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成果のオープン化を前提とした共同研究開発の為の 
契約書ひな形の制作 
- GRP Contract Form Ver.2 - 
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第19回 日本バーチャルリアリティ学会大会 (2014 / 9) 
○ 九州大学 / 山口情報芸術センター[YCAM] 坂井洋右 
山口情報芸術センター [YCAM] 伊藤隆之 
九州大学  富松潔 
3
4 
GRP Contract Form の概要 (ver.1) 
+ 
GRP Contract Form アップデートのお知らせ(ver.2)
5 
・共同研究の事例! 
! 
・研究成果の運用! 
! 
・メタデザイン! 
! 
・ハッカソン
6
メディアアートに特化したアートセンター 
‣ 研究開発チーム “YCAM InterLab” 
www.ycam.jp 
[自己紹介] 山口情報芸術センター [YCAM] 
7
[自己紹介] 山口情報芸術センター [YCAM] 
成果をどう展開? 
どんなクリエイションプロセス? 
8 
www.ycam.jp
9
背景 
10
[背景] 山口情報芸術センター[YCAM]におけるオープン化の試み 
メディア技術, コンテンツ, 契約関連ドキュメント, ワークショップ 
·Forest Symphony (2013) 
·YCAMサマースクール (2013) 
·YCAMサマースクールでの成果公開の同意書 (2013) 
·Reactor for Awareness in Motion (RAM) (2013) 
·GRP Contract Form (2013) 
·Guest Research Project vol.2 (2012) 
·EyeWriter 2.0 のつくりかた (2012) 
·Guest Research Project vol.1 (2011) 
·Choreography filmed: 5days of movement (2011) 
YCAMにおけるオープン化の試み http://interlab.ycam.jp/projects/open-sharing 
11
12 
[背景] Forest Symphony (2013) 
各地の樹木の生体電位をもとにサウンドを生成するインスタレーション作品 
国内5カ所、アメリカ、オーストラリア、ハンガリー、計9カ所で計測 
http://interlab.ycam.jp/projects/forestsymphony
13 
[背景] Forest Symphony (2013) 
各地の樹木の生体電位をもとにサウンドを生成するインスタレーション作品 
国内5カ所、アメリカ、オーストラリア、ハンガリー、計9カ所で計測 
http://interlab.ycam.jp/projects/forestsymphony
14 
[背景] Forest Symphony (2013) 
・樹木の生体電位計測デバイス等のオープン化 ! 
! ! ! ! > デバイス設計情報、サンプルソフトウェア! 
・取得した生体電位データのオープン化
Other Voices, Other Rooms by Shingo Sasahara 
http://vimeo.com/93060880 
15 
[背景] Forest Symphony (2013) 
Tele-Flow by 宮城大学 土岐謙次研究室+東北芸術工科大学 酒井聡研究室 
http://kenjitoki.tumblr.com/post/92291446621/ii
YCAMにおけるオープン化の試み 
http://interlab.ycam.jp/projects/open-sharing 
16 
[背景] 山口情報芸術センター[YCAM]におけるオープン化の試み
[背景] 近年のクリエイションの状況 
17 
なんで?
[背景] 近年のクリエイションの状況 
18
[背景] 近年のクリエイションの状況 
19
[背景] 近年のクリエイションの状況 
20
21 
[背景] 近年のクリエイションの状況
[背景] 近年のクリエイションの状況 
オープン化 
成果を、第三者が一定の範囲で自由に利用できる状態におき 
(オープンに共有し)クリエイティビティ向上をめざす 
多くのユーザが成果を利用 - クリエーターへのフィードバック 
クリエイティビティ向上 
[アイディアや成果を生み出すこと、その質・量、その可能性]を向上 
クリエイター・参加者・ユーザー 
新しい表現・問題解決 
22 
.. [YCAM]における成果のオープン化
23
GRP Contract Formの概要 
24
25 
[課題] YCAM InterLab “Guest Research Project” 
・共同研究開発プロジェクト 
ホスト(YCAM) + コラボレータ 
・成果のオープン化 
・滞在型
26 
[課題] Guest Research Project vol.1 (2011) 
・”プロジェクタカメラ・ツールキット” 
・Kyle McDonald氏 
・ProCamToolKit、mapamok 
プロジェクションマッピングに必要なキャリブレーションを 
容易に実現するためのソフトウェア 
http://interlab.ycam.jp/projects/guestresearch/vol1
[課題] Guest Research Project vol.1 (2011) 
‘Girls Night Out’ (Lex van der Sluijs) 
(City Life Church, The Hague, 2012) 
Real-time projection mapping (II) 
http://twnkls.com/2014/01/26/real-time-projection-mapping-ii/ 
マルチプロジェクターのサポート、コンテンツを有するショーセグメントを規定する機能、 
ヴィジュアライゼーションをコントロールするGUIを追加 
Githubで公開 
27 
Youtube公開事例 (mapamok:20+)
28 
[課題] コラボレーション成果のオープン化に必要な要素 
オープン化に必要な要素 
・成果の権利処理 
・クレジット作成 
・ドキュメント制作 
・コミュニティ運営、保守 etc.. 
齟齬があると問題 
事前に2者間で合意すべき 
ホストコラボレータ
29 
逐次的に処理 >>> まずい!! 
[課題]
30 
[目的] オープン化を前提とした共同研究開発の為の契約書ひな形 
GRP Contract Form 
成果のオープン化を前提とした 
共同研究開発の契約書ひな形 
オープン化に必要な要素 
・成果の権利処理 
・クレジット作成 
・ドキュメント制作 
・コミュニティ運営、保守 etc..
関連事例 
31
32 
[関連事例] Eyebeam Creative Residencies 
http://www.eyebeam.org/programs/creative-residencies
33 
[関連事例] 共同研究開発のための契約書ひな形 
京都大学 共同研究契約書! 
http://www.saci.kyoto-u.ac.jp/?page_id=249
34 
[関連事例] 
成果のオープン化を前提とした 
共同研究開発の契約書ひな形 
ない!!
制作と利用 
35
[制作] GRP Contract Form ver.1 の制作 
全6章 
(第1章 総則) 
(第2章 本件業務) 
(第3章 成果物の権利帰属) 
(第4章 成果物の公開) 
(第5章 その他の権利・義務) 
(第6章 一般条項) 
監修:水野祐 (弁護士, シティライツ法律事務所)! 
GRP Contract Form の制作と公開! 坂井洋右, 伊藤隆之! 情報処理学会デジタルコンテンツクリエイション研究会 2013年11月
37 
[制作] GRP Contract Form ver.1 の設計 
GRP Contract Form 
・オープン化に必要な要素 
・成果の権利処理 
・クレジット作成 
・ドキュメント制作 
・コミュニティ運営、保守 etc.. 
・Guest Research Projectを原型、滞在型 
・対等性、高いクリエイティビティに配慮 
・モジュール構造
[制作] GRP Contract Form ver.1のオープン化 
GRP Contract Form の制作と公開! 坂井洋右, 伊藤隆之! 情報処理学会デジタルコンテンツクリエイション研究会 2013年11月 
38
39
40 
[利用] Guest Research Project vol.2 (2012) 
”ジェネレーティブ・メディアのためのコンポジション・ツール” 
・James George氏 
・ofxTimeline,Duration 
http://interlab.ycam.jp/projects/guestresearch/vol2
41 
[利用] Guest Research Project vol.2 (2012) 
Blaus (Playmodes) 
Laser beams, light and sound installation | VAD Festival | Girona | 2012 
HONORARY MENTION, PRIX ARS ELECTRONICA 2013 
http://playmodes.com 
キラキラウィンターファーム2012 
(Rhizomatiks) 
Switch No2 vol31, 2013
・MOTIONER” 
ローコストの慣性式モーションキャプチャーシステム ” 
・”RAM Dance Tookit” 
クリエイティブなダンスのための環境を作り出すC++のツールキット 
42 
[利用] Reactor for Awareness in Motion (RAM) (2013) 
環境の中で主体的に情報を発見し 
豊かな動きのイマジネーションを見出すための反応装置 
http://ram.ycam.jp
43 
[利用] Reactor for Awareness in Motion (RAM) (2013) 
3カ国でワークショップ、デモンストレーションを実施
44 
[利用] GRP Contract Formの効果 (ヒアリング結果) 
・スムースに作業を進める事ができた 
行うべきタスクがわかりやすい 
具体的な議論をすぐに行うことができた 
不安を減らせた 
適切な権利処理 
プロジェクト終了後の可用性を担保 
・成果のクオリティが上がった 
より応用性を持つものとなった 
オープン化に必要な課題を解決 
クリエイティビティ向上 
GRP Contract Form の制作と公開! 坂井洋右, 伊藤隆之! 情報処理学会デジタルコンテンツクリエイション研究会 2013年11月
アップデート 
45
[アップデート] MEDIA/ART KITCHEN YAMAGUCHI (2014) 
9/283:20 まで46 
!! 
・さまざまなコラボレータが参加 
日本、インドネシア、シンガポール、マレーシア 
流動的に参加 
コラボレータごとの「ラボラトリー」 
・地域に密着したアート作品の制作 / 研究開発 
誰が何を開発するかは、事前には固定しない 
アジアの 若手アーティストの地域社会に2014/
47 
[アップデート] 課題 
2者でR&D (ver.1→OK) 3者以上でR&D 
コラボレータ 
コラボレータ 
コラボレータ 
ホスト 
コラボレータ 
コラボレータ 
コラボレータ 
ホスト 
コラボレータの組み合わせが 
事前に予測不可能 
Ver.1では想定せず 
ホストコラボレータ 
突発的に
48 
あらためて 
・全員で合意 
成果の権利処理など 
・契約書作成 
全員連名で署名 
コラボレータ 
コラボレータ 
コラボレータ 
3者以上でR&D 
ホスト 
クリエイションへの悪影響 
スピード・リズム 
クリエイティビティを低下 
[アップデート] 課題と目的 
これを解決!!
49 
[アップデート] 事前解決手法の設計 (ver.2) 
・他のコラボレータとの研究開発 
成果が発生 
・他のコラボレータがホストと同条件で契約 
権利処理、成果の公開、ドキュメント作成 etc. 
IF 
・成果の権利を共有 
オープン化などについて同様の扱い 
・クレジット併記 
複数のコラボレータによること 
Then 
コラボレータA 
コラボレータB 
ホスト 
コラボレータA 
コラボレータB 
ホスト
50 
[アップデート] 条項の実装 (ver.2) 
10.4 他のコラボレーターと共同で制作した成果の権利の帰属! 
本件業務において、主催者およびコラボレーターに加え、他のコラボレーターと共同で制作し、成果物が発生した場合、当該成果物に関し、第1項から第3項に基づき主催者およびコラボ 
レーターにより共有した権利は、主催者、コラボレーターおよび他のコラボレーターによる共有とする。 
10.6 共有された権利の行使! 
第1項から第5項に定める本件成果物に関する知的財産権を含む一切の権利の一部または全部が主催者とコラボレーターの共有である場合、主催者またはコラボレーターは、かかる共有に係 
る権利をそれぞれ単独で行使することができる。ただし、主催者またはコラボレーターの単独による権利行使に正当な理由がない場合(強行規定として単独行使が認められない場合も含む) 
にはこの限りではない。なお、本件成果物のうち著作権の対象とならないデータについては、主催者またはコラボレーターはこれを単独で利用することができる。また、本項は第4項に定め 
る主催者、コラボレーターおよび他のコラボレーターの共有である場合に準用する。 
13.7 成果物に関する表記! 
主催者は、本件成果物及びその派生物を利用又は公開する場合には、本契約期間中および本契約期間終了後においても、主催者およびコラボレーターが共同で制作したこと(主催者およびコ 
ラボレーターに加え、他のコラボレーターと共同で制作し成果物が発生した場合は、主催者、コラボレーターおよび他のコラボレーターが共同で制作したこと)を表記しなければならない。 
表記に関する具体的な内容は、主催者・コラボレーター間において別途協議して決定する。 
14.2 成果物に関する表記! 
コラボレーターは、本件成果物及びその派生物を利用又は公開する場合には、本契約期間中および本契約期間終了後においても、主催者およびコラボレーターが共同で制作したこと(主催者 
およびコラボレーターに加え、他のコラボレーターと共同で制作し成果物が発生した場合は、主催者、コラボレーターおよび他のコラボレーターが共同で制作したこと)を表記しなければな 
らない。表記に関する具体的な内容は、主催者・コラボレーター間において別途協議して決定する。 
・追加の合意/契約書作成の必要なし 
条件を満たせば権利を共有、クレジット併記 
・他のコラボレータとの恊働の可能性を担保 
クリエイションの多様性(→クリエイティビティ)を増加
51 
[アップデート] その他のアップデート (ver.2) 
・データ公開時のCC0の採用 
! 
・ガイドラインの参照 
! 
・定義文追加(2条) 
ソフトウェアの定義の明確化(コラボレータからの要望を反映)等 
! 
・その他 
契約の目的にクリエイティビティの向上を追加(1条) 
成果物の多様化への対処(1条) 
“リサーチャー”から”コラボレーターへの変更”(各所) 
第14条のタイトル変更"保証等">"保証" 
コラボレーターによる公開作業の義務化 
主催者所有となった有体物のハンドリングの記載(9条) 
委託料 ”手取り”>”税込”(13条) 
交通費についての記述の修正
[実践] GRP Contract Form ver.2のオープン化 
52
53
今後の展開 
54
・Ver.2の利用効果の調査! 
! ! 
・アップデート! 
! ! 新たな制度・しくみの導入 
[今後の展開] 
55
[今後の展開] 波及 
56 
・成果のオープン化を前提とした活動! 
! 
! パーソナルファブリケーション・オープンデザイン etc.!
ホストコラボレータ 
・大八耐 http://www.daihachitai.com 
57 
[今後の展開] 波及 
・コラボレータが不特定なクリエイション 
! ハッカソン、アイディアソン、教育カリキュラム etc.! 
! フラットな関係 
[参考]
[今後の展開] 
・・58 
連携: オープンソース契約書 / リーガルデザイン 
! twitter / innovators-patent-agreement (twitter)! 
! 
! IAMAS/ makeathon agreement (IAMAS)
[検討] メタデザインのオープンデザイン 
New Project Framework! 
59 
PROJECT 
Achievement! 
PROCESS 
Tool! 
Result of Study 
OpenSharing New Expression 
OpenSharing 
Solve Problem 
meta-design 
e.g. Fablab憲章, 教育カリキュラム (他領域のプロセス) 
New Activity 
PROJECT 
PROJECT 
PROJECT 
PROJECT
60 
謝辞 
水野祐氏 
(弁護士, シティライツ法律事務所, Creative Commons Japan)
61 
成果のオープン化を前提とした共同研究開発の為の 
契約書ひな形の制作 
- GRP Contract Form Ver.2 - 
ご清聴ありがとうございました

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成果のオープン化を前提とした共同研究開発の為の契約書ひな形の制作 - GRP Contract Form Ver.2 -

  • 1. ! ! ! 成果のオープン化を前提とした共同研究開発の為の 契約書ひな形の制作 - GRP Contract Form Ver.2 - ! ! 第19回 日本バーチャルリアリティ学会大会 (2014 / 9) ○ 九州大学 / 山口情報芸術センター[YCAM] 坂井洋右 山口情報芸術センター [YCAM] 伊藤隆之 九州大学  富松潔 3
  • 2. 4 GRP Contract Form の概要 (ver.1) + GRP Contract Form アップデートのお知らせ(ver.2)
  • 3. 5 ・共同研究の事例! ! ・研究成果の運用! ! ・メタデザイン! ! ・ハッカソン
  • 4. 6
  • 5. メディアアートに特化したアートセンター ‣ 研究開発チーム “YCAM InterLab” www.ycam.jp [自己紹介] 山口情報芸術センター [YCAM] 7
  • 6. [自己紹介] 山口情報芸術センター [YCAM] 成果をどう展開? どんなクリエイションプロセス? 8 www.ycam.jp
  • 7. 9
  • 9. [背景] 山口情報芸術センター[YCAM]におけるオープン化の試み メディア技術, コンテンツ, 契約関連ドキュメント, ワークショップ ·Forest Symphony (2013) ·YCAMサマースクール (2013) ·YCAMサマースクールでの成果公開の同意書 (2013) ·Reactor for Awareness in Motion (RAM) (2013) ·GRP Contract Form (2013) ·Guest Research Project vol.2 (2012) ·EyeWriter 2.0 のつくりかた (2012) ·Guest Research Project vol.1 (2011) ·Choreography filmed: 5days of movement (2011) YCAMにおけるオープン化の試み http://interlab.ycam.jp/projects/open-sharing 11
  • 10. 12 [背景] Forest Symphony (2013) 各地の樹木の生体電位をもとにサウンドを生成するインスタレーション作品 国内5カ所、アメリカ、オーストラリア、ハンガリー、計9カ所で計測 http://interlab.ycam.jp/projects/forestsymphony
  • 11. 13 [背景] Forest Symphony (2013) 各地の樹木の生体電位をもとにサウンドを生成するインスタレーション作品 国内5カ所、アメリカ、オーストラリア、ハンガリー、計9カ所で計測 http://interlab.ycam.jp/projects/forestsymphony
  • 12. 14 [背景] Forest Symphony (2013) ・樹木の生体電位計測デバイス等のオープン化 ! ! ! ! ! > デバイス設計情報、サンプルソフトウェア! ・取得した生体電位データのオープン化
  • 13. Other Voices, Other Rooms by Shingo Sasahara http://vimeo.com/93060880 15 [背景] Forest Symphony (2013) Tele-Flow by 宮城大学 土岐謙次研究室+東北芸術工科大学 酒井聡研究室 http://kenjitoki.tumblr.com/post/92291446621/ii
  • 14. YCAMにおけるオープン化の試み http://interlab.ycam.jp/projects/open-sharing 16 [背景] 山口情報芸術センター[YCAM]におけるオープン化の試み
  • 20. [背景] 近年のクリエイションの状況 オープン化 成果を、第三者が一定の範囲で自由に利用できる状態におき (オープンに共有し)クリエイティビティ向上をめざす 多くのユーザが成果を利用 - クリエーターへのフィードバック クリエイティビティ向上 [アイディアや成果を生み出すこと、その質・量、その可能性]を向上 クリエイター・参加者・ユーザー 新しい表現・問題解決 22 .. [YCAM]における成果のオープン化
  • 21. 23
  • 23. 25 [課題] YCAM InterLab “Guest Research Project” ・共同研究開発プロジェクト ホスト(YCAM) + コラボレータ ・成果のオープン化 ・滞在型
  • 24. 26 [課題] Guest Research Project vol.1 (2011) ・”プロジェクタカメラ・ツールキット” ・Kyle McDonald氏 ・ProCamToolKit、mapamok プロジェクションマッピングに必要なキャリブレーションを 容易に実現するためのソフトウェア http://interlab.ycam.jp/projects/guestresearch/vol1
  • 25. [課題] Guest Research Project vol.1 (2011) ‘Girls Night Out’ (Lex van der Sluijs) (City Life Church, The Hague, 2012) Real-time projection mapping (II) http://twnkls.com/2014/01/26/real-time-projection-mapping-ii/ マルチプロジェクターのサポート、コンテンツを有するショーセグメントを規定する機能、 ヴィジュアライゼーションをコントロールするGUIを追加 Githubで公開 27 Youtube公開事例 (mapamok:20+)
  • 26. 28 [課題] コラボレーション成果のオープン化に必要な要素 オープン化に必要な要素 ・成果の権利処理 ・クレジット作成 ・ドキュメント制作 ・コミュニティ運営、保守 etc.. 齟齬があると問題 事前に2者間で合意すべき ホストコラボレータ
  • 27. 29 逐次的に処理 >>> まずい!! [課題]
  • 28. 30 [目的] オープン化を前提とした共同研究開発の為の契約書ひな形 GRP Contract Form 成果のオープン化を前提とした 共同研究開発の契約書ひな形 オープン化に必要な要素 ・成果の権利処理 ・クレジット作成 ・ドキュメント制作 ・コミュニティ運営、保守 etc..
  • 30. 32 [関連事例] Eyebeam Creative Residencies http://www.eyebeam.org/programs/creative-residencies
  • 31. 33 [関連事例] 共同研究開発のための契約書ひな形 京都大学 共同研究契約書! http://www.saci.kyoto-u.ac.jp/?page_id=249
  • 32. 34 [関連事例] 成果のオープン化を前提とした 共同研究開発の契約書ひな形 ない!!
  • 34. [制作] GRP Contract Form ver.1 の制作 全6章 (第1章 総則) (第2章 本件業務) (第3章 成果物の権利帰属) (第4章 成果物の公開) (第5章 その他の権利・義務) (第6章 一般条項) 監修:水野祐 (弁護士, シティライツ法律事務所)! GRP Contract Form の制作と公開! 坂井洋右, 伊藤隆之! 情報処理学会デジタルコンテンツクリエイション研究会 2013年11月
  • 35. 37 [制作] GRP Contract Form ver.1 の設計 GRP Contract Form ・オープン化に必要な要素 ・成果の権利処理 ・クレジット作成 ・ドキュメント制作 ・コミュニティ運営、保守 etc.. ・Guest Research Projectを原型、滞在型 ・対等性、高いクリエイティビティに配慮 ・モジュール構造
  • 36. [制作] GRP Contract Form ver.1のオープン化 GRP Contract Form の制作と公開! 坂井洋右, 伊藤隆之! 情報処理学会デジタルコンテンツクリエイション研究会 2013年11月 38
  • 37. 39
  • 38. 40 [利用] Guest Research Project vol.2 (2012) ”ジェネレーティブ・メディアのためのコンポジション・ツール” ・James George氏 ・ofxTimeline,Duration http://interlab.ycam.jp/projects/guestresearch/vol2
  • 39. 41 [利用] Guest Research Project vol.2 (2012) Blaus (Playmodes) Laser beams, light and sound installation | VAD Festival | Girona | 2012 HONORARY MENTION, PRIX ARS ELECTRONICA 2013 http://playmodes.com キラキラウィンターファーム2012 (Rhizomatiks) Switch No2 vol31, 2013
  • 40. ・MOTIONER” ローコストの慣性式モーションキャプチャーシステム ” ・”RAM Dance Tookit” クリエイティブなダンスのための環境を作り出すC++のツールキット 42 [利用] Reactor for Awareness in Motion (RAM) (2013) 環境の中で主体的に情報を発見し 豊かな動きのイマジネーションを見出すための反応装置 http://ram.ycam.jp
  • 41. 43 [利用] Reactor for Awareness in Motion (RAM) (2013) 3カ国でワークショップ、デモンストレーションを実施
  • 42. 44 [利用] GRP Contract Formの効果 (ヒアリング結果) ・スムースに作業を進める事ができた 行うべきタスクがわかりやすい 具体的な議論をすぐに行うことができた 不安を減らせた 適切な権利処理 プロジェクト終了後の可用性を担保 ・成果のクオリティが上がった より応用性を持つものとなった オープン化に必要な課題を解決 クリエイティビティ向上 GRP Contract Form の制作と公開! 坂井洋右, 伊藤隆之! 情報処理学会デジタルコンテンツクリエイション研究会 2013年11月
  • 44. [アップデート] MEDIA/ART KITCHEN YAMAGUCHI (2014) 9/283:20 まで46 !! ・さまざまなコラボレータが参加 日本、インドネシア、シンガポール、マレーシア 流動的に参加 コラボレータごとの「ラボラトリー」 ・地域に密着したアート作品の制作 / 研究開発 誰が何を開発するかは、事前には固定しない アジアの 若手アーティストの地域社会に2014/
  • 45. 47 [アップデート] 課題 2者でR&D (ver.1→OK) 3者以上でR&D コラボレータ コラボレータ コラボレータ ホスト コラボレータ コラボレータ コラボレータ ホスト コラボレータの組み合わせが 事前に予測不可能 Ver.1では想定せず ホストコラボレータ 突発的に
  • 46. 48 あらためて ・全員で合意 成果の権利処理など ・契約書作成 全員連名で署名 コラボレータ コラボレータ コラボレータ 3者以上でR&D ホスト クリエイションへの悪影響 スピード・リズム クリエイティビティを低下 [アップデート] 課題と目的 これを解決!!
  • 47. 49 [アップデート] 事前解決手法の設計 (ver.2) ・他のコラボレータとの研究開発 成果が発生 ・他のコラボレータがホストと同条件で契約 権利処理、成果の公開、ドキュメント作成 etc. IF ・成果の権利を共有 オープン化などについて同様の扱い ・クレジット併記 複数のコラボレータによること Then コラボレータA コラボレータB ホスト コラボレータA コラボレータB ホスト
  • 48. 50 [アップデート] 条項の実装 (ver.2) 10.4 他のコラボレーターと共同で制作した成果の権利の帰属! 本件業務において、主催者およびコラボレーターに加え、他のコラボレーターと共同で制作し、成果物が発生した場合、当該成果物に関し、第1項から第3項に基づき主催者およびコラボ レーターにより共有した権利は、主催者、コラボレーターおよび他のコラボレーターによる共有とする。 10.6 共有された権利の行使! 第1項から第5項に定める本件成果物に関する知的財産権を含む一切の権利の一部または全部が主催者とコラボレーターの共有である場合、主催者またはコラボレーターは、かかる共有に係 る権利をそれぞれ単独で行使することができる。ただし、主催者またはコラボレーターの単独による権利行使に正当な理由がない場合(強行規定として単独行使が認められない場合も含む) にはこの限りではない。なお、本件成果物のうち著作権の対象とならないデータについては、主催者またはコラボレーターはこれを単独で利用することができる。また、本項は第4項に定め る主催者、コラボレーターおよび他のコラボレーターの共有である場合に準用する。 13.7 成果物に関する表記! 主催者は、本件成果物及びその派生物を利用又は公開する場合には、本契約期間中および本契約期間終了後においても、主催者およびコラボレーターが共同で制作したこと(主催者およびコ ラボレーターに加え、他のコラボレーターと共同で制作し成果物が発生した場合は、主催者、コラボレーターおよび他のコラボレーターが共同で制作したこと)を表記しなければならない。 表記に関する具体的な内容は、主催者・コラボレーター間において別途協議して決定する。 14.2 成果物に関する表記! コラボレーターは、本件成果物及びその派生物を利用又は公開する場合には、本契約期間中および本契約期間終了後においても、主催者およびコラボレーターが共同で制作したこと(主催者 およびコラボレーターに加え、他のコラボレーターと共同で制作し成果物が発生した場合は、主催者、コラボレーターおよび他のコラボレーターが共同で制作したこと)を表記しなければな らない。表記に関する具体的な内容は、主催者・コラボレーター間において別途協議して決定する。 ・追加の合意/契約書作成の必要なし 条件を満たせば権利を共有、クレジット併記 ・他のコラボレータとの恊働の可能性を担保 クリエイションの多様性(→クリエイティビティ)を増加
  • 49. 51 [アップデート] その他のアップデート (ver.2) ・データ公開時のCC0の採用 ! ・ガイドラインの参照 ! ・定義文追加(2条) ソフトウェアの定義の明確化(コラボレータからの要望を反映)等 ! ・その他 契約の目的にクリエイティビティの向上を追加(1条) 成果物の多様化への対処(1条) “リサーチャー”から”コラボレーターへの変更”(各所) 第14条のタイトル変更"保証等">"保証" コラボレーターによる公開作業の義務化 主催者所有となった有体物のハンドリングの記載(9条) 委託料 ”手取り”>”税込”(13条) 交通費についての記述の修正
  • 50. [実践] GRP Contract Form ver.2のオープン化 52
  • 51. 53
  • 53. ・Ver.2の利用効果の調査! ! ! ・アップデート! ! ! 新たな制度・しくみの導入 [今後の展開] 55
  • 54. [今後の展開] 波及 56 ・成果のオープン化を前提とした活動! ! ! パーソナルファブリケーション・オープンデザイン etc.!
  • 55. ホストコラボレータ ・大八耐 http://www.daihachitai.com 57 [今後の展開] 波及 ・コラボレータが不特定なクリエイション ! ハッカソン、アイディアソン、教育カリキュラム etc.! ! フラットな関係 [参考]
  • 56. [今後の展開] ・・58 連携: オープンソース契約書 / リーガルデザイン ! twitter / innovators-patent-agreement (twitter)! ! ! IAMAS/ makeathon agreement (IAMAS)
  • 57. [検討] メタデザインのオープンデザイン New Project Framework! 59 PROJECT Achievement! PROCESS Tool! Result of Study OpenSharing New Expression OpenSharing Solve Problem meta-design e.g. Fablab憲章, 教育カリキュラム (他領域のプロセス) New Activity PROJECT PROJECT PROJECT PROJECT
  • 58. 60 謝辞 水野祐氏 (弁護士, シティライツ法律事務所, Creative Commons Japan)
  • 59. 61 成果のオープン化を前提とした共同研究開発の為の 契約書ひな形の制作 - GRP Contract Form Ver.2 - ご清聴ありがとうございました