RTOCS#2 ゴンチャジャパンにおける成長戦略

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RTOCS#2
あなたがゴンチャジャパンの原⽥社⻑なら、タピオカブー
ムは終焉した今、ポストコロナを⾒据えた成⻑戦略をい
かに描くか
Koh Takahashi
2021.2.28
0

RTOCSとは
RTOCS（Real Time Online Case Study）とは、注⽬される時事問題をピック
アップし、⾃らをその当事者とした場合に、戦略的なアプローチの考察から、結論まで
をどのように導くのかを⽰す実践型のケーススタディである。
1

3C︓取り巻く環境
喫茶店・カフェ市場
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3
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喫茶店市場の市場規模推移
売上⾦額増減率
喫茶店市場規模の推移
（出所）⼀般社団法⼈⽇本フードサービス協会外⾷産業市場規模推計の推移
喫茶店市場規模は90年代のバブル崩壊以降、減少傾向にあった。リーマンショック以降は回復基調にあったが、2020年
に発⽣した新型コロナウイルスのパンデミックによる外出⾃粛の煽りを受け、昨対では3割減と⼤きな影響を受けている。
（億円）
CAGR = -2.04%
コロナショック（69%）
リーマンショック（95%)

4
茶系飲料の⽣産量推移
清涼飲料⽔の品⽬別の⽣産量推移を⾒ると、近年、茶系の飲料はコーヒーなどと⽐較しても⽣産量は伸び率が⾼い。
ゴンチャの主⼒市場であるアジアンティー市場は⽇本ではまだ黎明期であるが、今後のポテンシャルもあると思われる。
清涼飲料⽔品⽬別⽣産量推移（00年〜19年）
（出所）⼀般社団法⼈全国清涼飲料連合会
緑茶飲料
紅茶飲料
その他茶飲料

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2016
2017
2018
喫茶店営業の許認可数の推移
喫茶店数と世帯当たりの⽀出推移
（店）
（出所）総務省統計局喫茶店の「いま」
喫茶店数は2006年をピークに減少の⼀途を辿っているが、内訳を⾒ると個⼈経営店におけるの減少率が⾼く法⼈経営
店は横ばいの推移となっている。また世帯当たりの喫茶代は2010年以降、2,000円以上上昇している。
（出所）厚⽣労働省平成30年度衛⽣⾏政報告例の概況（出所）総務省家計調査年報2019年（⼆⼈以上の世帯）
0
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9
世帯当たりの喫茶代の推移
16,728
60,121
15,456
54,849
16,812
53,031
-
20,000
40,000
60,000
80,000
経営組織別の喫茶店数の推移
（円）
（店）
法⼈経営個⼈経営
2009 2012 2014 2009 2012 2014

6
50.5 49.2
37.5
29.9 29.6
21.6 20.3 16.9 15.3
9.6 6 5 4.3 3.7 2.7
0
10
20
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60
原
材
料
の
上
昇
客
数
の
減
少
⽔
道
・
光
熱
費
の
上
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⼈
件
費
の
上
昇
施
設
・
設
備
の
⽼
朽
化
⼈
⼿
不
⾜
・
求
⼈
難
他
経
費
の
上
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燃
料
費
の
上
昇
客
単
価
の
減
少
⽴
地
条
件
の
悪
化
資
⾦
調
達
難
特
に
な
し
不
詳
後
継
者
難
そ
の
他
経営上の問題点
喫茶店経営における課題
⽣衛業組合の加盟店の喫茶店経営者に聞いた経営課題は、「原材料費の上昇」「客数の減少」「⽔道・光熱費の上
昇」が上位という結果になった。⼀⽅、今後の経営⽅針は、「⾷事メニューの⼯夫」「接客サービスの充実」「集客のための
イベント実施」「広告宣伝等の強化」が上位となっており、経費削減・作業効率化よりも、集客対策・顧客満⾜度向上に
注⼒することで売上増・収益増を⽬指す意図が伺える結果となっている。
（%）
（出所）厚⽣労働省平成29年度⽣活衛⽣関係営業経営実態調査
48.8
44.2
24.6 23.9
13.0 13.0
7.6 7.0 6.3 5.6 4.7 4.0 2.7 1.7 1.7 1.7 1.3 1.0 1.0
0
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⾷
事
メ
ニ
ュ
ー
の
⼯
夫
接
客
サ
ー
ビ
ス
の
充
実
集
客
の
た
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の
イ
ベ
ン
…
広
告
・
宣
伝
等
の
強
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価
格
の
⾒
直
し
特
に
な
し
営
業
時
間
の
変
更
専
⾨
店
化
・
⾼
級
店
化
不
詳
経
営
の
多
⾓
化
事
業
規
模
の
拡
⼤
・
…
経
営
指
導
を
受
け
る
廃
業
施
設
・
設
備
の
改
装
施
設
の
移
転
他
の
飲
⾷
店
へ
の
転
業
そ
の
他
パ
ソ
コ
ン
等
の
導
⼊
事
業
の
共
同
化
・
協
…
今後の経営⽅針
（%）

7
第三次タピオカブーム
ゴンチャの主⼒商品でもあるタピオカドリンクを飲むことを指す「タピる」が2019年の流⾏語⼤賞のトップ10にも選出され若
い世代を中⼼に⼀⼤ブームとなった。コロナ禍においてもタピオカを取り扱う企業数は増加傾向にあるものの、原宿を中⼼
とした流⾏の発信地では、2020年2⽉時点でタピオカ⼊りの飲料を主に扱う店舗は26店あったが、同10⽉にはそのうち
12店が閉店（※1）しており、都⼼におけるタピオカブームはひと段落した段階といえる。
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⽉
「タピオカ屋さん」企業数推移
（出所）東京商⼯リサーチ「タピオカ屋さん」動向調査
（※1）⽇経新聞
（店）
⼀時は並んで買うことが当たり前となっていたタピオカミルクティー
だが、都⼼では出店数の増加により希少性が薄れつつある。
タピオカミルクティーは、インスタグラム等に写真をアップするいわ
ゆる「映える」ドリンクとして若者を中⼼に⼈気を博していた。
「タピオカ」に対する検索数（18年~21年）
（出所）Googleトレンド

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2018年
タピオカの輸⼊量と⾦額の推移
数量⾦額
タピオカの輸⼊状況
（出所）東京税関タピオカの輸⼊
東京税関の2018年までの数値ではタピオカの輸⼊量は堅調に伸びていた。
第三次ブームも終焉し今後、これらの輸⼊需要がどこまで伸び続けるのかは不透明な状況である。
（トン）（百万円）
[第⼀次ブーム]
⽩いタピオカ⼊りのコ
コナッツミルクの流⾏
[第⼆次ブーム]
⿊いタピオカ⼊りのミ
ルクティーの流⾏
[第三次ブーム]
有名店の⽇本進
出の加速

競合
9

カフェ市場における競合
10
国内におけるコーヒーチェーン店では、スターバックスが売上⾼・店舗数ともに圧倒的な規模を誇っている。
ゴンチャは現在、国内96店舗、売上推定50億円前後と思われるが、数年内に400店舗規模への成⻑を⾒込んでいる。
（出所）会社四季報業界地図2021版をもとに作成
（売上⾼︓億円）
（店舗数）
50 100 300 500 1,000 2,000
50
100
300
500
1,000
2,000
（2,011億円、1,628店）
（328億円、747店）
（792億円、1,311店）
（459億円、657店）
（362億円、1,003店）
（312億円、896店）
（311億円、470店）
（281億円、346店）
（126億円、182店）
（144億円、178店）
（40億円、47店）
（80億円、117店）
（89億円、206店）
（51億円、240店）
※ゴンチャが今後
数年間で狙う規模
※ゴンチャの現在地
（96店）
（400店規模）

11
10
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17
19
27
96
- 20 40 60 80 100 120
コイティー
ココトカ
チャタイム
チェンスイタン
ジアレイ
ゴンチャジャパン
⽇本進出のタピオカミルクティー店（※2021年2⽉7⽇時点）
国内のタピオカミルクティーの店舗数
（出所）各社HPより作成
タピオカミルクティーを取り扱うテェーン店に絞って⾒るとゴンチャは現状、店舗数では⼀つ頭が抜けている状況と⾔える。
今後、いかにに収益性を確保しつつさらなる規模の拡⼤ができるかが⼤きな焦点でなる。
（店）

⾃社
12

13
2006年呉振華により台湾⾼雄にて創業
2017年 PEファンドのユニゾンキャピタルが
ゴンチャの株式70%を取得
2019年⽶国PEファンドのTAアソシエイツが
ゴンチャの株式100%を取得し旧
マクドナルドの経営陣が経営参画
2019年原⽥泳幸⽒ゴンチャジャパンの
会⻑兼社⻑に就任
2021年原⽥泳幸⽒がDV容疑で逮捕
その後、同社HPで辞任発表あり
ゴンチャの沿⾰
ゴンチャは19年に⽶系のPEファンドであるTAアソシエイツが経営権を取得し、旧マクドナルドの経営陣が参画する体制と
なった。原⽥⽒は同年、ゴンチャジャパンの会⻑兼社⻑に就任し⽇本での成⻑を託されていたが、本提案作成中の21年
2⽉にDV容疑で逮捕されるというニュースが報じられ、同2⽉下旬には同社HPより辞任の意向が発表された。
ゴンチャの沿⾰
© 原⽥泳幸事務所

14
ゴンチャジャパンのグローバル展開状況
ゴンチャは世界で19カ国で1,400店舗以上を展開している世界最⼤規模のティーブランドである。⼀⽅、スターバックスとの
店舗数⽐較では、韓国が4割強の店舗数を有するのに対して、⽇本やアメリカではまだまだ潜在的な成⻑余⼒がある。
（出所）ゴンチャジャパンHP
⽇本
スターバックス ︓1,628店
ゴンチャ ︓ 96店
韓国
アメリカ

15
ゴンチャジャパンのメニュー戦略
ゴンチャではタピオカミルクティのイメージが定着しているが、客数の最⼤化及び収益の安定化を⾒据えて、20年10⽉から
は全店舗でコーヒーをメニューに加えている。また都⼼の旗艦店では新たに朝⾷ニーズを取り込むためのフードメニューの展
開も実験的に⾏っている。
（出所）ゴンチャジャパンHP
ドリンクメニュー
フードメニュー（お粥）
⿊胡⿇坦々参鶏湯⽣姜トマト
Tea Milk Tea 抹茶 Tea Kokutou Milk
Tea Ade Fruits Vinegar Coffee
ドリンクの注⽂⽅法
←都⼼の旗艦店では開店時間を早めて朝
⾷ニーズを取り込むフードメニューを展開

ソリューション
⽅向性（案）
16

規模拡⼤への⽅向性（案）
17
売上規模
の最⼤化
客数
単価
客層
リピート率
✖
⽇本におけるアジアンティー市場の現状の踏まえると、直近数年間では積極的な投資により規模（シェア）の拡⼤を優
先させるべきフェーズにある。従って売上を構成する客数と単価の要素に対して、それぞれ以下の打ち⼿を提案する。
✖
10~20代⼥性
20~30代⼥性・男性
20~40代キッズファミリー層
メニュー
ブランディング
✖
フードメニューの拡張
デリバリー
出店戦略
店舗インテリア
独⾃ブランディング
打ち⼿
• 着席型の広い店舗設計
• FC展開の加速
• 対象店舗の拡充
• お粥以外の軽⾷メニューの開発
• 他の台湾系メニューの拡充
• ⼀過性のブームではなくアジアン
ティーとしてのブランド確⽴施策
• 居⼼地の良い店舗空間デザイン
• 並ばなくても買える設計・⼯夫
• Wi-Fi設備
• インフルエンサーとのコラボ

18
髙橋功（タカハシコウ）
k.takahashi85@gmail.com
Contact

19
END

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