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Empirical Project Monitor
の紹介
SRA先端技術研究所
(EPM開発コンソーシアム)
阪井 誠
トヨタ流改善「見える化」
• 見える化は一言で言えば,問題点が常に「見える」
ようにしておく工夫のことである。正常と異常の違い
がすぐに分かる仕事場とか,仕事するうえであれこ
れ迷わずに済む現場のことを指すと言ってもいいか
もしれない。
• IT業界もトヨタ流企業改革から始めてみては?
– http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/200401
23/138653/
TOYOTA
2
3
プロジェクト
リソース
プロセス改善(1/2)
プロダクト
リアクティブな活動
フロントローディング 問題の早期発見
発生防止が必要
状況を把握するため
の情報がないと、問
題が発生してからで
ないと対処できない
4
標準プロセス
リアクティブな活動
プロジェクトA
テーラリング
X
標準化
X
プロジェクトB
X
プロジェクトC
X X X
リソース
プロアクティブな活動
プロセス改善(2/2)
測定と制御
測定と制御
測定と制御
プロダクトA
プロダクトB
プロダクトC
フロント
ローディング
5
標準プロセス
プロジェクトA
テーラリング
X
標準化
X
プロジェクトB
X
プロジェクトC
X X X
リソース
メトリクスの使い道
測定と制御
測定と制御
測定と制御
プロダクトA
プロダクトC
問題の早期発見
オプションの選択状況の把握
戦略的な
リソースの配分
プロダクトB
6
メトリクスの収集方法(従来)
良い報告にしがち手作業が必要 問題発見が遅い
プロダクトプロジェクト
週報
勤怠
完了
報告
問題発生の早期発見や予防のためにメトリクスを手作業で収集
7
プロダクト
メトリクスの収集方法(EASE)
改ざんが困難負担が少ない 問題発見が早い
プロジェクト プロダクトプロダクトプロジェクトプロジェクト
開発履歴
開発履歴からメトリクスを収集
プロセス
分析
プロダクト
分析
プロジェクト間
分析
EPMの分析機能
• 履歴分析
– 履歴の可視化(行数、更新/参照数、メール数、障害数/
滞留時間)
– SRGM(信頼度成長モデル)
– ロジカルカップリング(同時更新ファイルの検出)
– プロジェクト遅延リスク検出モデル出力
(不安定要求/不完全設計/劣悪コード)
• 統計分析
– パレート図
– クロス分析
– 散布図(はずれ値の分析)
8
Empirical Project Monitorのシステム構成
9
構成管理
履歴
メール
履歴
不具合
履歴
標準化エンピリカルデータ(XML形式)
PostgreSQL(Repository)
CVS, Subversion, popper(メールクライアント),
GNATS, 影舞、など
その他:
- 予定値
- 工程情報
開発者
管理者
開発者
管理者
Rubyスクリプト
Java
Java
個別分析,関連分析
既存ツール
Translater
Importer
Analyzer
Empirical Project Monitorの特長
• (プロダクト生成以前に)リアルタイムに開発者
の振る舞いを知ることができる
• オープンソース開発にも使われているツール
を利用
– データ収集の負荷がない(透過的)
• 人為的操作の少ないデータを分析
10
機能紹介
ソースコードの規模推移
国際会議
テスト
お盆休み
アーキテク
チャ変更
表示機能追加
更新時期とチェックアウト数の関連
国際会議
テスト
お盆休み
アーキテク
チャ変更 表示機能追加
ソースコードの規模
• 開発の進捗に最も関わるメトリクス
• 一般に右上がりになり,生産性が高いほど傾
きが急になる
• コーディングの工程で規模が増えることは,
開発が順調であると考えられる
• テスト工程で規模が増えているなら,仕様や
構造の問題が発生しているかもしれない
• テスト終盤で,ソースコードが更新されている
なら,詳細情報を確認したほうが良い
14
メール投稿数と更新時期の関連
国際会議
テスト
お盆休み
アーキテク
チャ変更
表示機能追加
急増
メール詳細情報一覧
メール情報
• プログラムを更新時,障害発生時には,情報
交換のメールの投稿数が増える(ことが多い)
• メールデータはソース更新中や障害対応検
討中でもリアルタイムに変化する
• ソースや障害に直接関係のない問題であっ
ても補えられる可能性がある
• サブジェクトや関係者を特定できる
17
更新・未解決障害件数及び平均障害滞留時間
国際会議
GNATS
運用開始
表示機能追加
障害情報
• 累積障害件数
– 傾きが急な場合は短期間に多くの障害が発見されている
– テスト工程の終盤で傾きが水平にならない場合は,信頼
性に問題があるかもしれない
• 未解決障害件数
– 解決できていない不具合を示す
– 未解決の障害が多数残っているなら,試験項目消化後も
多くの作業が必要になるかもしれない
• 平均障害滞留時間
– 障害を解決するために要した一件あたりの時間を示す
– 解決できない問題があると大きくなる
19
パレート図
20
パレート図
• QC7つ道具のひとつ.
– パレートの法則(一般に不良全体の80%は,20%の原因
に由来する)に基づく
• 左の目盛りと棒グラフは件数,右の目盛りと折れ線
グラフは累積の比率を示す
– 件数の多いものから並んでいる
• 重要な要因が明確になり,対策をとると効果的な要
因がわかる
• CVSやメールから,作業が誰に集中しているかがわ
かる
• 障害データからは,障害の傾向がわかる
21
クロス分析
22
クロス分析
• 2次元の要因ごとに,棒グラフ,折れ線グラフ ,
バブルグラフで示す
• 要因間の関係がわかるので,対策の検討が
容易になる
23
サブシステムー本来発見すべき工程
• 青はコーディング工程で発見すべき障害が多い
• 黄はコーディングと詳細設計で発見すべき障害が多い
• コードレビューまたは詳細設計でレビュー強化すべき
24
青
黄
重要度ー本来発見すべき工程
• コーディング/単体テスト工程に重要度大の障害が多い
• コードレビューは(青だけでなく),開発標準とすべき
• 詳細設計は重要な問題が少ない
25
SRGM(信頼度成長モデル)
26
SRGM(信頼度成長モデル)
• “Software Reliability Growth Model”の略
• ソフトウェア信頼性を評価するためのモデル
の一つ
• 総バグ予測数,残存バグ予測数,バグ収束
予測日を算出することができる
• 試験項目に対して,障害(バグ)がほぼ均質に
分布することが前提になっている
27
28
ロジカルカップリング検索
• 同時刻にソースの更新を行った関連が深いと
思われるファイルを探す
• 改造するファイルを「検索ファイル条件」にす
れば,予想外の問題が少なくなる
29
EPMの実行環境
30
• 関連ツールは他のものも利用できます
ご協力のお願い
• IPAではEPMの最新版をご提供するととも
に共同検証をお願いしています
– 共同検証には以下の2種類があります
1. 実運用し、分析結果をご報告いただく(メール等支援
あり)
2. 評価と感想(コミュニティML提供)
– ぜひ、実運用にご協力ください
31
おわり
SRGMグラフの凡例
項目 凡例で表示されている文字列 意味
プロジェクト
"demo.empirical-unet.ocn.ne.jp:
EmpiriPrj"などのプロジェクトID
選択したプロジェクトを識
別するもの
モデル
ExponentialModelImpl 指数形のモデル
ModifiedExponentialModelImpl 修正指数形のモデル
DelayedModelImpl 遅延S字形のモデル
InflectionModelImpl 習熟S字形のモデル
最大・最小限界値
Max 最大限界値
Min 最小限界値
(空白) 平均値
危険率(有為水準) 5%,2%または1%
どの危険率で検定に合格
したか識別するもの
33

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