロセスの中に、上記のコントロールプロセスを実装し、自動化するためのシステムを導入・統合
 自社の不正請求予防方針についての顧客とのコミュニケーション戦略を立案
• 不正請求予防方針を開示
• 契約時に顧客に説明/既存顧客とのエンゲージメント活動のなかで広報
• 不正請求であることが判明した場合の結果についてのコミュニケーションを募集・期中管理の段階から行っておく
 保険金支払によって売上が立つことになるサードパーティについてのデータベースを整備
 医者、弁護士、修理業者 etc.
実績に応じたデータ分析の結果を活用して上記の設定を
定期的に見直し
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不正請求管理の実務
不正検知システムは、不正請求管理態勢全体の中での出口における態勢をシステム的に補助するもの
 マネロン・テロ資金供与リスク管理態勢のために導入するテクノロジーに、さまざまな種類のものがあるのと同様、不正検知
のテクノロジーにもさまざまなものが存在する。
データベース検索
把握済みの不正請求者をデータベース検索し、過去の不正請求情報と照合して常習性を検知することで、不正請求該当性判断の正
確性を期する。
通話内容解析
事故受付におけるオペレータへの電話に際しての会話内容から、不正請求者が使用する特定の単語・フレーズ、声のトーン等により不正
請求該当性に関する徴表を分析する。オペレータに対してシステムが警告することで、オペレータが不正請求用の応答マニュアルに切り替
える。オペレータは疑わしい請求フラグを立てて後工程に送る。
アノマリー分析 類似する保険金請求事案を比較し、異常点や金額の齟齬を検証することで水増し事案を検知する。
テレメトリデータ分析 テレマティクス装置に蓄積されるデータを事故状況の特定に使用することで、事故偽装や過大請求を抑止する。
ネットワークリンク分析
人、場所、アカウント、企業、電話番号、ナンバープレート等の大量データからこれらのデータ間の相関関係を発見し、不正請求の可能性
についてのレーティングを実施する。
 不正検知はパターン認識の問題なので、パラメータの調整を人が行う従来型の機械学習(ML)のほか、ニューラルネッ
トによる深層学習(DL)にも技術適合性が高いと見られる。
ー マネロン・テロ資金供与対策にディープラーニング技術を導入して成果を出している事例があり、不正請求の検知も基
本的には同様の構造にある以上、ディープラーニング技術がパワーを発揮することが可能な領域と考えられる。
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連絡先
弁護士 増 島 雅 和
森・濱田松本法律事務所
tel. 03.5220.1812
email. masakazu.masujima@mhmjapan.com

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  • 2. Copyright © 2019 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 1‐ <自己紹介> 増 島 雅 和(ますじま まさかず) 森・濱田松本法律事務所 パートナー弁護士 2001 弁護士登録 2006 米国ウィルソン・ソンシーニ法律事務所(シリコンバレーオフィス) 2007 ニューヨーク州弁護士登録 2010 金融庁監督局銀行第一課(RRP担当)兼保険課 日経CSISバーチャルシンクタンク・フェロー イニシアチブ: 金融の力で我が国産業構造のイノベーションを加速する“Startup Innovators”主宰 http://startupinnovators.jp/ 2013 経済産業省 新事業創出支援関係者会議 委員 2015 IMF外部カウンセル(米国FSAP:金融破綻処理法制担当) 日本クラウドファンディング協会理事、日本ベンチャーキャピタル協会顧問、FINOVATORS代表、 日本ブロックチェーン協会アドバイザー、ブロックチェーン推進協会アドバイザー 等 2016 経済産業省 FinTech研究会 ブロックチェーン研究会 委員 内閣官房IT総合戦略本部 シェアリングエコノミー検討会合 委員 全銀協オープンAPIのあり方に関する検討会 委員 2017 経済産業省 ブロックチェーン法制度検討会 委員 経済産業省 研究開発型ベンチャー企業と事業会社の連携加速に向けた調査検討会 委員 2018 内閣府 革新的事業活動評価委員会 委員 特許庁 経営における知的財産戦略有識者会合 委員 経済産業省 ブロックチェーン技術を活用したコンテンツビジネスに関する検討会 座長代理 2019 総務省 AIインクルージョン推進会議 委員 内閣府 デジタル市場競争会議WG 委員
  • 3. Copyright © 2019 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 2‐ 保険金等支払業務の位置づけ 保険事業の必要不可欠・基本的かつ最も重要な機能としての支払業務  保険金支払いについては、保険募集のように保険業法に個別の行為規範が定められているわけではない。  2005年に発生した「保険金不払い問題」を契機に、監督指針において重厚な保険金等支払管理態勢の整備が要 請されている。 監督上問題となる事例 不適切な不払い 正当な理由に基づかずに支払いを拒否する 支払い漏れ 明示的な請求がないものの支払事由に該当するものについての支払いが行われない 請求勧奨漏れ 特定の支払事由につき請求があった場合に、同様に該当する可能性のある支払事由に基づく請 求を顧客に案内しない 商品性や請求方法について、保険会社が顧客に対して情報優位にある場面における、 顧客保護の観点から保険会社に求められる態勢 監督指針II-4-4-2 「保険金等支払管理態勢」 適時・適切な保険金等の支払いを行っていくことは、保険会社として保険 事業を行っていく上で必要不可欠な基本的かつ最も重要な機能であり、自己 責 任原則に基づく適切な経営管理機能の発揮のもとで、自主ガ イドラインも踏まえつつ、適切な支払管理態勢の構築が求められている。
  • 4. Copyright © 2019 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 3‐ 保険金等支払業務の位置づけ 顧客保護と同時に、顧客による悪用から保険機能を守るための仕組みが必要  顧客の属性や支払事由の存否・状況について、保険会社が顧客に対して情報劣位にあることにより、顧客に保険の 機能を不正利用されてしまうことが起こりうる。 ー 保険詐欺(不正請求) ー マネーロンダリング/犯罪資金供与(反社会的勢力による利用を含む) ー 税逃れ 保険料算出基礎を含む保険基盤の弱体化や国家財政基盤の弱体化、社会の安定に対する脅威と戦うことが、 金融機関たる保険会社に求められている 保険監督者国際機構(IAIS)Insurance Core Principle 21 • 保険詐欺は、詐欺を働く当事者またはその他の当事者が利益を得ることを目的とする欺瞞行為または不作為である。 • 保険詐欺は、多くの形式をとる可能性があり、保険に携わる当事者(保険者、保険者の管理職および職員、仲介者、会計士、監査役、顧問、損害 査定人、第三者保険金請求者および保険契約者等)により行われる可能性がある。 • 詐欺は、すべての金融セクターに深刻なリスクをもたらす。保険詐欺によ り、風評および財政上の被害が及び、社会的および経済的費用が生じる。 • 詐欺行為により生じる損失は、保険者の利益に影響を及ぼし、保険者の財務健全性に影響を及ぼす可能性もある。その埋め合わせのため、保険者は 保険料を上げることになり、結果として保険契約者の費用負担が大きくなる。 • 詐欺は、個々 の保険者、保険グループ、保険セクターおよび、潜在的には、さらに広範に経済の 安定性に対して影響を及ぼす可能性がある。 • 保険者および仲介者は、詐欺に対する脆弱性について理解し、それを最小限に抑えるための措置を講じる必要がある。 • 金融市場の統合の高まりや国際的に活動する保険者および仲介者の数の増加により、詐欺およびその潜在的な世界規模の影響は、国際的なレベル で対処すべき重要な問題となっている。
  • 5. Copyright © 2019 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 4‐ 保険金等支払業務の位置づけ 顧客による保険体験のなかに、顧客保護の仕組みと保険機能の悪用防止の仕組みをどのように組み込むか?  顧客保護態勢としての保険金支払管理の問題と、保険機能悪用防止の問題は別のものとして位置づけがち ー 観点や規制における位置づけが異なる ー ソリューションとして提供されるシステムが異なる ー 会社内における担当部署が異なる  さらに、保険金支払管理・不正請求防止の問題は保険金支払部門の話であるとして位置づけがち  顧客から見れば、一連の保険体験のなかの一部としての位置づけであり、規制体系上の位置づけや社内システム、社内担当部門など 関係ない  データの観点から見ても、マーケティング、契約手続き、期中保全、支払手続きを通じて、顧客はデータを吹き出し続けており、顧客が 吹き出すデータの統合的なマネジメントができれば、行うべき支払いを行い、行うべきではない支払いを行わないという事務処理を確率 論の問題として処理することができる 支払管理の問題も不正請求の問題も、「いかに顧客を知るか」という課題の中に位置づけるというアプローチが、 デジタル時代における正しいアプローチ
  • 6. Copyright © 2019 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 5‐ 保険金等支払業務の位置づけ マーケティングから支払いまで一貫してマネージされた顧客データと、過去支払事例、ベンダーサービスを結合 マーケティング 募集プロセス 契約保全 保険金支払 グループ会社 サービスデータ 本人確認 告知 他社サービス 連携データ ID付与 グループ会社 サービスデータ 他社サービス 連携データ 顧客 エンゲージメント (自社アプリ/サービス、 契約確認、更新 etc) 顧客 エンゲージメント (自社アプリ/サービス、 契約確認、更新 etc) 紐付け 事故受付 請求 査定 支払 自社事例 データ 他社連携 データ (スコアリング/不 正請求検知)
  • 7. Copyright © 2019 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 6‐ 不正請求管理の実務 不正請求管理の必要性を正しく理解する 2014年 2015年 2016年 2017年 件数 168件 177件 158件 160件 人数 379人 275人 333人 346人 被害額 4億3,278万円 2億6,595万円 3億4,267万円 3億1,424万円 日本における交通特殊事件における保険金詐欺の取締状況(警察白書より)  Hard fraudとSoft fraudを含む保険詐欺の実態を正確に把握することは難しい ー 表に出ている統計資料は、Hard Fraudのうちの一部であり氷山の一角  Soft Fraudと正常な保険金請求の区別は表面上、とても難しい • 請求者が有責事案と思い込んでいる • 十分に精査せずに保険金を請求  各国における保険金請求額の占める不正請求の額は推計で約10%といわれている  日本においてのみ(soft fraudを含む)不正請求の額が小さいと考える根拠はどこにもない  日本損害保険協会では、2013年に通報窓口「保険金不正請求ホットライン」を設定、一部の保険種目において保険 会社間で保険金請求歴、不正請求歴を共有する制度をスタート(保険金請求歴につき2018年に全種目に拡大)
  • 8. Copyright © 2019 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 7‐ 不正請求管理の実務 不正請求の理論を理解することは、不正請求に対処するうえで重要な第一歩 IAIS “Application Paper on Deterring, Preventing, Detecting, Reporting and Remedying Fraud in Insurance” (2011.9) ー ICP 21 (Countering fraud in insurance and the accompanying standards and guidance)の具体的な適用方法に関するガイダンス  保険詐欺には3つの類型が存在 ー Internal Fraud: 社内人材が社内・社外の第三者と共謀して保険会社から保険金を詐取する類型 ー Policyholder Fraud/Claims Fraud: 顧客が単独または第三者と共謀して商品購入時または支払時に保険会社から保険金を詐取する類型 ー Intermediary Fraud: 仲介者が保険会社または顧客から金銭を詐取する類型  保険詐欺の発生要因(Fraud Triangle) ー motive/incentive: 当事者の資金繰り、実現不可能な事業目標に対する重圧等の不正を働く背景・動機の存在 ー opportunity: 発見される可能性が低い等の不正を働く機会の存在 ー rationalization: 不正を働くことについて正当化しようとする心理的プロセスの存在 • 「保険料を支払っているのだから保険金をもらえて当然」という感覚 • 「この程度であれば他の人もやっている」という感覚 • 保険会社に対する悪感情 • 知人から教えてもらって真似する ※ 社会一般が「不正請求は被害者がいない犯罪である」という認識となってしまうことも、不正請求が高まる要因となるとされている。
  • 9. Copyright © 2019 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 8‐ 不正請求管理の実務 不正請求の理論を理解することは、不正請求に対処するうえで重要な第一歩  不正請求の当事者には2種類のプロファイルがある ー 機会主義的な不正請求者 • 規範意識が低い • 保険会社に対して支払った保険料を取り返すことは許されると考える ー プロの不正請求者 • 犯罪により生計を立てている • 検知されるまで不正請求を行い、多数の保険会社を渡り歩く • 組織的犯罪集団の構成員 • 得られた金銭を他の犯罪実行のための資金に用いる  不正請求行為の類型 • 虚偽の損害・損失を報告 • 損害・損失を過大に報告 • 事故が免責事由に該当しないよう不正確な事故報告をする • 被害者について事実を偽る • 劇場型の不正請求 ※ 他者名義契約など、他の不正との組み合わせによって生じることもある
  • 10. Copyright © 2019 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 9‐ 不正請求管理の実務 体制整備の前提として、保険会社は、不正請求という事象に対する組織として正しい「認識」を持つことが必要  ICP 21とその適用文書の存在にもかかわらず、監督指針には、不正請求に対する言及がほぼない  監督指針に書かれていないことはやらなくてもよいということを意味しないことは当然として、不正請求を防止するための態勢を整備する にあたって、保険会社の経営における不正請求の位置づけと認識を世界の標準に合わせておく必要がある  リスクの種類としてはオペレーショナル・リスクの一つとして位置づけられる ー 不正請求に対する支払いによる損失の発生 ー 不正請求の温床であるとみなされることによるレピュテーション低下による損失の発生 ー 保険会社/保険業界が経済社会の荒廃に加担していると社会からみなされることによる保険制度の信頼性の低下  態勢整備にあたっての前提となる、不正請求に対する組織としての認識 • 迅速な保険金支払とのトレード・オフの関係に立ちうることを認識する • 保険業界に対する信頼維持に対する会社の責任を認識する • 不正請求は顧客からの保険会社に対するレピュテーションに直結することを認識する  リスクの管理のための枠組みは、いわゆるRisk based approachを採用 ー 特定:自社の提供している保険商品によって、どのような不正請求のパターンが考えられるかを特定する ー 予防:特定された不正請求のパターンを予防するための管理態勢を策定する(規程、組織、システム) ー 検知:態勢を適切に機能させることによって不正請求を検知する ー イテラティブ・プロセス:PDCAを適切に回し、不正請求サイドの流行や手口の高度化に対応して態勢のアップデートと強化を図る
  • 11. Copyright © 2019 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 10‐ 不正請求管理の実務 入口と期中における不正請求管理態勢の概要  保険商品開発において、不正請求/不正加入の観点からのリスク評価を実施 ー 約款の条件設定の仕方によって、不正請求のプロを呼び寄せてしまったり、不正請求を動機付けてしまったりすることがある ー 条件設定そのものを見直すという対応のほか、発生するリスクを引受管理、契約者管理、支払管理の工程でコントロールするための 仕組みを持つことで対応する、ということも可能 <引受管理によるコントロールの例> • 保険商品ごとに、購入が想定される顧客属性をカテゴリカルに特定 • カテゴリーごとに想定される契約条件のレンジを設定 • 商品と想定顧客の組み合わせと異なる顧客に対する商品販売に際しては、その後に契約・顧客を要管理先に位置づけ  厳格な本人確認手続きを走らせることも併せて実施  引受管理プロセスの中に、上記のコントロールプロセスを実装し、自動化するためのシステムを導入・統合  自社の不正請求予防方針についての顧客とのコミュニケーション戦略を立案 • 不正請求予防方針を開示 • 契約時に顧客に説明/既存顧客とのエンゲージメント活動のなかで広報 • 不正請求であることが判明した場合の結果についてのコミュニケーションを募集・期中管理の段階から行っておく  保険金支払によって売上が立つことになるサードパーティについてのデータベースを整備  医者、弁護士、修理業者 etc. 実績に応じたデータ分析の結果を活用して上記の設定を 定期的に見直し
  • 12. Copyright © 2019 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 11‐ 不正請求管理の実務 不正検知システムは、不正請求管理態勢全体の中での出口における態勢をシステム的に補助するもの  マネロン・テロ資金供与リスク管理態勢のために導入するテクノロジーに、さまざまな種類のものがあるのと同様、不正検知 のテクノロジーにもさまざまなものが存在する。 データベース検索 把握済みの不正請求者をデータベース検索し、過去の不正請求情報と照合して常習性を検知することで、不正請求該当性判断の正 確性を期する。 通話内容解析 事故受付におけるオペレータへの電話に際しての会話内容から、不正請求者が使用する特定の単語・フレーズ、声のトーン等により不正 請求該当性に関する徴表を分析する。オペレータに対してシステムが警告することで、オペレータが不正請求用の応答マニュアルに切り替 える。オペレータは疑わしい請求フラグを立てて後工程に送る。 アノマリー分析 類似する保険金請求事案を比較し、異常点や金額の齟齬を検証することで水増し事案を検知する。 テレメトリデータ分析 テレマティクス装置に蓄積されるデータを事故状況の特定に使用することで、事故偽装や過大請求を抑止する。 ネットワークリンク分析 人、場所、アカウント、企業、電話番号、ナンバープレート等の大量データからこれらのデータ間の相関関係を発見し、不正請求の可能性 についてのレーティングを実施する。  不正検知はパターン認識の問題なので、パラメータの調整を人が行う従来型の機械学習(ML)のほか、ニューラルネッ トによる深層学習(DL)にも技術適合性が高いと見られる。 ー マネロン・テロ資金供与対策にディープラーニング技術を導入して成果を出している事例があり、不正請求の検知も基 本的には同様の構造にある以上、ディープラーニング技術がパワーを発揮することが可能な領域と考えられる。
  • 13. Copyright © 2019 Mori Hamada & Matsumoto All rights reserved.‐ 12‐ 連絡先 弁護士 増 島 雅 和 森・濱田松本法律事務所 tel. 03.5220.1812 email. masakazu.masujima@mhmjapan.com