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遺跡立地分析遺跡立地分析
2019文化財担当者研修
遺跡GIS課程
CREATED BY ISHII JUNPEI (CREATED BY ISHII JUNPEI ( ))@ISHIIJUNPEI@ISHIIJUNPEI
この時間に覚えることこの時間に覚えること
標高データから新たな地形指標を作成する
プロセッシング機能を使った他のGISソフト機能の
利用
ラインベクタから距離ラスタの作成
ラスタ計算による遺跡予測地図の作成
データを開く
Data→raster→DEM_utm54.tif
Data→vector→vector.gpkg→Site
傾斜角度と傾斜方位傾斜角度と傾斜方位
「r.slope.aspect」
「r.slope.aspect」
傾斜方位ラスタ
傾斜角度ラスタ
傾斜方位は東が原点
半時計回り
日射量を算出日射量を算出
「r.sun.insoltime」
「r.sun.insoltime」
No. of day of the year
実行すると40分くらいかかる
事前準備データを開く
Data→raster→Irradiation.tif
河川データラスタ化河川データラスタ化
遺跡の立地に関係しそうな要素として河川からの距
離
河川からの距離をラスタ地図化して距離地図作成
Data→vector→vector.gpkg→WL_line_utm54
「ラスタ」→「変換」→「ベクタ化(ラスタのベクタ
化)」
出力領域
417000.0,459000.0,4621000.0,4659500.0
「エクスポート」→「名前をつけて保存」
→「WL.tif」
距離ラスタに変換距離ラスタに変換
ラスタ化された河川データは2値データ
2値ラスタを距離ラスタに変換
「ラスタ」→「解析」→「Proximity」
Proximity
「エクスポート」→「名前をつけて保存」
→「WL_buffer.tif」
傾斜方位をカテゴリ化傾斜方位をカテゴリ化
傾斜方位(Aspect.tif)は連続量
離散量に変換
「北」、「東」、「南」、「西」
「ラスタ」→「ラスタ計算機」
ラスタ計算機
連続量を離散量に変換
東が0で半時計回りに増加するラスタ地図
東=「10」、北=「20」、西=「30」、南=「40」が
代入された離散的なラスタ地図作成
傾斜方位ラスタを離散量に変換
("Aspect@1">0)*("Aspect@1"<=45)*10+
("Aspect@1">45)*("Aspect@1"<=135)*20+
("Aspect@1">135)*("Aspect@1"<=225)*30+
("Aspect@1">225)*("Aspect@1"<=315)*40+
("Aspect@1">315)*10
Data/Rule/Aspect_Reclass.txt に上記の計算式があ
るのでコピー・ペーストで使用する。
#Aspectレイヤのバンド1
"Aspect@1"
# 真(0より大きい)なら計算機は「1」を返し、偽なら「0」を返す
"(Aspect@1">0)
# 0より大きく45以下の値は「1」を、それ以外はすべて0
("Aspect@1"<0)*("Aspect@1"<=45)
# 「0以上45以下」という条件を満たすピクセルには「10」が代入される
("Aspect@1"verb|<|0)*("Aspect@1"<=45)*10
# 同様に45〜135(北)では20が代入され、135〜225(西)では30が代入され、
# 225〜315(南)では40が代入され、315〜(東)は10が代入される
# 計算機が「1」を返す項は一つしかないので、全部の項を足し合わせると
# 真となる項の数字だけが該当するピクセルに代入される
カテゴリ化された傾斜方位ラスタ
遺跡立地評価式遺跡立地評価式
遺跡立地に影響を与える地形指標
標高
日射量
傾斜角度
傾斜方位
河川からの距離
地形指標を用いて遺跡の立地可能性を示す地図作成
考え方考え方
「主観的」に地形指標と遺跡の立地の可能性につい
て係数を算出
例えば遺跡は「南向きの緩傾斜」に立地すると考
える。
「Aspect_reclass.tif」が40(南向き)=100点、
10(東向き)=80点、30(西向き)=70点、
20(北向き)=50点というように配点
遺跡立地の可能性が高いと思われる指標には大きな
係数を割り当てる
ラスタ計算機を用いて遺跡立地地図を作成するため
の地形指標の評価式を実行する
標高標高
標高は高すぎても暮らしにくいが、低すぎても湿地
のような地形で暮らしにくそう
5m以下では標高が低くなるにつれて配点を下げる
5mを超えると標高が高くなるにつれて配点を上げ
る
("DEM_utm54@1"<5)*("DEM_utm54@1"*10)+
("DEM_utm54@1">=5)*(500/"DEM_utm54@1")
標高評価式
# 標高5m未満=1、それ以外は0
("DEM_utm54@1"<5)
# 10を乗じているため、最初の括弧が「1」なら標高4mの地点は「1*4*10」で40が出
# 同様に、標高1mなら10が出力
("DEM_utm54@1"<5)*("DEM_utm54@1"*10)
# 標高が5m以上=1を、それ以外は0
("DEM_utm54@1">=5)
# 500を標高で除す。標高5mで最高点の100点が出力され、標高500mでは1が出力
("DEM_utm54@1">=5)*(500/"DEM_utm54@1")
傾斜傾斜
なるべく緩い方が集落の形成には有利と判断
傾斜0を100点とし、傾斜が増すごとに点数が漸減
するように配点
45度を超えると集落の形成は不可能と判断し、配
点を0とする
("Slope@1<=45)*(100-"Slope@1"/45*100)
傾斜の評価式
# 傾斜が0度の場合
100-0/45*100 = 100
# 傾斜が45度の場合
100-45/45*100 = 0
# 傾斜が30度の場合
100-30/45*100 = 33.33
日射量日射量
日射量は多いほうが集落形成に有利と判断
日射量に応じて最小値が0、最大値が100になるよ
うに計算式を工夫
日射量の評価式
平均値 7067.65
標準偏差 689.64
10*("Irradiation@1"-7067.65)/689.64+50
河川からの距離河川からの距離
河川からの距離は近いほうが遺跡立地に有利そうだ
が
あまりにも河川に近いところは不適切ではないか
河川から100mを最高得点とし、近くても遠くても
点数が下がるように配点
河川からの距離評価式
("WL_buffer@1"<50)*("WL_buffer@1"/50*100)+
("WL_buffer@1">=50)*(50/"WL_buffer@1"*100)
河川からの距離評価式
# 河川からの距離が50m未満の場合、河川に近づくにつれて配点が下がる
("WL_buffer@1"/50*100)
# 川からの距離が50m以上の場合、川から遠ざかるにつれて配点が下がる
(50/"WL_buffer@1"*100)
傾斜方位傾斜方位
南向きの斜面で高得点、ついで東向き、西向き、北
向きを最低得点に配点
南を最高得点の100に、北を最低得点の50に配点
傾斜方位の評価式
("Aspect_reclass@1"=40)*100+("Aspect_reclass@1"=10)*80+
("Aspect_reclass@1"=30)*70+("Aspect_reclass@1"=20)*50
傾斜方位の評価式
# 傾斜方位が40(北)の場合に100点を付与
("Aspect_reclass@1"=40)*100
# 傾斜方位が10(東)の場合に80点を付与
("Aspect_reclass@1"=10)*80
# 傾斜方位が30(西)の場合に70点を付与
("Aspect_reclass@1"=30)*70
# 傾斜方位が20(北)の場合に50点を付与
("Aspect_reclass@1"=20)*50
すべての計算式すべての計算式
Data/Rule/Predictive_calc.txtの計算式をコピー・
ペースト
# 標高
("DEM_utm54@1"<5)*("DEM_utm54@1"*10)+
("DEM_utm54@1">=5)*(500/"DEM_utm54@1")+
# 傾斜
("Slope@1<=45)*(100-"Slope@1"/45*100)+
# 日射量
10*("Irradiation@1"-7067.65)/689.64+50+
# 河川からの距離
("WL_buffer@1"<50)*("WL_buffer@1"/50*100)+
("WL_buffer@1">=50)*(50/"WL_buffer@1"*100)+
# 傾斜方位
("Aspect_reclass@1"=40)*100+("Aspect_reclass@1"=10)*80+
("Aspect_reclass@1"=30)*70+("Aspect_reclass@1"=20)*50
ラスタ計算機で遺跡立地ラスタを生成
遺跡立地評価ラスタ
まとめまとめ
実際に遺跡予測地図を作成する場合には、それぞれ
の地形指標と遺跡立地の関係について実証的な評価
が必要
統計モデルへの当てはめ
各地形指標の係数について「あてはまりの良さ」を
評価
dependencies: [ { src: 'reveal.js-2.6.1/plugin/markdown/marked.js', condition: function() { return !!document.querySelector( '[data-markdown]' ); } }, { src:
'reveal.js-2.6.1/plugin/markdown/markdown.js', condition: function() { return !!document.querySelector( '[data-markdown]' ); } } ]

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