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地域での療養生活の支え
療養生活を支える制度
島根大学医学部環境保健医学講座
名越 究
③ 地域医療情報連携・まめネット( 2024 年秋版)
この動画の目的
1. 医療機関間の診療情報の共有が患者さんの療養に
役立つことを知る
2. 自らが医療情報の提供に貢献するとともに、地域
での診療に活用する
地域医療情報連携とは①
I. 医療機関同士の連携(病 - 病、病 - 診)
II. 地域での多職種の連携
地域医療のためのシステム
電子カルテのオンライン共有
地域包括ケア(医療・介護連携)のためのシステム
連絡帳のオンライン化
地域医療情報連携とは②
長島先生は、昭和 59 年 島根医科大学卒業
まめネットとは
セキュアな文書交換
ファイル共有
紹介状送信
オンライン電子カルテ共有
オンライン連絡帳
カンファレンス
使用例① 連携カルテ
患者さんの同意を得た医療
機関(病院・診療所・調剤
薬局・訪問看護 ST 等)同
士で、
 カルテやプロファイル
 検査履歴・結果
 レポート など
患者さんの同意のもと、各
種診療情報を登録(提供)
/経時的に閲覧することが
できます。
使用例② 遠隔地で使ってみましょう
 三次医療機関と県内全域の
地域中核病院の連携
 地域での中核病院と診療所
の連携
※ 大病院の医師は、外勤先で両院の
カルテを参照しながら患者の診療
をしている!
※ 在宅療養中の患者のレスパイトケ
アでは特に便利!
アクセスログに基づくネットワーク図( 2021 年 10 月)
使用例③ ローカルで使ってみましょう
 介護事業所の参加が一番多い
(介護保険関連書類の送受
信)
 連携カルテの閲覧が一番多い
のは訪問看護ステーション
 地域包括ケアのインフラとし
ての位置づけ※
※ オンライン連絡帳機能は、他シス
テムを使っているところも多い
( Medical Care Network 、電子
@連絡帳など)
まめネットを使うには①医療機関の医師
① まず、自分が勤務している医療機関がまめネットに入って
いるか確認しましょう
② 院内でまめネットに接続するためには電子カルテに用いる
ID ・ PW とは別に、まめネット用のログイン ID が必要な
ので、情報管理室からしまね医療推進ネットワーク利用申
請書を入手し、申請しましょう
③ 「まめネット利用者登録通知書」が届きます。電子カルテ
のポータルから、まめネットのサインイン画面を開き、付
与されたログイン ID とパスワードを入力してサインイン
④ マニュアルが完備されているので、すぐに、いろいろな機
能が使えます
まめネットのホームページで調べましょう
島根大学医学部附属病院のログイン画面
まめネットを使うには②患者さん
① 患者さんが通っている他の医療機関が、ま
めねっとに入っている調べましょう
• 診療情報提供機関なら、検査、処方・注射、二
号用紙など共有できます
• 紹介、逆紹介時の情報量が格段に増えて患者さ
んの療養の質が上がります
• 連絡帳を通じて訪問看護ステーションからの
フィードバックがあれば、リアルタイムに患者
さんの状況が判ります
② 患者さんがまめネットカードを持っている
かどうか尋ね、取得を促しましょう。自院
の医療相談室(診療所であれば事務室)で
手続が出来ます
③ 患者さんには、自院と連携先の双方で閲覧
の同意手続をしていただく必要があります。
まめネットのホームページで調べましょう
このステッカーが目印
<参考>電子カルテ情報共有サービスとは
地連ネット(まめネッ
ト)
電子カルテ共有サービス
目的 地域医療連携
地域包括ケア
医療保険のオンライン資格
確認認証基盤の有効活用
規模 ローカル
(技術的には全国も
可)
全国
参加機関 参加医療機関のみ 悉皆(保険医療機関)
活用の場 医療機関、薬局、訪問
看護 ST 、福祉施設、
行政
病院、診療所、薬局
実績 あり(約 20 年) なし( R6 年度試行開始)
まとめ
1. 自分が診ている患者さんが、中核病院、診療所、
在宅それぞれの場で、リアルタイムで更新される
診療情報を共有してもらえれば、療養の質が向上
する可能性があります。
2. 多職種連携のシステムによって、地域包括ケアの
基盤が整いつつあります。
<参考>政府が進める電子カルテ共有サービスについ
ては新しい情報が入り次第更新していきます。

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地域での療養生活の支え療養生活を支える制度 ③地域医療情報連携・まめネット【ADVANCED2024】

Editor's Notes

  • #1: 患者さんの、地域での療養生活を支える制度について、勉強していきたいと思います。3回目は、島根県が県全域で取り組んでいる地域医療情報連携ネットワーク、まめネットについて解説します。
  • #2: 今回勉強する目的、到達点を示します。 情報ネットワーク医療機関間の診療情報の共有が患者さんの療養に役立つことを知る 医療従事者自らが医療情報の提供に貢献するとともに、地域での診療に活用できるようになる の2点です。
  • #3: みなさんは地域医療情報連携という言葉を聞いたことがあると思います。島根県内の精神科を含む病院の半数の電子カルテは既にネットワーク化されていて、他の病院、診療所、在宅から見られるようになっています。 使っている関係者の方々に訊いてみると、一度使い始めるとなかなか手放せないとおっしゃいますが、しかし、実際にシステムを使っている人はそんなに多くないというデータもあります。 この動画はまだ使ったことがない人に一度使っていただきたいと思って作ったものです。 地域医療情報連携と言えば、病病、病診と思われがちですが、近年は在宅での多職種連携のツールとして活用の場を広げつつあります。
  • #4: 地域医療情報連携ネットワークの活用について、島根医科大学OBで現在日本医師会の常任理事をお勤めになっておられる長島先生が作成された図を紹介します。 赤い縦の軸は、電子カルテ上の診療情報に端を発し、病院内、病病・病診連携という旧来からの連携を示します。 青い横の軸は、医療機関を出て、在宅医療・福祉関係者・行政まで含めた多職種連携を示します。地域包括ケアのインフラとして、地域医療情報連携ネットワークは拡がりを見せています。
  • #5: 島根県で運用されているまめネットの機能についてみてみましょう。患者さんの情報というのはセキュアな環境で扱うことが求められますが、まめネットは高いレベルでそれを満たしています。 右側、さまざまな連携アプリが会員の間で利用可能で、連携カルテや診療・検査予約、調剤情報管理などは、医療機関同士の連携で用いられます。 在宅ケア支援では連絡帳、SNS的な使い方が可能で、福祉関係者も含めた多職種が同じ患者さんの情報を共有することが出来ます。 Zoomのようなweb会議システムも搭載されていて、セキュリティが施された環境の中でカンファレンスが可能です。 左側にある、基本サービスは会員の間での紹介状や文書などの情報共有を円滑にするものです。医療情報も含む機密性の高い情報をセキュアな環境の下で共有でき、新型コロナの時は行政と感染者を治療する医療機関の間で重要な役割を果たしました。
  • #6: 医療機関の連携で一番よく用いられる、連携カルテアプリの画面を見てみましょう。 病院によっては2号用紙部分の情報を公開している場合があり、患者さんの経過の理解が一層深まります。 SOAが2号用紙。処方、注射、検体検査、画像レポート、手術記録、看護記録などが時系列的にならび、他院での治療の状況が一覧できます。 カレンダーの中にアイコンが出ている箇所をクリックすると、右側に内容が表示されます。 在宅の患者の訪問診療、訪問看護の際、病院にいる時とかわらない情報にアクセス可能です。
  • #7: 右側の図は、まめネットのアクセスログを基に、1か月間の医療機関間の情報の閲覧情報を可視化したものです。県内あらゆるところと情報のやり取りがあることが判ります。 島根県では三次医療機関が東部に偏在しているということもあり、石見ー出雲、隠岐ー出雲の医療情報連携が非常に重要である、という特性があります。 遠くの病院に入院した患者さんにとって、地元に戻った後かかりつけの医療機関から入院時の診療データを直接確認してもらえるのは安心感があります。 また、遠くの病院に患者さんを紹介した先生にとっても、紹介先での治療の状況が自分のパソコン上でリアルタイムでわかるというのは助かるはずです。 大学病院の先生は外勤先でも自分の気になる患者さんの情報を参照することが出来ます。 遠くの病院から戻ってくる際の退院時カンファレンスもオンライン会議アプリで実施可能で、とても便利です。
  • #8: まめネットでは患者さんが持つカードの発行枚数も7万5千を超えています。島根県の人口が63万人であることを考えると相当な加入数であると言えます。 島根県の病院の9割、医科診療所の半数、訪問看護ステーションの8割弱が加入しています。介護事業所の加入が438件と最も多く、福祉関係者と医療関係者の間の情報共有が進められています。 連携カルテサービスは医療機関の登録が多いですが、閲覧実績件数では訪問看護ステーションが診療所を抜いて一番多くなりました。 情報連携の場が在宅に広がってきていることがわかります。 医介連携に用いる連絡帳機能を持ったアプリはまめネット以外にもたくさんありますので、在宅患者さんを囲むグループごとに上手に使い分けるので良いと思います。
  • #9: 使うのを躊躇している先生も多いと思いますが、ぜひ一度登録していただければと思います。 まず、自分が勤務している医療機関がまめネットに入っているか確認しましょう。一般病院の多くは登録されています。 院内でまめネットに接続するためには電子カルテに用いるID・PWとは別に、まめネット用のログインIDが必要なので、病院の情報管理室から利用申請書を入手し、申請しましょう 「利用者登録通知書」が届きます。電子カルテのポータルから、まめネットのサインイン画面を開き、付与されたログインIDとパスワードを入力してサインインしてください。 オンラインマニュアルが完備されているので、すぐに、いろいろな機能が使えます
  • #10: まめネットに登録されている患者さんであれば、ほかの医療機関の、検査、処方・注射、二号用紙などを閲覧できますし、自分で入力した情報を見てもらうこともできます。 紹介、逆紹介時に確認できる情報量が格段に増えて患者さんの療養の質の向上につなげられます。 連絡帳機能によって訪問看護ステーションからダイレクトなフィードバックも得られますし、訪問診療を行っているクリニックがカルテの情報を提供しているところであれば、在宅患者の検査値なども病院から見ることができます。 患者さんがまめネットカードを持っているかどうか尋ね、取得を促しましょう。自院の医療相談室(診療所であれば事務室)で手続が出来ます 注意すべき点は、患者さんに、自院と連携先の医療機関の双方で閲覧の同意手続をしていただく必要があるということです。同意なき閲覧はできません。
  • #11: 最後に、2025年から本格稼働するといわれている、マイナンバーカードによる電子カルテ共有サービスとまめネットの違いに触れます。 まめネットは参加医療機関の間では常にデータが病院の電子カルテの感覚で見られるのに対し、電子カルテ共有サービスは見られるデータの項目や時間的な制限があります。 すべての保険医療機関で使えるとは言え、電子カルテ共有サービスが日常診療レベルで便利になるかどうかはまだ明らかではなく、今後の開発には相当の時間を要すると思います。
  • #12: まとめです、地域医療情報連携ネットワーク、島根県ではまめネットのことを指しますが、自分が診ている患者さんが、病院、診療所、在宅それぞれの場で、診療情報を共有してもらうことにより、療養の質を向上させるというものです。 地域では、多職種連携のシステムによって、地域包括ケアの基板が整いつつあります。 政府が進める電子カルテ共有サービスについては新しい情報が入り次第更新していきます。