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第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2
市東 亘
西南学院大学 経済学部
August 22, 2021
講義ノート: https://courses.wshito.com/semi2/2019-bayes-AI
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 1 / 33
概観
概観
概観
ベイズ推定の基礎
連続型確率変数のベイズの定理
コイン投げ問題
コイン投げ問題の Python による視覚化
コイン投げ問題の R による視覚化
まとめ: ベイズ推定の手順
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 2 / 33
ベイズ推定の基礎
ベイズ推定の基礎
前回はベイズの定理を応用して,データが不十分な状態から信念(事前確
率)を用いて,徐々に入手可能となるデータに応じて事後確率を求める方法
を学んだ.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 3 / 33
ベイズ推定の基礎
ベイズ推定の基礎
前回はベイズの定理を応用して,データが不十分な状態から信念(事前確
率)を用いて,徐々に入手可能となるデータに応じて事後確率を求める方法
を学んだ.
⇒ 単なる条件確率の計算.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 3 / 33
ベイズ推定の基礎
ベイズ推定の基礎
前回はベイズの定理を応用して,データが不十分な状態から信念(事前確
率)を用いて,徐々に入手可能となるデータに応じて事後確率を求める方法
を学んだ.
⇒ 単なる条件確率の計算.
ここからはベイズ推定について学ぶ.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 3 / 33
ベイズ推定の基礎
ベイズ推定の基礎
▶ 計量経済学を始めとする統計的なデータ分析では,データが従う統計
モデルを構築する.さらに,
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 4 / 33
ベイズ推定の基礎
ベイズ推定の基礎
▶ 計量経済学を始めとする統計的なデータ分析では,データが従う統計
モデルを構築する.さらに,
▶ その統計モデルが従う分布関数のパラメータを推定する.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 4 / 33
ベイズ推定の基礎
ベイズ推定の基礎
▶ 計量経済学を始めとする統計的なデータ分析では,データが従う統計
モデルを構築する.さらに,
▶ その統計モデルが従う分布関数のパラメータを推定する.
▶ 仮説(理論)が正しいか仮説検定を行う.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 4 / 33
ベイズ推定の基礎
ベイズ推定の基礎
▶ 計量経済学を始めとする統計的なデータ分析では,データが従う統計
モデルを構築する.さらに,
▶ その統計モデルが従う分布関数のパラメータを推定する.
▶ 仮説(理論)が正しいか仮説検定を行う.
▶ ベイズ推定では,統計モデルのパラメータ推定と仮説の検証にベイズ
の定理を応用する.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 4 / 33
ベイズ推定の基礎 連続型確率変数のベイズの定理
連続型確率変数のベイズの定理
ノーテーション定義
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 5 / 33
ベイズ推定の基礎 連続型確率変数のベイズの定理
連続型確率変数のベイズの定理
ノーテーション定義
▶ データ D の実現値を x,仮説 H の実現値を θ で表す.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 5 / 33
ベイズ推定の基礎 連続型確率変数のベイズの定理
連続型確率変数のベイズの定理
ノーテーション定義
▶ データ D の実現値を x,仮説 H の実現値を θ で表す.
▶ f(x, θ): 連続型確率変数 D と H がそれぞれ D = x,H = θ の値
をとる時の同時確率密度関数.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 5 / 33
ベイズ推定の基礎 連続型確率変数のベイズの定理
連続型確率変数のベイズの定理
ノーテーション定義
▶ データ D の実現値を x,仮説 H の実現値を θ で表す.
▶ f(x, θ): 連続型確率変数 D と H がそれぞれ D = x,H = θ の値
をとる時の同時確率密度関数.
▶ f(x|θ): H = θ が与えられた時の D = x の条件付き確率密度関数.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 5 / 33
ベイズ推定の基礎 連続型確率変数のベイズの定理
連続型確率変数のベイズの定理
ノーテーション定義
▶ データ D の実現値を x,仮説 H の実現値を θ で表す.
▶ f(x, θ): 連続型確率変数 D と H がそれぞれ D = x,H = θ の値
をとる時の同時確率密度関数.
▶ f(x|θ): H = θ が与えられた時の D = x の条件付き確率密度関数.
▶ f(θ|x): D = x が与えられた時の H = θ の条件付き確率密度関数.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 5 / 33
ベイズ推定の基礎 連続型確率変数のベイズの定理
連続型確率変数のベイズの定理
ノーテーション定義
▶ データ D の実現値を x,仮説 H の実現値を θ で表す.
▶ f(x, θ): 連続型確率変数 D と H がそれぞれ D = x,H = θ の値
をとる時の同時確率密度関数.
▶ f(x|θ): H = θ が与えられた時の D = x の条件付き確率密度関数.
▶ f(θ|x): D = x が与えられた時の H = θ の条件付き確率密度関数.
▶ f(x),f(θ): D と H の周辺確率密度関数.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 5 / 33
ベイズ推定の基礎 連続型確率変数のベイズの定理
連続型確率変数のベイズの定理
ノーテーション定義
▶ データ D の実現値を x,仮説 H の実現値を θ で表す.
▶ f(x, θ): 連続型確率変数 D と H がそれぞれ D = x,H = θ の値
をとる時の同時確率密度関数.
▶ f(x|θ): H = θ が与えられた時の D = x の条件付き確率密度関数.
▶ f(θ|x): D = x が与えられた時の H = θ の条件付き確率密度関数.
▶ f(x),f(θ): D と H の周辺確率密度関数.
▶ 関数名が全て f だが関数形は異なる.関数形は与えられた確率変数で
区別する.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 5 / 33
ベイズ推定の基礎 連続型確率変数のベイズの定理
連続型確率変数のベイズの定理
条件付き分布の定義より,
f(θ|x) =
f(θ, x)
f(x)
=
f(x, θ)
f(x)
=
f(x|θ)f(θ)
f(x)
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 6 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
コイン投げ問題
目的: コインを投げた時,どちらの面が出るか予測するためにコイン投げを
モデル化したい.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 7 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
統計モデルの構築
▶ 理屈ではコインの表と裏が出る確率は 1/2.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 8 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
統計モデルの構築
▶ 理屈ではコインの表と裏が出る確率は 1/2.
⇒ 頻度主義
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 8 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
統計モデルの構築
▶ 理屈ではコインの表と裏が出る確率は 1/2.
⇒ 頻度主義
▶ 統計的推定: データを観測してコインの表と裏が出る確率を推定する.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 8 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
統計モデルの構築
▶ 理屈ではコインの表と裏が出る確率は 1/2.
⇒ 頻度主義
▶ 統計的推定: データを観測してコインの表と裏が出る確率を推定する.
⇒ データが従う統計モデルを構築する.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 8 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
統計モデルの構築
▶ 理屈ではコインの表と裏が出る確率は 1/2.
⇒ 頻度主義
▶ 統計的推定: データを観測してコインの表と裏が出る確率を推定する.
⇒ データが従う統計モデルを構築する.
▶ 頻度主義: 統計モデルが従う確率分布のパラメータは未知の定数で,
データが確率変数と考える.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 8 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
統計モデルの構築
▶ 理屈ではコインの表と裏が出る確率は 1/2.
⇒ 頻度主義
▶ 統計的推定: データを観測してコインの表と裏が出る確率を推定する.
⇒ データが従う統計モデルを構築する.
▶ 頻度主義: 統計モデルが従う確率分布のパラメータは未知の定数で,
データが確率変数と考える.
▶ ベイズ主義: データは定数で,統計モデルが従う確率分布のパラメータ
が確率変数と考える.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 8 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
統計モデルの構築
▶ 理屈ではコインの表と裏が出る確率は 1/2.
⇒ 頻度主義
▶ 統計的推定: データを観測してコインの表と裏が出る確率を推定する.
⇒ データが従う統計モデルを構築する.
▶ 頻度主義: 統計モデルが従う確率分布のパラメータは未知の定数で,
データが確率変数と考える.
▶ ベイズ主義: データは定数で,統計モデルが従う確率分布のパラメータ
が確率変数と考える.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 8 / 33
頻度主義では,データは神のみぞ知る母集団から抽出され
た標本と考える.母集団データが従う分布のパラメータも
神のみぞ知る定数である.そして,母集団からランダム抽
出された標本データを用いて,神のみぞ知るパラメータ定
数を推定する.
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
統計モデルの構築
▶ コイン投げで表が出る事象を x = 1,裏が出る事象を x = 0 で表す.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 9 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
統計モデルの構築
▶ コイン投げで表が出る事象を x = 1,裏が出る事象を x = 0 で表す.
▶ コインの表が出る確率を θ,裏が出る確率を 1 − θ とおくと,それぞ
れの事象が生じる確率は以下で表される.
P r(x = 1 | θ) = θ
P r(x = 0 | θ) = 1 − θ
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 9 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
統計モデルの構築
▶ コイン投げで表が出る事象を x = 1,裏が出る事象を x = 0 で表す.
▶ コインの表が出る確率を θ,裏が出る確率を 1 − θ とおくと,それぞ
れの事象が生じる確率は以下で表される.
P r(x = 1 | θ) = θ
P r(x = 0 | θ) = 1 − θ
▶ 上式を 1 つにまとめると,いずれの事象が生じる確率も表せる.
P r(x|θ) = θx
(1 − θ)1−x
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 9 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
統計モデルの構築
▶ 独立事象であるコイン投げを n 回実行した時,{xi}, i = 1, . . . , n の
同時確率は以下で表される.
P r({xi}|θ) =
n
∏
i
P r(xi|θ)
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 10 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
統計モデルの構築
▶ 独立事象であるコイン投げを n 回実行した時,{xi}, i = 1, . . . , n の
同時確率は以下で表される.
P r({xi}|θ) =
n
∏
i
P r(xi|θ) =
∏
i
θxi
(1 − θ)1−xi
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 10 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
統計モデルの構築
▶ 独立事象であるコイン投げを n 回実行した時,{xi}, i = 1, . . . , n の
同時確率は以下で表される.
P r({xi}|θ) =
n
∏
i
P r(xi|θ) =
∏
i
θxi
(1 − θ)1−xi
= θ
∑
xi
(1 − θ)
∑
(1−xi)
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 10 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
統計モデルの構築
▶ 独立事象であるコイン投げを n 回実行した時,{xi}, i = 1, . . . , n の
同時確率は以下で表される.
P r({xi}|θ) =
n
∏
i
P r(xi|θ) =
∏
i
θxi
(1 − θ)1−xi
= θ
∑
xi
(1 − θ)
∑
(1−xi)
= θ#表
(1 − θ)#裏
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 10 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
統計モデルの構築
▶ 独立事象であるコイン投げを n 回実行した時,{xi}, i = 1, . . . , n の
同時確率は以下で表される.
P r({xi}|θ) =
n
∏
i
P r(xi|θ) =
∏
i
θxi
(1 − θ)1−xi
= θ
∑
xi
(1 − θ)
∑
(1−xi)
= θ#表
(1 − θ)#裏
▶ 統計モデル: コインを n 回投げた時,表が出る回数は 2 項分布にした
がう.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 10 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
統計モデルの構築
▶ 表が出る確率 θ の値は?
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 11 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
統計モデルの構築
▶ 表が出る確率 θ の値は?
▶ θ = 0.5 のはずだ! ⇐ 1 つの仮説に過ぎない.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 11 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
統計モデルの構築
▶ 表が出る確率 θ の値は?
▶ θ = 0.5 のはずだ! ⇐ 1 つの仮説に過ぎない.
▶ このコインは表があまり出ないからイカサマコインで θ = 0.3 にちが
いない! ⇐ これも 1 つの仮説に過ぎない.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 11 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
統計モデルの構築
▶ 表が出る確率 θ の値は?
▶ θ = 0.5 のはずだ! ⇐ 1 つの仮説に過ぎない.
▶ このコインは表があまり出ないからイカサマコインで θ = 0.3 にちが
いない! ⇐ これも 1 つの仮説に過ぎない.
▶ どの仮説が正しいか?すなわち表が出る確率 θ は幾つになるか?これ
をデータ xi を用いて推定する.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 11 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
統計モデルの構築
▶ 表が出る確率 θ の値は?
▶ θ = 0.5 のはずだ! ⇐ 1 つの仮説に過ぎない.
▶ このコインは表があまり出ないからイカサマコインで θ = 0.3 にちが
いない! ⇐ これも 1 つの仮説に過ぎない.
▶ どの仮説が正しいか?すなわち表が出る確率 θ は幾つになるか?これ
をデータ xi を用いて推定する.
▶ そもそもどの仮説が正しいのかは「確実」には分からない.そこで,
データが与えられた時,ある仮説 Hi が支持される確率,P r(Hi|D)
を求めることにする.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 11 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
統計モデルの構築
データ D が与えられた時,ある仮説 Hi が支持される確率,P r(Hi|D)
はベイズの定理より,
P r(Hi|D) =
P r(Hi, D)
P r(D)
=
P r(D, Hi)
P r(D)
(1)
=
P r(D|Hi)P r(Hi)
P r(D)
(2)
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 12 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
統計モデルの構築
▶ コイン投げの場合,Hi は表が出る確率 θ の値に対応.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 13 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
統計モデルの構築
▶ コイン投げの場合,Hi は表が出る確率 θ の値に対応.
▶ θ は 0 から 1 の連続値を取り得る.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 13 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
統計モデルの構築
▶ コイン投げの場合,Hi は表が出る確率 θ の値に対応.
▶ θ は 0 から 1 の連続値を取り得る.
▶ 従ってベイズ定理の式は確率密度関数 f(·) に置き換わる.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 13 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
統計モデルの構築
▶ コイン投げの場合,Hi は表が出る確率 θ の値に対応.
▶ θ は 0 から 1 の連続値を取り得る.
▶ 従ってベイズ定理の式は確率密度関数 f(·) に置き換わる.
f(θ|x) =
f(θ, x)
f(x)
=
f(x, θ)
f(x)
=
f(x|θ)f(θ)
f(x)
(3)
ただし Hi = θ は連続値.x はデータ D の観測値で,n 回のコイン
投げで表が出た回数を表す.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 13 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
モデル式の考察
f(θ|x) =
f(x|θ)f(θ)
f(x)
▶ 右辺の各密度関数が決まれば左辺の事後分布 f(θ|x) が定まる.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 14 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
モデル式の考察
f(θ|x) =
f(x|θ)f(θ)
f(x)
▶ 右辺の各密度関数が決まれば左辺の事後分布 f(θ|x) が定まる.
⇒ この事後分布を求める行為こそがベイズ推定!
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 14 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
モデル式の考察
f(θ|x) =
f(x|θ)f(θ)
f(x)
▶ 右辺の各密度関数が決まれば左辺の事後分布 f(θ|x) が定まる.
⇒ この事後分布を求める行為こそがベイズ推定!
▶ θ の値は仮説に対応するので,事後分布 f(θ|x) が求まれば様々な仮
説を統計的に検証できる.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 14 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
モデル式の考察
f(θ|x) =
f(x|θ)f(θ)
f(x)
▶ 例.
「表が出にくいイカサマコイン」かどうか調べるには,事後分布を
使って θ < 0.5 の確率を計算すれば良い.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 15 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
モデル式の考察
f(θ|x) =
f(x|θ)f(θ)
f(x)
▶ 例.
「表が出にくいイカサマコイン」かどうか調べるには,事後分布を
使って θ < 0.5 の確率を計算すれば良い.
∫ 0.5
0
f(θ|x)dθ =
∫ 0.5
0
f(x|θ)f(θ)
f(x)
dθ
=
∫ 0.5
0 f(x|θ)f(θ)dθ
f(x)
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 15 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
モデル式の考察
f(θ|x) =
f(x|θ)f(θ)
f(x)
▶ 例.
「表が出にくいイカサマコイン」かどうか調べるには,事後分布を
使って θ < 0.5 の確率を計算すれば良い.
∫ 0.5
0
f(θ|x)dθ =
∫ 0.5
0
f(x|θ)f(θ)
f(x)
dθ
=
∫ 0.5
0 f(x|θ)f(θ)dθ
f(x)
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 15 / 33
実際には下の計算に分母の f(x) は不要!
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
モデル式の考察
f(θ|x) =
f(x|θ)f(θ)
f(x)
▶ 分母を左辺に移行し,以下のように変形する.
f(x)f(θ|x) = f(x|θ)f(θ)
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 16 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
モデル式の考察
f(θ|x) =
f(x|θ)f(θ)
f(x)
▶ 分母を左辺に移行し,以下のように変形する.
f(x)f(θ|x) = f(x|θ)f(θ)
この式の両辺を積分し,比をとることによって確率を計算できる.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 16 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
モデル式の考察
f(x)f(θ|x) = f(x|θ)f(θ)
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 17 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
モデル式の考察
f(x)f(θ|x) = f(x|θ)f(θ)
↔
∫ 0.5
0 f(x)f(θ|x)dθ
∫ ∞
−∞ f(x)f(θ|x)dθ
=
∫ 0.5
0 f(x|θ)f(θ)dθ
∫ ∞
−∞ f(x|θ)f(θ)dθ
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 17 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
モデル式の考察
f(x)f(θ|x) = f(x|θ)f(θ)
↔
∫ 0.5
0 f(x)f(θ|x)dθ
∫ ∞
−∞ f(x)f(θ|x)dθ
=
∫ 0.5
0 f(x|θ)f(θ)dθ
∫ ∞
−∞ f(x|θ)f(θ)dθ
↔
f(x)
∫ 0.5
0 f(θ|x)dθ
f(x)
∫ ∞
−∞ f(θ|x)dθ
=
∫ 0.5
0 f(x|θ)f(θ)dθ
∫ ∞
−∞ f(x|θ)f(θ)dθ
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 17 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
モデル式の考察
f(x)f(θ|x) = f(x|θ)f(θ)
↔
∫ 0.5
0 f(x)f(θ|x)dθ
∫ ∞
−∞ f(x)f(θ|x)dθ
=
∫ 0.5
0 f(x|θ)f(θ)dθ
∫ ∞
−∞ f(x|θ)f(θ)dθ
↔
f(x)
∫ 0.5
0 f(θ|x)dθ
f(x)
∫ ∞
−∞ f(θ|x)dθ
=
∫ 0.5
0 f(x|θ)f(θ)dθ
∫ ∞
−∞ f(x|θ)f(θ)dθ
↔
∫ 0.5
0
f(θ|x)dθ =
∫ 0.5
0 f(x|θ)f(θ)dθ
∫ ∞
−∞ f(x|θ)f(θ)dθ
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 17 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
モデル式の考察
f(x)f(θ|x) = f(x|θ)f(θ)
↔
∫ 0.5
0 f(x)f(θ|x)dθ
∫ ∞
−∞ f(x)f(θ|x)dθ
=
∫ 0.5
0 f(x|θ)f(θ)dθ
∫ ∞
−∞ f(x|θ)f(θ)dθ
↔
f(x)
∫ 0.5
0 f(θ|x)dθ
f(x)
∫ ∞
−∞ f(θ|x)dθ
=
∫ 0.5
0 f(x|θ)f(θ)dθ
∫ ∞
−∞ f(x|θ)f(θ)dθ
↔
∫ 0.5
0
f(θ|x)dθ =
∫ 0.5
0 f(x|θ)f(θ)dθ
∫ ∞
−∞ f(x|θ)f(θ)dθ
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 17 / 33
∫ ∞
−∞ f(θ|x)dθ = 1
分母にあった f(x) は約分で消える!
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
モデル式の考察
f(x)f(θ|x) = f(x|θ)f(θ)
↔
∫ 0.5
0 f(x)f(θ|x)dθ
∫ ∞
−∞ f(x)f(θ|x)dθ
=
∫ 0.5
0 f(x|θ)f(θ)dθ
∫ ∞
−∞ f(x|θ)f(θ)dθ
↔
f(x)
∫ 0.5
0 f(θ|x)dθ
f(x)
∫ ∞
−∞ f(θ|x)dθ
=
∫ 0.5
0 f(x|θ)f(θ)dθ
∫ ∞
−∞ f(x|θ)f(θ)dθ
↔
∫ 0.5
0
f(θ|x)dθ =
∫ 0.5
0 f(x|θ)f(θ)dθ
∫ ∞
−∞ f(x|θ)f(θ)dθ
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 17 / 33
コイン投げのモデルでは,θ の値域は 0 ≤ θ ≤ 1 なので分
母の積分範囲もこの範囲でよい.
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
モデル式の考察
f(θ|x) =
f(x|θ)f(θ)
f(x)
▶ つまり,ベイズの定理式の分子,f(x|θ)f(θ),の関数形のみ分かれ
ば,あとは同じ関数の積分の比で事後確率 f(θ|x) が求まり,周辺尤
度 f(x) の情報は不要.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 18 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
モデル式の考察
f(θ|x) =
f(x|θ)f(θ)
f(x)
▶ つまり,ベイズの定理式の分子,f(x|θ)f(θ),の関数形のみ分かれ
ば,あとは同じ関数の積分の比で事後確率 f(θ|x) が求まり,周辺尤
度 f(x) の情報は不要.
▶ 結局,分母の f(x) は θ に依存せず,比にすると約分されて消えるの
で定数とみなすことができる.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 18 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
モデル式の考察
f(θ|x) =
f(x|θ)f(θ)
f(x)
▶ つまり,ベイズの定理式の分子,f(x|θ)f(θ),の関数形のみ分かれ
ば,あとは同じ関数の積分の比で事後確率 f(θ|x) が求まり,周辺尤
度 f(x) の情報は不要.
▶ 結局,分母の f(x) は θ に依存せず,比にすると約分されて消えるの
で定数とみなすことができる.
▶ 実際,1/f(x) を比例定数 c とおき,
f(θ|x) = cf(x|θ)f(θ) ∝ f(x|θ)f(θ) と書ける.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 18 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
モデル式の考察
f(θ|x) =
f(x|θ)f(θ)
f(x)
▶ したがってベイズ推定ではモデル式を以下のように比例式で表すこと
が多い.
f(θ|x) ∝ f(x|θ)f(θ)
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 19 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
モデル式の考察
f(θ|x) =
f(x|θ)f(θ)
f(x)
▶ したがってベイズ推定ではモデル式を以下のように比例式で表すこと
が多い.
f(θ|x) ∝ f(x|θ)f(θ)
▶ この事後分布の密度関数を,与えられたデータから推定するのがベイ
ズ推定!
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 19 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
推定: 事前分布の決定
▶ データが観測される前に「表が出る確率 θ」が従う分布についての情
報は?
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 20 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
推定: 事前分布の決定
▶ データが観測される前に「表が出る確率 θ」が従う分布についての情
報は?
▶ 「理由不十分の原則」⇒ 一様分布 f(θ) = 1 を仮定する.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 20 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
推定: 事前分布の決定
▶ データが観測される前に「表が出る確率 θ」が従う分布についての情
報は?
▶ 「理由不十分の原則」⇒ 一様分布 f(θ) = 1 を仮定する.
▶ 適切な事前分布の選び方については第 6 章で学ぶ.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 20 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
推定: 尤度の決定
▶ 尤度関数 = データが従う統計モデルにおいてパラメータを所与とし,
データを確率変数とみなす関数.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 21 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
推定: 尤度の決定
▶ 尤度関数 = データが従う統計モデルにおいてパラメータを所与とし,
データを確率変数とみなす関数.
▶ コイン投げは各試行が独立なので表や裏が出る順番は関係ない.表が
何回出たかで分布が決まる.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 21 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
推定: 尤度の決定
▶ 尤度関数 = データが従う統計モデルにおいてパラメータを所与とし,
データを確率変数とみなす関数.
▶ コイン投げは各試行が独立なので表や裏が出る順番は関係ない.表が
何回出たかで分布が決まる.
▶ 総試行回数 = n,表が出る回数 = x とおく.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 21 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
推定: 尤度の決定
▶ 尤度関数 = データが従う統計モデルにおいてパラメータを所与とし,
データを確率変数とみなす関数.
▶ コイン投げは各試行が独立なので表や裏が出る順番は関係ない.表が
何回出たかで分布が決まる.
▶ 総試行回数 = n,表が出る回数 = x とおく.
▶ x ∼ nCxθx(1 − θ)n−x =
(
n
x
)
θx
(1 − θ)n−x
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 21 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
推定: 尤度の決定
▶ 尤度関数 = データが従う統計モデルにおいてパラメータを所与とし,
データを確率変数とみなす関数.
▶ コイン投げは各試行が独立なので表や裏が出る順番は関係ない.表が
何回出たかで分布が決まる.
▶ 総試行回数 = n,表が出る回数 = x とおく.
▶ x ∼ nCxθx(1 − θ)n−x =
(
n
x
)
θx
(1 − θ)n−x
▶ 尤度は,上式の θ を所与とし,観測データ x の関数とみなすことで定
義できる.
f(x|θ) =
(
n
x
)
θx
(1 − θ)n−x
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 21 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
推定: 事後分布
モデル式に尤度と事前分布を代入し事後分布を求める.
f(θ|x) ∝ f(x|θ)f(θ) =
(
n
x
)
θx
(1 − θ)n−x
· 1 ∝ θx
(1 − θ)n−x
(
n
x
)
は θ に依存しないため積分の比で消える.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 22 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
考察
▶ データ x が与えられた時,表が出る確率 θ が従う分布の密度関数の比
例式が求まった.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 23 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
考察
▶ データ x が与えられた時,表が出る確率 θ が従う分布の密度関数の比
例式が求まった.
⇒ これでベイズ推定は完了!
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 23 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
考察
▶ データ x が与えられた時,表が出る確率 θ が従う分布の密度関数の比
例式が求まった.
⇒ これでベイズ推定は完了!
▶ 事後分布の密度関数(の比例式)が求まったので,あとは実際のデー
タを式に代入すれば密度関数のグラフが描ける.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 23 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
考察
▶ データ x が与えられた時,表が出る確率 θ が従う分布の密度関数の比
例式が求まった.
⇒ これでベイズ推定は完了!
▶ 事後分布の密度関数(の比例式)が求まったので,あとは実際のデー
タを式に代入すれば密度関数のグラフが描ける.
⇒ テキスト p.7 の図 1.1.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 23 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
考察
▶ データ x が与えられた時,表が出る確率 θ が従う分布の密度関数の比
例式が求まった.
⇒ これでベイズ推定は完了!
▶ 事後分布の密度関数(の比例式)が求まったので,あとは実際のデー
タを式に代入すれば密度関数のグラフが描ける.
⇒ テキスト p.7 の図 1.1.
▶ ただし,::::::::::::::::::
図の生成コードでは,右辺の θx(1 − θ)n−x の代わりにベー
タ分布の密度関数を使用している.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 23 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
考察
▶ データ x が与えられた時,表が出る確率 θ が従う分布の密度関数の比
例式が求まった.
⇒ これでベイズ推定は完了!
▶ 事後分布の密度関数(の比例式)が求まったので,あとは実際のデー
タを式に代入すれば密度関数のグラフが描ける.
⇒ テキスト p.7 の図 1.1.
▶ ただし,::::::::::::::::::
図の生成コードでは,右辺の θx(1 − θ)n−x の代わりにベー
タ分布の密度関数を使用している.
▶ なぜか?
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 23 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
考察
▶ データ x が与えられた時,表が出る確率 θ が従う分布の密度関数の比
例式が求まった.
⇒ これでベイズ推定は完了!
▶ 事後分布の密度関数(の比例式)が求まったので,あとは実際のデー
タを式に代入すれば密度関数のグラフが描ける.
⇒ テキスト p.7 の図 1.1.
▶ ただし,::::::::::::::::::
図の生成コードでは,右辺の θx(1 − θ)n−x の代わりにベー
タ分布の密度関数を使用している.
▶ なぜか?
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 23 / 33
事後分布 f(θ|x) ∝ θx(1 − θ)n−x の式は 2 項分布の密度
関数に形が似ているが,2 項分布は x が確率変数なのに対
し,事後分布は θ が確率変数だから.
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
考察
ベータ分布の密度関数 fBeta(x; α, β) =
xα−1(1 − x)β−1
B(α, β)
▶ 0 ≤ x ≤ 1,x はベータ分布に従う正の実数.α と β はパラメータ.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 24 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
考察
ベータ分布の密度関数 fBeta(x; α, β) =
xα−1(1 − x)β−1
B(α, β)
▶ 0 ≤ x ≤ 1,x はベータ分布に従う正の実数.α と β はパラメータ.
▶ B(α, β) はベータ関数で,B(α, β) =
∫ 1
0
xα−1
(1 − x)β−1
dx.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 24 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
考察
ベータ分布の密度関数 fBeta(x; α, β) =
xα−1(1 − x)β−1
B(α, β)
▶ 0 ≤ x ≤ 1,x はベータ分布に従う正の実数.α と β はパラメータ.
▶ B(α, β) はベータ関数で,B(α, β) =
∫ 1
0
xα−1
(1 − x)β−1
dx.
▶ 事後分布の比例式はベータ分布の密度関数を用いて表せる.
f(θ|x) ∝ θx
(1 − θ)n−x
= fBeta(θ; α, β) B(α, β)
where α = 1 + x
β = 1 + n − x
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 24 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
考察
ベータ分布の密度関数 fBeta(x; α, β) =
xα−1(1 − x)β−1
B(α, β)
▶ 0 ≤ x ≤ 1,x はベータ分布に従う正の実数.α と β はパラメータ.
▶ B(α, β) はベータ関数で,B(α, β) =
∫ 1
0
xα−1
(1 − x)β−1
dx.
▶ 事後分布の比例式はベータ分布の密度関数を用いて表せる.
f(θ|x) ∝ θx
(1 − θ)n−x
= fBeta(θ; α, β) B(α, β)
where α = 1 + x
β = 1 + n − x
∝ fBeta(θ; α, β)
since B(α, β) is constant.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 24 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
考察
▶ コイン投げ問題では事後分布の関数形を明示的に求めることができた
が,変数が相互に影響しあうような統計モデルでは,事後分布の関数
形を式で明示的に表すのは難しい.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 25 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
考察
▶ コイン投げ問題では事後分布の関数形を明示的に求めることができた
が,変数が相互に影響しあうような統計モデルでは,事後分布の関数
形を式で明示的に表すのは難しい.
▶ 確率を求めるためには密度関数の積分が必要だが,代数的式変形で積
分計算できる関数形は限られている.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 25 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
考察
▶ コイン投げ問題では事後分布の関数形を明示的に求めることができた
が,変数が相互に影響しあうような統計モデルでは,事後分布の関数
形を式で明示的に表すのは難しい.
▶ 確率を求めるためには密度関数の積分が必要だが,代数的式変形で積
分計算できる関数形は限られている.
▶ そこで,コンピュータを使って事後分布の関数形を近似的に求め,数
値積分して確率を求める.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 25 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
考察
▶ コイン投げ問題では事後分布の関数形を明示的に求めることができた
が,変数が相互に影響しあうような統計モデルでは,事後分布の関数
形を式で明示的に表すのは難しい.
▶ 確率を求めるためには密度関数の積分が必要だが,代数的式変形で積
分計算できる関数形は限られている.
▶ そこで,コンピュータを使って事後分布の関数形を近似的に求め,数
値積分して確率を求める.
⇒ Stan,JAGS,PyMC 等のソフトを使う.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 25 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題
考察
▶ コイン投げ問題では事後分布の関数形を明示的に求めることができた
が,変数が相互に影響しあうような統計モデルでは,事後分布の関数
形を式で明示的に表すのは難しい.
▶ 確率を求めるためには密度関数の積分が必要だが,代数的式変形で積
分計算できる関数形は限られている.
▶ そこで,コンピュータを使って事後分布の関数形を近似的に求め,数
値積分して確率を求める.
⇒ Stan,JAGS,PyMC 等のソフトを使う.
▶ テキスト第 2 章以降で PyMC を使った事後分布の推定方法を学ぶ.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 25 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題の Python による視覚化
コイン投げ問題の Python による視覚化
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
p, probability of heads
0
2
4
observe 0 tosses,
0 heads
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
0
2
4
observe 1 tosses,
0 heads
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
0
2
4
observe 2 tosses,
1 heads
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
0
2
4
observe 3 tosses,
2 heads
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
0
2
4
observe 4 tosses,
2 heads
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
0
2
4
observe 5 tosses,
3 heads
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
0
2
4
observe 8 tosses,
5 heads
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
0
2
4
observe 15 tosses,
9 heads
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
0
2
4
observe 50 tosses,
27 heads
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
p, probability of heads
0
10
observe 500 tosses,
252 heads
Bayesian updating of posterior probabilities
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 26 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題の Python による視覚化
コイン投げ問題の Python による視覚化
コード 1 コイン投げ
1 %matplotlib inline
2
3 import numpy as np
4 import matplotlib.pyplot as plt
5 import scipy.stats as stats
6
7 dist = stats.beta # ベータ分布のクラスインスタンスを取得.
8 n_trials = [0, 1, 2, 3, 4, 5, 8, 15, 50, 500] # コイン投げの試行回数を指定する配列
9 # p=0.5 で 500 回のベルヌーイ試行データを生成
10 data = stats.bernoulli.rvs(0.5, size=n_trials[-1])
11 # 累積和で表が出た回数の配列を作成.最初に 0 回試行分を付加.
12 heads = np.concatenate([[0], data.cumsum(0)])
13 # 0 から 1 まで等間隔の 100 個の数列を作成.プロットの x 座標の値になる.
14 x = np.linspace(0, 1, 100)
15
16 # 描画領域全体を表す fig オブジェクトと各グラフ・オブジェクトの配列(
「行 x 列」の 2 次元配列)を
17 fig, axes2d = plt.subplots(
18 nrows=int(len(n_trials)/2),
19 ncols=2,
20 figsize=(11, 9))
21
22 axes = axes2d.flatten() # 行 x 列の配列を 1 次元配列にフラット化
23 %end{sympyverbatim}
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 27 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題の Python による視覚化
コイン投げ問題の Python による視覚化
コード 2 コイン投げ(つづき)
1 for ax, N in zip(axes, n_trials):
2 head = heads[N]
3 # ベータ分布の PDF.与えられた x 値に対する PDF の y 値を返す.
4 y = dist.pdf(x, 1 + head, 1 + N - head)
5 # データをプロット
6 ax.plot(x, y, label="observe %d tosses,n %d heads" % (N, head))
7 ax.fill_between(x, 0, y, color="#348ABD", alpha=0.4) # 塗りつぶし
8 # x=0.5, y=0 から 4 まで垂直線
9 ax.vlines(0.5, 0, 4, color="k", linestyles="--", lw=1)
10 ax.legend().get_frame().set_alpha(0.4) # 凡例のフレームの濃さを設定
11 ax.autoscale(tight=True)
12
13 # 最初と最後の図だけ x 軸にラベルを付ける
14 axes[0].set_xlabel("$p$, probability of heads")
15 axes[-1].set_xlabel("$p$, probability of heads")
16
17 fig.suptitle("Bayesian updating of posterior probabilities",
18 y=1.02,
19 fontsize=14)
20
21 fig.tight_layout()
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 28 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題の Python による視覚化
コイン投げ問題の Python による視覚化
▶ matplotlib.pyplot の使い方
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 29 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題の Python による視覚化
コイン投げ問題の Python による視覚化
▶ matplotlib.pyplot の使い方
▶ 図の描画領域全体は Figure クラス・オブジェクトを通してコントロー
ルする.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 29 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題の Python による視覚化
コイン投げ問題の Python による視覚化
▶ matplotlib.pyplot の使い方
▶ 図の描画領域全体は Figure クラス・オブジェクトを通してコントロー
ルする.
▶ 座標軸を持つ各グラフは,Axes クラス・オブジェクトを通してコント
ロールする.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 29 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題の Python による視覚化
コイン投げ問題の Python による視覚化
▶ matplotlib.pyplot の使い方
▶ 図の描画領域全体は Figure クラス・オブジェクトを通してコントロー
ルする.
▶ 座標軸を持つ各グラフは,Axes クラス・オブジェクトを通してコント
ロールする.
▶ ベルヌーイ試行で実際にデータを生成してから,データを所与として
事後分布を計算し描画している.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 29 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題の Python による視覚化
コイン投げ問題の Python による視覚化
▶ matplotlib.pyplot の使い方
▶ 図の描画領域全体は Figure クラス・オブジェクトを通してコントロー
ルする.
▶ 座標軸を持つ各グラフは,Axes クラス・オブジェクトを通してコント
ロールする.
▶ ベルヌーイ試行で実際にデータを生成してから,データを所与として
事後分布を計算し描画している.
▶ 事後分布の描画にはベータ分布の密度関数が用いられている.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 29 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題の R による視覚化
コイン投げ問題の R による視覚化
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
p, prob of heads
0 tosses
0 heads
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
p, prob of heads
1 tosses
0 heads
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
p, prob of heads
2 tosses
1 heads
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
p, prob of heads
3 tosses
1 heads
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
p, prob of heads
4 tosses
1 heads
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
p, prob of heads
5 tosses
1 heads
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
p, prob of heads
8 tosses
3 heads
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
p, prob of heads
15 tosses
6 heads
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
p, prob of heads
50 tosses
24 heads
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
p, prob of heads
500 tosses
262 heads
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 30 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題の R による視覚化
コイン投げ問題の R による視覚化
n.trials <- c(0, 1, 2, 3, 4, 5, 8, 15, 50, 500) # 10 種類の試行回数
data <- sample(c(0,1), size=n.trials[length(n.trials)], replace=TRUE)
posterior <- function(data, size) {
heads <- sum(data[1:size])
par(mar=c(1.8,0.5,0,0.5)) # 描画領域を増やすためにマージンパラメータを調整
curve(dbeta(x, 1+heads, 1+size-heads), 0, 1, # ベータ分布の曲線を描画
xlab="p, prob of heads", ylab='',yaxt='n',
mgp=c(3,0.3,0), # 軸タイトル,軸ラベル,軸線が描かれる位置を設定
tcl=-0.25) # 軸の目盛り線の長さ設定
abline(v=0.5, lty=3) # x=0.5 で垂直 vertical な線を描画.lty は線種
legend("topright", legend=c(paste(size, "tosses"),
paste(heads, "heads")))
}
par(mfrow=c(length(n.trials)/2, 2)) # マルチ figure の行数,列数を設定
# n.trials ベクトルの各要素に対し第 2 引数の関数を適用.第 2 引数の関数は posterior
# 関数を実行しグラフを描画.返り値は使わないので silent に代入して破棄.
silent <- lapply(n.trials, function(size) {
posterior(data,size)
NULL})
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 31 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題の R による視覚化
コイン投げ問題の R による視覚化
▶ R の配列(ベクトル)のインデックスは 1 から始まる.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 32 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題の R による視覚化
コイン投げ問題の R による視覚化
▶ R の配列(ベクトル)のインデックスは 1 から始まる.
▶ 上の R コードには Python コード中にあった for ループがない.
⇒ 関数型プログラミングと呼ばれるスタイルで書かれたもの.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 32 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題の R による視覚化
コイン投げ問題の R による視覚化
▶ R の配列(ベクトル)のインデックスは 1 から始まる.
▶ 上の R コードには Python コード中にあった for ループがない.
⇒ 関数型プログラミングと呼ばれるスタイルで書かれたもの.
▶ for ループは手続き型プログラミングでよく使われる.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 32 / 33
ベイズ推定の基礎 コイン投げ問題の R による視覚化
コイン投げ問題の R による視覚化
▶ R の配列(ベクトル)のインデックスは 1 から始まる.
▶ 上の R コードには Python コード中にあった for ループがない.
⇒ 関数型プログラミングと呼ばれるスタイルで書かれたもの.
▶ for ループは手続き型プログラミングでよく使われる.
▶ 関数型プログラミングでは,単一の処理を関数にまとめ,その関数を
複数の要素に対し適用(apply)することで繰り返し処理を実現する.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 32 / 33
まとめ: ベイズ推定の手順
まとめ: ベイズ推定の手順
▶ リサーチ・クエスチョン(仮説)を立てる.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 33 / 33
まとめ: ベイズ推定の手順
まとめ: ベイズ推定の手順
▶ リサーチ・クエスチョン(仮説)を立てる.
▶ 仮説の下で生成されるデータを特定する.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 33 / 33
まとめ: ベイズ推定の手順
まとめ: ベイズ推定の手順
▶ リサーチ・クエスチョン(仮説)を立てる.
▶ 仮説の下で生成されるデータを特定する.
▶ データが従う統計モデルを構築する.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 33 / 33
まとめ: ベイズ推定の手順
まとめ: ベイズ推定の手順
▶ リサーチ・クエスチョン(仮説)を立てる.
▶ 仮説の下で生成されるデータを特定する.
▶ データが従う統計モデルを構築する.
▶ 事前分布を特定する.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 33 / 33
まとめ: ベイズ推定の手順
まとめ: ベイズ推定の手順
▶ リサーチ・クエスチョン(仮説)を立てる.
▶ 仮説の下で生成されるデータを特定する.
▶ データが従う統計モデルを構築する.
▶ 事前分布を特定する.
▶ ベイズの定理を用いて仮説を表すパラメータを推定する.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 33 / 33
まとめ: ベイズ推定の手順
まとめ: ベイズ推定の手順
▶ リサーチ・クエスチョン(仮説)を立てる.
▶ 仮説の下で生成されるデータを特定する.
▶ データが従う統計モデルを構築する.
▶ 事前分布を特定する.
▶ ベイズの定理を用いて仮説を表すパラメータを推定する.
▶ 事後分布を用いて仮説が支持される確率を計算したり,データの予測
を行う.
市東 亘 (西南学院大学 経済学部) 第 1 章 ベイズ推論の考え方 Part 2 August 22, 2021 33 / 33

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