優良病・医院経営を目指して
事務部長による経営課題解決編 ~出前講座を始めました~
特定医療法人谷田会 谷田病院 事務部長 藤井将志
「出前講座」という取り組みをしている医療機関も少なくないでしょう。地域から医療や健康に関する講演の依頼があった場合に受ける、という取り組みです。医療機関には専門家がたくさん働いているので、その人材が地域に出て知識や経験をお伝えします。筆者の所属する医療機関でも、この取り組みを始めました。きっかけは、地域包括ケアシステムをより幅広く発展させるためにはどうしたらいいか、ということを考えていくなかで、病院に患者さんとして来るようになる前に何らかの取り組みができないか、という話になりました。ゆくゆくは「ふらっと立ち寄るカフェ」みたいな空間が作れたらと思いますが、まずは新たなハードを作る前に、既にある地域の活動に根をはっていこう、ということになりました。その方法もいくつかあるのですが、そのひとつが出前講座です。
地域で定期的に開催されている町区ごとの集まりであったり、婦人会や老人会などいろいろな集まりがあることが分かりました。こうしたところに希望があれば出向いていくことにしました。まずは、地域の保健活動をしている保健師さんに取り組もうと思っている内容を説明にいったところ、数週間後にちょうどいい機会があると、早速ある老人会での講演の場を打診されました。与えられたテーマは「腰痛とひざ痛について」です。リハビリテーション科に相談したところ、快諾してくれ、あっという間に1回目の出前講座が実現することになりました。
実際にその場に行ってみると、老人会の雰囲気もとてもよく、普段の病院内では得られない住民とのコミュニケーションが繰り広げられました。講演の前には看護師が血圧測定をして、和やかな雰囲気が広がります。病院も地元だし、職員の多くも地元です。顔見知りの関係で、いろいろな話で盛り上がります。まさに、こうした雰囲気を病院内の外来スペースの一部でカフェにように繰り広げられたらと思い、取り組みを始めました。
短期的には患者増加にもつながりませんし、無料でやっているため収益にもつながりません。逆に、人材を投入しているので費用的にはマイナスの活動です。しかし、実際にやってみて、地域の方々とコミュニケーションをとることで、健康に関するどんな悩みがあるのか気付きを得られま�