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アジャイル開発に最適なQA
『アジャイルQA』の導入
テクノロジー本部 QA部
菊知伸征
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自己紹介
名前:菊知伸征
所属:テクノロジー本部 QA部
   2004年入社
勤務先:金沢事業所
DMMのプラットフォーム開発、サービスのバックエンド開発、スクラムマスターな
どを経てQA部へ所属
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背景
スクラム開発を行っているチームへ品質改善活動の課題解決を行うためにQAとして配属
● スクラム開発を始めて1年
● QAメンバーはなし
● テストが計画通りに実施できていない
● よくリリースが遅延する
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スクラムチームに参加してわかった問題
● 各ストーリーが成果物ベースではなく個人のタスク粒度になっている
○ 実装自体がスケジュールに収まらず、テストする時間がなくなる
○ テスト対象わかりずらいので、途中でテストが増加する
○ テスト漏れでリリース直前にバグが見つかり再度テストすることに
考えられる原因
バグが多い時にバッファが足りなくなりリリースが遅れている
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今回の目標
1. 計画的な実装と計画的なテスト
2. 効率の良いテストフローの構築
バグが多い時にバッファが足りなくなりリリースが遅れている
実施する対策
品質を担保しつつスケジュールが押さないスクラム開発とテ
ストのフローを整備する
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進め方
2020年 2021年
9月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月
スクラム整備
テストフロー構築
状況の把握
ストーリー粒度やスプリント計画を改善( Try&Error)
テスト方法の検討
テストフローの改善( Try&Error)
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最初の状態
計画 実装 テスト
ストーリー1
(タスク)
ストーリー2
(タスク)
機能
テスト
FIX ストーリー2
修正
対象を決める
FIX ストーリー1
リリース
スプリント1 スプリント2
ストーリーの実装後のテストでバグが出ると修正が持ち越す
● テスト対象がわかりづらく、確認などでテスト開始が遅れる
● テストに穴が見つかってテスト期間が増加する
テスト
機能テスト ストーリー2
ストーリー1
遅延
ストーリー3
(タスク) FIX ストーリー3 ストーリー3
対策:各画面や機能で実装、及び検証できる粒度になるよう変更
機
能
テ
スト
テスト対象や範囲がはっきりしないので穴が見つかる
© DMM.com 8
課題 -ストーリー調整-
各ストーリーが成果物ベースになっておらず、個人のタスクのような粒度になっている
● どのストーリーに対してテストを実施すべきかわからない
● テスト結果が期待通りかどうか判断できない(穴が見つかる)
データ取得APIの実装
ストーリー1
CSSの修正
ストーリー2
検索機能
マイページ
トップページ
管理画面
テスト?
テスト?
テスト?
テスト?
何のデータ? どこのページ?
© DMM.com 9
● テストを実施する対象がはっきりする
● テスト項目に照らし合わせやすく期待値が明確になる
● テスト計画が立てやすくなる
● テストの穴に気がつきやすくなる
対策 -ストーリー調整-
各画面や機能で実装、及び検証できる粒度になるよう変更
検索した商品が一覧
ページに表示される
データ取得
APIの実装
トップページのバナーを
画面上部に移動する
CSSを修正
検索ワードに一致した商品が一覧に表示されること バナーがトップページの上部に表示されていること
ストーリー1 ストーリー2
期待値 期待値
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次の問題
ストーリーは整理したが・・・
計画 実装 テスト
ストーリー3
ストーリー2 機能テスト FIX ストーリー2
修正
対象を決める
FIX ストーリー3
FIX
リリース
スプリント1 スプリント2
すべてのストーリーが実装完了後にテスト行っている体制では、不具合の結果によりすべてのストー
リーのリリースが遅延する状況となっていた
テスト
機能テスト ストーリー2
ストーリー3
遅延
対策:実装中にこまめにテストが行えるようにストーリーを分解し、テスト自体も素早くフィードバックが得られる方法に変更する
ストーリー1 ストーリー1
ストーリー1
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検索した商品が一覧ページに表示される
11
ストーリー粒度の問題
適切なフィードバックを得られる粒度になっていない
検索した商品が一覧
ページに表示される
データ取得
APIの実装
ストーリー1 実際のタスク構成は
データ取得
APIの実装
データベース
の構築
商品一覧ペー
ジのデザイン
成果物のサイズが大きすぎる
全タスクが完了するまでテストできない
フィードバックの量が多い
予定していたテスト期間を超過する
● 大きすぎるストーリーは、テスト可能になるまで時間がかかる
● フィードバックの量が多くなると、修正期間が延長されるリスクが上がる
© DMM.com 12
粒度を細分化して素早くフィードバック
細かくフィードバックをえる為に探索的テスト採用する
検索した商品が一覧ページに表示される
データ取得
APIの実装
データベース
の構築
商品一覧ペー
ジのデザイン
静的な検索結果
ページを作成する
モックデータで
検索結果ページを
作成する
全データで
検索結果ページを
作成する
分解
● ストーリーを小さくすると、検証範囲も減り短期間でフィードバックまで可能になる
● 機能一覧で全て検証するより、要点を絞った探索的テストでバグ発見が効率的になる
● 小さい単位でスケジュールの調整が可能になる
探索的テストを実施
探索的テストを実施
探索的テストを実施
ストーリー1
© DMM.com
スプリント1
13
現在の状態
改善後のスクラム体制に合わせたテストフローを構築
計画
実装/修正
テスト
対象を決める
リリース
ストーリー1-1
探索的テスト
ストーリー1-1
FIX
ストーリー1-2
探索的テスト
リリース
取りやめ
判
断
ストーリー2/探索的テスト ストーリー2
FIX
実装後すぐに検証し結果をられるので、修正作業の効率がよくなる。
また、テストの結果をすぐに判断し、リリースする対象を部分的に変更することで全体的なリリース遅延を減らすことが
出来る。
スクラムチームにQAが深く入り込こむことが出来れば、
プロダクトの理解が深くなり効率のよい探索的テストが行える
計画
探索的テストだけでも品質を担保できる体制が構築できる
スプリント2
9割以上の
不具合を検出
ストーリー3/探索的テスト ストーリー3
FIX
ストーリー1-2
探索的テスト
対象を決める
ストーリー1-1
ストーリー2
ストーリー3
© DMM.com 14
まとめ
● ストーリーを整備することが、品質向上の最初の一歩
● 最後にまとめて実施ではなく可能な限り細かく実施、細かくフィードバック
● プロダクトのことをよく知り探索的テストで品質を担保する
● リリースの遅延を最小限にするには、見積もりやすく、且つ柔軟な計画が必要
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今後やっていきたいこと
1. 発生した不具合の分析をして、不具合発生を未然に防ぐ
2. テストの自動化ができるところは自動化していく
3. プロダクトをよく知ることは重要ではあるが、属人化しやすいとこ
ろをなんとかする

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