Whyから始めるスクラムマスター
ヤフー株式会社
川鯉光起
Regional SCRUM GATHERING® Tokyo 2016
自己紹介
ヤフー株式会社 メール本部
川鯉 光起
やっていること
・開発エンジニア
・スクラムマスター
・プロセス改善
学生時代からプログラミングメイン
会社でLEGOスクラムに参加して興味を持ちました
ずっとスクラムがやりたくて導入を半年くらい挑戦
スクラム、リーンスタートアップ、TOC
最近はプロセス改善をすることが好き
本セッションについて
お伝えしたいこと
•  課題に対して、なぜ起きているのか考える
•  手法に対して、なぜやるのか考える
•  手法を導入するときは、チームの抱えている課題を解決
するものから導入する
対象
•  スクラムを導入したいスクラムマスター
•  改善活動に苦戦しているスクラムマスター
本セッションについて
経緯
•  スクラムに同意を得たのに一気に導入しようとして失敗
•  本では全ての手法が導入された所からの紹介が多い
•  どこから手を付けていいのか分からなかった
•  1つずつ導入しようとしても何度も失敗した
•  いつの間にか導入ができるようになった
•  振り返ると導入理由を説明できたときに導入成功してた
失敗例 導入時
•  プロダクトバックログを導入
プロダクトバックログで	
  
優先順位管理しましょう
失敗例
失敗例 導入時
•  プロダクトバックログを導入
うーん	
  
プロダクトバックログで	
  
優先順位管理しましょう
めんどくさいな。	
  
全部実装してほしいのに。
失敗例
失敗例 導入時
•  プロダクトバックログを導入
うーん	
  
プロダクトバックログで	
  
優先順位管理しましょう
めんどくさいな。	
  
全部実装してほしいのに。
なぜやるのか伝えていないので
デメリットやコストだけが気にされる
失敗例
失敗例 導入時
•  プロダクトバックログを導入
うーん	
  
プロダクトバックログで	
  
優先順位管理しましょう
めんどくさいな。	
  
全部実装してほしいのに。
なぜやるのか伝えていないので
デメリットやコストだけが気にされる
導入できない
期待する効果 イニシャルコスト
<
失敗例
失敗例 継続時
•  振り返りの時間
•  バーンダウンチャート
失敗例
失敗例 継続時
•  振り返りの時間
•  バーンダウンチャート
毎回やるのめんどくさいな
失敗例
失敗例 継続時
•  振り返りの時間
•  バーンダウンチャート
なんのためにやってるんだっけ
毎回やるのめんどくさいな
失敗例
失敗例 継続時
•  振り返りの時間
•  バーンダウンチャート
なんのためにやってるんだっけ
うまく使えないね
毎回やるのめんどくさいな
失敗例
失敗例 継続時
•  振り返りの時間
•  バーンダウンチャート
なんのためにやってるんだっけ
うまく使えないね
毎回やるのめんどくさいな
あまり意味が無いみたいだし、やめよう
失敗例
失敗例 継続時
•  振り返りの時間
•  バーンダウンチャート
なんのためにやってるんだっけ
うまく使えないね
毎回やるのめんどくさいな
あまり意味が無いみたいだし、やめよう
うまく使えば役立つはずの手法が
なぜやるか分からないので
有効活用できない
失敗例
失敗例 継続時
•  振り返りの時間
•  バーンダウンチャート
なんのためにやってるんだっけ
うまく使えないね
毎回やるのめんどくさいな
あまり意味が無いみたいだし、やめよう
継続できない
得られた効果 ランニングコスト
<
うまく使えば役立つはずの手法が
なぜやるか分からないので
有効活用できない
失敗例
導入/継続が難しい理由
継続できない
得られた効果 ランニングコスト
<
導入できない
期待する効果 イニシャルコスト
<
失敗例
解決策を見つける
課題を見つける
3つのステップ
優先順位をつける
解決策を見つける
課題を見つける
3つのステップ
優先順位をつける
メンバーの行動と発言を観察
課題の影響はメンバーの行動に現れる
•  業務が滞った発言を探す
–  サーバーのバージョン・設定が違ってた
–  正しいドキュメントが分からない
–  プルリクエストの反応が返ってこない
(朝会や振り返りで、すぐに出てこないときも)
•  理想と違った行動を探す
–  残業が多くて帰らない
–  チームの人間関係がよくない
–  朝会でメンバが退屈そう
3つのステップ / 課題を見つける
メンバーの行動と発言を観察
課題の影響はメンバーの行動に現れる
•  業務が滞った発言を探す
–  サーバーのバージョン・設定が違ってた
–  正しいドキュメントが分からない
–  プルリクエストの反応が返ってこない
(朝会や振り返りで、すぐに出てこないときも)
•  理想と違った行動を探す
–  残業が多くて帰らない
–  チームの人間関係がよくない
–  朝会でメンバが退屈そう
なぜ発生しているの?
3つのステップ / 課題を見つける
チームで独自ルールの理由を聞く
制約と課題だと思っていることが分かる
•  独自ルール
–  制約の中で課題を解決しようとしている
–  例:タスク見積もり1日3時間
(1日の見積もり6時間で達成されず短く変更を続けた)
チーム外からの支援、新しく入った場合
3つのステップ / 課題を見つける
チームで独自ルールの理由を聞く
制約と課題だと思っていることが分かる
•  独自ルール
–  制約の中で課題を解決しようとしている
–  例:タスク見積もり1日3時間
(1日の見積もり6時間で達成されず短く変更を続けた)
チーム外からの支援、新しく入った場合
なぜできたルールなの?
3つのステップ / 課題を見つける
チームで独自ルールの理由を聞く
制約と課題だと思っていることが分かる
•  独自ルール
–  制約の中で課題を解決しようとしている
–  例:タスク見積もり1日3時間
(1日の見積もり6時間で達成されず短く変更を続けた)
•  問題
–  見積もりの粒度大
–  時間を小さく見積もる
–  相互にレビューなく誰も気付かず
チーム外からの支援、新しく入った場合
なぜできたルールなの?
3つのステップ / 課題を見つける
解決策を見つける
課題を見つける
3つのステップ
優先順位をつける
解決策を見つける
手法は1つずつ有効な状況と問題をセットで
•  本や勉強会で学ぶ
–  1つ1つの手法についてなぜやるのか考える
•  他のチームを見る・聞く
–  工夫点から、「きっかけ」や「効果」を聞く
–  状況や問題を確認する
•  学んだことをストックする
–  マッチした課題があれば使えるよう通常はストック
3つのステップ / 解決策を見つける
解決策を見つける
手法は1つずつ有効な状況と問題をセットで
•  本や勉強会で学ぶ
–  1つ1つの手法についてなぜやるのか考える
•  他のチームを見る・聞く
–  工夫点から、「きっかけ」や「効果」を聞く
–  状況や問題を確認する
•  学んだことをストックする
–  マッチした課題があれば使えるよう通常はストック
なぜやるのか考える
なぜやるのか聞く
3つのステップ / 解決策を見つける
解決策を見つける 例
•  なぜやるのかの認識で得られるものが変わる
–  朝会は、進 共有か、スプリント達成の作戦会議か
–  進 共有と捉えれば、現状の確認をする
–  作戦会議と捉えれば、どうしたら間に合うか考える
•  目的無く導入するとコストがかかるだけになる
–  同様の問題の再発防止のため根本原因を探る構造化
–  目的があってなければ、時間がかかるだけに
–  目的が合っていれば、問題を解決できる
3つのステップ / 解決策を見つける
解決策を見つける 例
•  なぜやるのかの認識で得られるものが変わる
–  朝会は、進 共有か、スプリント達成の作戦会議か
–  進 共有と捉えれば、現状の確認をする
–  作戦会議と捉えれば、どうしたら間に合うか考える
•  目的無く導入するとコストがかかるだけになる
–  同様の問題の再発防止のため根本原因を探る構造化
–  目的があってなければ、時間がかかるだけに
–  目的が合っていれば、問題を解決できるなぜやるのか考える
なぜやるのか聞く
3つのステップ / 解決策を見つける
解決策を見つける
優先順位をつける
課題を見つける
3つのステップ
小さなことから改善慣れする
•  新規導入の場合、チームは改善活動に慣れていない
•  コストの小さいものから改善を習慣化していく
•  やらないとどうなるのか
–  メリットを示すときに実感が無い
–  コストばかりに目がいってしまう
–  長期の改善までモチベーションが持たない
3つのステップ / 優先順位を見つける
ボトルネックを対処する
•  改善を何度も行ったら、大きな問題を解決する
•  生産性(賞与など目標も)を下げている一番の原因を探す
3つのステップ / 優先順位を見つける
これを使うと
改善例 導入時
•  プロダクトバックログを導入
やろうかな	
  
全部実装しなくても大事なものから実装して	
  
リリースできる状態にしませんか?	
  
評価も下がって賞与減っちゃいますし。	
  
リリースが何度も伸びている	
  
プロダクトバックログを!
リリース伸びる	
  
リスクが減るのか
改善後
リリースが何度も伸びている	
  
プロダクトバックログを!
改善例 導入時
•  プロダクトバックログを導入
やろうかな	
  
全部実装しなくても大事なものから実装して	
  
リリースできる状態にしませんか?	
  
評価も下がって賞与減っちゃいますし。	
  
導入できない
イニシャルコスト
<期待する効果
改善後
リリース伸びる	
  
リスクが減るのか
リリースが何度も伸びている	
  
プロダクトバックログを!
改善例 導入時
•  プロダクトバックログを導入
やろうかな	
  
全部実装しなくても大事なものから実装して	
  
リリースできる状態にしませんか?	
  
評価も下がって賞与減っちゃいますし。	
  
リリース伸びて評価悪く
なっちゃうのやだな。
導入できる
期待する効果 イニシャルコスト
>
導入できない
イニシャルコスト
<期待する効果
改善後
リリースが何度も伸びている	
  
プロダクトバックログを!
改善例 導入時
•  プロダクトバックログを導入
やろうかな	
  
全部実装しなくても大事なものから実装して	
  
リリースできる状態にしませんか?	
  
評価も下がって賞与減っちゃいますし。	
  
リリース伸びて評価悪く
なっちゃうのやだな。
導入できない
期待する効果 イニシャルコスト
<
導入できる
期待する効果 イニシャルコスト
>
なぜやるのか説明することで
期待する効果を大きくした
改善後
まとめ
•  課題に対して、なぜ起きているのか考える
–  表面的な課題ではなく、喜ばれる改善に繋がる
•  手法に対して、なぜやるのか考える
–  導入する際にチームにメリットを提示できる
–  効果を得やすくなる
•  手法を導入するときは、チームの抱えている課
題を解決するものから導入する
–  チームが改善慣れし、信頼を得られ、改善が進む

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