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PRML勉強会(第8回)

                         坪坂 正志
                    Twitter @tsubosaka
             Mail: m{dot}tsubosaka@gmail.com

2009/10/24               PRML勉強会第8回            1
概要
• 6.4.5 ガウス過程による分類
      – ロジスティックシグモイド関数を利用
      – 解析的に解くのは難しい
             • ラプラス近似(6.4.6 今回解説)
             • 変分推論
             • EP法
• 6.4.6 ラプラス近似
      – 3回目(4.4,5.7)
      – あともう一回出ます(7.2.3)

2009/10/24               PRML勉強会第8回   2
[復習]ラプラス近似
• 確率分布         のモードを         としたときに、確
  率分布を                        と近似する方
  法
      –
• これは   を においてテイラー展開して、
  2次近似を行っていることに相当する。
• モードは適当な数値解析手法を用いて求め
  ることが多い

2009/10/24      PRML勉強会第8回              3
ロジスティック回帰(4.3.2)
•   2クラス
•   入力変数
•   特徴ベクトル
•   帰属確率




2009/10/24         PRML勉強会第8回   4
ガウス過程への拡張
•   2クラス
•   入力変数
•   特徴ベクトル
•   帰属確率




2009/10/24      PRML勉強会第8回   5
事前分布
• 図6.11




               ロジスティック変換



    ガウス過程からの                 変換結果
    サンプル




2009/10/24      PRML勉強会第8回          6
予測分布
•   訓練集合
•   観測値
•   テスト入力
•   目標変数値


予測分布                      を計算する


2009/10/24   PRML勉強会第8回           7
予測分布の計算
• 予測分布は式(6.76)で与えられる




•         をガウス分布による近似を求め
    てやれば式(4.153)の近似公式をつかって予
    測分布を求めることができる


2009/10/24     PRML勉強会第8回     8
の近似のアプローチ
• 変分推論 (Chapter 10.1)
      – ロジスティックシグモイド関数の局所的な変分近
        似(10.144)を利用
• EP法(expectation propagation method)
  (Chapter 10.7)
      – 真の事後分布が単峰性を持つため良い結果とな
        る
• ラプラス近似(6.4.6)
      – 今から解説する方法
2009/10/24        PRML勉強会第8回            9
同時分布
• ベクトル
の同時分布は

で与えられる
• 共分散項はノイズ項を含まないが正定値性
  のため

      とする
2009/10/24   PRML勉強会第8回   10
の計算
•                         を使うと




2009/10/24   PRML勉強会第8回          11
の計算(conn)
• ガウス過程における回帰の結果(6.66,6.67)から



  なので        の値は     をラプ
  ラス近似してやれば2つのガウス分布のたたみ
  こみで計算できる



2009/10/24   PRML勉強会第8回     12
の計算
• ベイズ公式から

• 事前分布はガウス過程によって与えられ、
  データについての項は独立性を仮定すると




2009/10/24   PRML勉強会第8回   13
の計算
• テイラー展開により               の対数を展開
  すると




     となり、この分布のモードを求める必要があ
    る
2009/10/24   PRML勉強会第8回            14
の計算




• この値を0とおいて、直接モードの計算はでき
  ない
• ニュートンーラフソン法を用いる



2009/10/24   PRML勉強会第8回   15
ニュートンーラフソン法
• 2階微分の値

•   は                         を要素に持つ対角
  行列
• 逐次更新式

• ヘッセ行列が正定値より、                 は大域的最適
  解に収束する
2009/10/24       PRML勉強会第8回             16
演習6.24 ヘッセ行列の正定値性
• 2つの正定値行列の和が正定値になることを
  示せばよい
• 行列Aが正定値 <=>
• 行列A,Bが正定値ならば




2009/10/24   PRML勉強会第8回   17
演習6.25 逐次更新式の導出
• 式(4.92)より




2009/10/24     PRML勉強会第8回   18
事後分布の近似
• 事後分布のモード  が求まれば事後分布
  のガウス分布による近似は

• ここで

   である、また      の値は以降        を用いて
   評価を行う


2009/10/24     PRML勉強会第8回          19
の計算



• 上の式は2つのガウス分布のたたみこみであ
  るため、(2.115)を用いると




2009/10/24   PRML勉強会第8回   20
決定面の決定
 • 近似式(4.153)を使って
 を計算すると決定面は
 であることが分かる




2009/10/24    PRML勉強会第8回   21
カーネルパラメータの学習
• 共分散関数のパラメータ を決定する
      – ガウスカーネルならば
• 最尤推定を用いて行う
                              (6.89)



を最大化



2009/10/24       PRML勉強会第8回            22
カーネルパラメータの学習
• (6.89)の積分は解析的に求まらないので、ラ
  プラス近似を用いる



• 上記の式の に関する勾配を求めることによ
  り、非線形最適化アルゴリズムを用いて、最
  適な の値を決定する。


2009/10/24       PRML勉強会第8回   23
6.4.7 ニューラルネットワークとの関係
• ベイズニューラルネット
      – パラメータ の事前分布と、ネットワーク関数
         によって 出力の分布が決まる



隠れ層の数 => ∞                  出力の分布がガウ
                            ス過程に近づく



2009/10/24     PRML勉強会第8回          24
参考文献
• Rasmussen and Williams: Gaussian Processes
  for Machine Learning, MIT Press, 2006
• 赤穂昭太郎: カーネル多変量解析 非線形
  データ解析の新しい展開, 岩波書店, 2008




2009/10/24         PRML勉強会第8回                  25
ご静聴ありがとうございました




2009/10/24    PRML勉強会第8回   26

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