SlideShare a Scribd company logo
セキュリティ&プログラミング
    キャンプ2011
     8/10/2011


            吉岡弘隆
   mailto:hyoshiok@gmail.com
http://d.hatena.ne.jp/hyoshiok/
       twitter @hyoshiok
                                  1
お題
●   自己紹介
●   セキュリティ&プログラミングキャンプ2011
●   インターネットが変えた社会
    〜オープンソースソフトウェア〜




                             2
プロフィール
1958年9月4日生まれ、慶応義塾大学大学院工学部修了
日本ディジタルイクイップメント、日本オラクルを経てミ
ラクル・リナックスを2000年に創業。取締役、最高技術
責任者(CTO)。2009年8月より楽天株式会社所属、技術
理事
セキュリティ&プログラミングキャンプ、プログラミング
コース主査
U-20プログラミングコンテスト委員
カーネル読書会主宰、勉強会勉強会
2008年経済産業省商務情報政策局長表彰、楽天テクノロ
ジーアワード金賞
                              3
ブログ、日記
●   未来のいつか/hyoshiokの日記
    http://d.hatena.ne.jp/hyoshiok/
●   mailto:hyoshiok@gmail.com
●   http://twitter.com/hyoshiok
●   DEBUG HACKS
    −   吉岡弘隆、大和一洋、大岩尚宏、安部東洋、吉田俊輔 著
    −   2009年04月 発行
    −   424ページ
    −   定価3,360円
    −   ISBN978-4-87311-404-0




                                      4
●    情報処理2011, vol. 52, No.4.5

●    全国技術系勉強会マップ
●    ~技術者のライブセッションに
     参加しよう~




●
●   http://d.hatena.ne.jp/hyoshiok/20110227#p1
デブサミで『ハッカー中心の企業文化を日本で根付かせる』という講演をし
●
てきた
                                                 5
カーネル読書会

 ●   LinuxやOSSに関する技術的な
     話題を扱う勉強会。
       −   10年間、100回続いている
       −   第100回、Linusさんや世界中のカーネルハッ
           カーも参加してくれた。うれしい。




http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20091023/339312/
セキュリティ&プログラミング
         キャンプ2011
●   プログラミングの楽しさを伝えたい、共有した
    い
●   (わたしの野望)プログラミングが好きな人と
    いっぱい出会う事。そのような人を増やす事。
●   世界最高の講師を準備した。
    http://jibun.atmarkit.co.jp/lstudent/special/camp2009/01.html
●   インターネットが変えた社会
     −   オープンソースという考え方



                                                                    7
プログラミングコース宣言
●   ソフトウェアは人が創る。人がすべてだ。
●   このキャンプで、プログラムを創ることの
    −   楽しさ
    −   達成感
    −   難しさ
        を共有したい
●   オープンソース開発者の卵を育てたい



                          8
このキャンプ卒業生のイメージ
●   使う人というより作る人
●   既存のオープンソースなども、どんどん利用し
    て、改善、改良する人
●   コミュニティに積極的に参加する人
●   ソフトウェアによって社会をよくする人
●   ハッカーマインドを持っている人



                            9
ハッカーマインド
• ハッカーって
  –   コンピュータ技術に精通した人(辞書的
      な定義)
  –   ちょっとした技巧(ハック)を操る人
  –   社会を変えた人
  –   (なんでもかんでもハッカー?)




                           10
インターネットが変えた社会
• オープンソースソフトウェア




                  11
オープンソースについて
• オープンソースソフトウェア(OSS)という、
  ソフトウェアの作り方について




                       12
質問
• プログラムを書いたことがある人?
• 複数の人とプログラムを作ったことがある人?
• 1万行を越えるプログラムを作ったことがある
  人?
• 10万行を越えるプログラムを作ったことがある
  人?
• オープンソースソフトウェアの開発に参加した
  ことがある人?
• オープンソースソフトウェアの開発に参加した
  い人?
                       13
オープンソースという考え方
• オープンソースって?
• クローズドソースソフトウェア(多くの商用ソ
  フト)の作り方とどう違うのだろう。
• 何が優れているのだろう。




                      14
オープンソースソフトウェア
●   ソースコードを公開して、自由に実行、変更、
    再配布を可能にしたもの。
●   ソースコード:人間がプログラミング言語など
    を用いて記述したもの。
    −   そのままではコンピュータは実行できないので、通
        常、コンパイラと呼ばれるソフトウェアで直接実行
        できる形式に変換して実行されるか、インタプリタ
        と呼ばれるソフトウェアで字面を解釈し実行され
        る。


                              15
オープンソースソフトウェア
●   企業の作った商用ソフトウェアではなく、楽し
    いからと作ったソフトウェアがどんどん普及し
    ていった。
●   インターネットを動かしているソフトウェアの
    多く(ほとんど)はオープンソースソフトウェ
    アだ。(Linux, BIND, Apache, sendmail,
    MySQL, Perl, Ruby, ...)
●   世界中のボランティアが改良、開発をしてい
    る。
●   そんなことが信じられるか?
                                     16
オープンソースソフトウェア
●   90年代になってインターネットが普及した。
●   低額で自由に情報交換ができるようになった。
●   ソフトウェアをインターネットで公開したら、
    世界中の人たちがよってたかって利用して、時
    には改良しはじめた。
●   公開して自由に利用、変更、改良、配布できる
    ようにしたソフトウェアをオープンソースソフ
    トウェアと呼ぶことにした。(1998年2月)


                         17
インターネットが全てを変えた
●   大規模ソフトウェアをチームで作る場合、昔は
    同じ場所に集まってみんなで開発していた。
    (企業)
    −   一つの場所にあつまらないとコミュニケーションの
        コストが高い。
●   ところがインターネットがあれば、同じ場所に
    集まる必要性が少なくなった。
    −   メールでプログラムをやりとりできる。
    −   広域分散ソフトウェア開発
●   一つのところに全員集まらなくてもいい。
                              18
商用ソフトウェア
●   70年代、米国IBM社がソフトウェアとハード
    ウェアとを別々に売るようになった。
●   商用ソフトウェアがビジネスとして成立。
●   商用ソフトウェア(商品)なので通常は有償。
    ソースコードの利用も自由ではない。
    例:米国Microsoft社のWindows(ソースコード
    は自由に変更、再配布などできない)



                                19
フリーソフトウェア
●   商用ソフトウェアがある一方、自由(フリー)
    に利用できるものがある。
●   ソフトウェアは自由に利用できるべきだと考え
    ている人がいる。
●   リチャード・ストールマンさん(米国)は、フ
    リーソフトウェアをいっぱい作っている中心的
    な人。
●   80年代から積極的に活動をしている。


                        20
ハッカー倫理

• スティーブン・レビー「 ハッカーズ 」で次のように記してい
  る。
  ISBN978-4875931003
• コンピュータへのアクセス、加えて、何であれ、世界の機能の
  仕方について教えてくれるものへのアクセスは無制限かつ全面
  的でなければならない。実地体験の要求を決して拒んではなら
  ない。
• すべての情報は自由に利用できなければならない。
• 権威を信用するな--反中央集権を進めよう。
• ハッカーは、学歴、年齢、人種、地位のような、まやかしの基
  準ではなく、そのハッキングによって判断されなければならな
  い。
• 芸術や美をコンピュータで作り出すことは可能である。
• コンピュータは人生をよいほうに変えうる。
• 60年代〜70年代の民族誌




                                  21
共通の価値観

•   コンピュータによって社会をよくする
•   管理より自由、反権威的
•   ラフなコンセンサスと動くコード
•   許可を求めるな、謝罪せよ




                        22
オープンソースソフトウェア
●   プロジェクトリーダとか、開発スケジュールと
    か、開発予算とか、企業があるわけではない。
●   世界中のボランティアがよってたかって開発に
    参加している。
●   誰もコントロールできない。
●   混沌の世界から開発されている。
●   バザール(市場、お祭騒ぎ)のようなソフト
    ウェアの開発方式。
●   エリック・レイモンドさん「伽藍(大聖堂)と
    バザール」、1997年          23
バザールのような開発方式
●   ウィキペディア:世界中の人がボランティアで
    百科事典の項目を書いている。
●   オープンソースソフトウェア:世界中の人がボ
    ランティアがソフトウェアを書いている。
●   コミュニティ:地球規模のコミュニティで開発
    されている。




                        24
バザールのような開発方式
●   金銭的な報酬はない。(企業に勤めている人は
    給与を貰っているけど)
    −   お金儲けをするために開発しているわけではな
        い??
●   ボランティア:自主的にある活動に従事する人
    のこと。(誰かに命令されてやるのではない)
●   組織ではなく個人がベース
●   コンセンサスをベースに開発
●   信頼と尊敬
                                25
コミュニティによる開発
●   見たことも会ったこともないない人たちが協力
    している。国籍も性別も肌の色も年齢も組織も
    関係ない。様々な改良を世界中から受け入れ
    る。
●   どんどん改良されていく。
●   Linux
    −   1000万行以上の大規模なソフトウェア。
    −   最新版の改良には800名以上の人が参加した。
    −   延べ数千人の人が改良に加わっている。

                                 26
なんでコミュニティに参加するのだ
       ろう
●   インターネットの謎
●   楽しいから、愛、尊敬、…
●   カネ
●   一人でできないことをみんなでやれるから
●   多様な動機、人それぞれ、…
●   誰にも強制されない。自主的に参加している
●   10人いれば10の理由がある


                           27
コミュニティに参加する企業
●   なぜ企業はコミュニティに参加するのだろう
    −   ハードウェアを売るため
    −   サービスを提供するため
    −   ディストリビューションを売るため
    −   開発コストを削減できる
    −   …
    −   営利企業は基本的には自社の利益になるから、コ
        ミュニティに参加する。(利益=売上−費用)


                                 28
プログラミングコースの人たち
●   オープンソースの中の人たち(世界のトップク
    ラスの人たちを集めましたbyプログラミング
    コース主査)
    −   Rubyの中の人
    −   Linuxの中の人
    −   OSの中の人
●   講義や休み時間になんでオープンソースにハ
    マったのか聞いてみよう。


                           29
わたしの場合
●   この話長いよ〜
    −   10年以上前、Oracleというデータベースの会社にい
        た。その時、Netscape社がブラウザのソースコー
        ド(Mozilla)を公開した…




                                  30
技術はみんなのものだ
●   技術は会社に独占されるべきではなく、みんな
    のものだ。それが社会を豊かにし進歩させると
    いう考え方。公開させるために一定期間独占。
    −   技術の公開を奨励する例:特許
    −   著作権。
●   オープンソースソフトウェアは、みんなのもの
    にしたら進化、進歩したという例だ。



                         31
バザールモデル
●   多くの人の知恵の結集。
●   善意を信用している。
●   インターネットを利用することによって地球規
    模の協力が可能になった。
●   地球規模のバザール(市場)だ。
●   オープンソースソフトウェアを使ったり、改良
    したり、作ったりしたら参加できる。
●   世界中の人と協力して何かを成し遂げる。
●   一人ではなしとげないことを世界中の人と作り
    上げる
                        32
バザールモデル
●   コミュニティの人たちとソフトウェアを作る。
    楽しいし、わくわくする。
●   ソフトウェアによって世界をよい方へ変えるこ
    とができる。
●   誰でも、参加できる。もちろん君達も。
●   参加資格は、情熱。
●   ちょっとした勇気と、行動力。



                        33
まとめ
●   オープンソースの開発について
●   バザールモデルについて紹介した




                      34
最後に
●   ソフトウェアを作るのは楽しい
●   世界中の人たちと協力して作るのはもっと楽し
    い
●   世界規模のソフトウェア開発コミュニティがあ
    る
●   君たちも参加できる
●   21世紀のソフトウェアを作るのは君たちだ
●   どう?


                        35
●   参考文献
●   オープンソースソフトウェアの育て方、Karl
    Fogel著、2009年7月、高木正弘、高岡芳成
    訳、ISBN978-4-87311-412-5
●   アート・オブ・コミュニティ――「貢献したい
    気持ち」を繋げて成果を導くには、Jono
    Bacon著、渋川よしき訳、2011年05月
    ISBN978-4-87311-495-8
●   伽藍とバザール、Eric S. Raymond著、山形浩
    生訳 http://cruel.org/freeware/cathedral.html
                                                  36
Q&A
●
    −   オープンソースにふれたきっかけ
    −   どのオープンソースプロジェクトに参加したらいいのでしょう
    −   どの勉強会に参加すればいいのでしょう
    −   はじめてのコンピュータは




                                       37

More Related Content

PDF
Progcamp internet 100801
PDF
Opensource and Value creation by community
PDF
Drupal on ibm_20191207
ODP
Sapporo Open Seminar 2
PDF
Unityで始めるバージョン管理 Git LFS 入門編
PDF
Unityが繋げる!ゲーム制作コミュニティとOSSの最前線 - OSC19広島
PDF
Made with Unity! Unityとコミュニティが作るオープンなゲーム開発
PDF
ユニティちゃんだけじゃない! オープンソースとUnityの未来
Progcamp internet 100801
Opensource and Value creation by community
Drupal on ibm_20191207
Sapporo Open Seminar 2
Unityで始めるバージョン管理 Git LFS 入門編
Unityが繋げる!ゲーム制作コミュニティとOSSの最前線 - OSC19広島
Made with Unity! Unityとコミュニティが作るオープンなゲーム開発
ユニティちゃんだけじゃない! オープンソースとUnityの未来

Viewers also liked (20)

PDF
1000 speakers conference in English, 2nd, 1/20/2013
PDF
Introduction to Git and GitHub #git_nyan
PDF
Anatomy of Lightning Talks at Rakuten Technology Conference 2014, After Confe...
PDF
How Changing Mobile Technology Is Changing The Way We Create Economy.
PDF
Tokaido 53 walk
PDF
産業技術大学院大学の2014年度enPiT受講生募集中 #qcontokyo #aiit_enpit
PDF
kernel code reading party on March 28th, 2014
PDF
Hacker centric culture @devlove 110423
PDF
Project Based Learning using by PaaS
PDF
対人関係におけるアルコールの効用
PDF
Hacker culture at an internet company. 文明塾, 2014/04/23
PDF
1000 Speakers Conference in English, 5th on April 11th, 2014 #1000eng
PDF
English Book Club at 1000 Speakers Conference in English, 3rd, on Feb 7th, 2014
PDF
1000 Speakers Conference in English, on December 6th, 2013
PDF
Business Application Development Course at AIIT
PPTX
20140725 オープンデータ化の価値
PDF
the Histrory of LT and ドラ娘
PDF
CUI -- How to Analyze History command
PDF
Code Reading at Security and Programming camp 2011
PDF
VCS - Version Control System at Security and Programming camp 2011
1000 speakers conference in English, 2nd, 1/20/2013
Introduction to Git and GitHub #git_nyan
Anatomy of Lightning Talks at Rakuten Technology Conference 2014, After Confe...
How Changing Mobile Technology Is Changing The Way We Create Economy.
Tokaido 53 walk
産業技術大学院大学の2014年度enPiT受講生募集中 #qcontokyo #aiit_enpit
kernel code reading party on March 28th, 2014
Hacker centric culture @devlove 110423
Project Based Learning using by PaaS
対人関係におけるアルコールの効用
Hacker culture at an internet company. 文明塾, 2014/04/23
1000 Speakers Conference in English, 5th on April 11th, 2014 #1000eng
English Book Club at 1000 Speakers Conference in English, 3rd, on Feb 7th, 2014
1000 Speakers Conference in English, on December 6th, 2013
Business Application Development Course at AIIT
20140725 オープンデータ化の価値
the Histrory of LT and ドラ娘
CUI -- How to Analyze History command
Code Reading at Security and Programming camp 2011
VCS - Version Control System at Security and Programming camp 2011
Ad

Similar to Internet and Opensource at Security and Programming camp 2011 (20)

ODP
Sapporo Open Seminar 1
PDF
ハッカー中心の企業文化を日本で根付かせるには。TechLION vol.5 12/14/2011
PDF
Building Hacker Centric Culture in Japan
PDF
Osc Kobe Slide20100313
PDF
[18-A-1] ハッカー中心の企業文化を日本で根付かせる
PDF
楽天の中のわたしと勉強会
PPTX
ソーシャルXとP2Pと情報倫理 情報処理学会MBL研究会第60回招待講演
PDF
Devsumi2013 community
PDF
社内Twitter研究会、by 勉強会同好会 110426
PDF
勉強会カンファレンス2011、企業と勉強会
PDF
Hour of-code-2016冬-シンポジウム
PDF
「あなた」と オープンソース/フリーソフトウェア、 そして「Debian」
PDF
PDF
Oss magic
PDF
Igfについて(2007)
PPTX
河野ゼミ研究紹介20180702
PDF
これからはじめるサービスデザイン
PDF
mlabforum2012_okanohara
PDF
Open source
PDF
アジャイルマニフェストから見るインセプションデッキ
Sapporo Open Seminar 1
ハッカー中心の企業文化を日本で根付かせるには。TechLION vol.5 12/14/2011
Building Hacker Centric Culture in Japan
Osc Kobe Slide20100313
[18-A-1] ハッカー中心の企業文化を日本で根付かせる
楽天の中のわたしと勉強会
ソーシャルXとP2Pと情報倫理 情報処理学会MBL研究会第60回招待講演
Devsumi2013 community
社内Twitter研究会、by 勉強会同好会 110426
勉強会カンファレンス2011、企業と勉強会
Hour of-code-2016冬-シンポジウム
「あなた」と オープンソース/フリーソフトウェア、 そして「Debian」
Oss magic
Igfについて(2007)
河野ゼミ研究紹介20180702
これからはじめるサービスデザイン
mlabforum2012_okanohara
Open source
アジャイルマニフェストから見るインセプションデッキ
Ad

More from Hiro Yoshioka (20)

PDF
Infra study 2nd #1 人生100年時代の学び方,定年後の大学院生活
PDF
Infra study 2nd #1「インフラ技術者・研究者としてのキャリア」
PDF
不揮発性メモリ(NVM)とはなにか
PDF
続・人生100年時代の学び方
PDF
人生100年時代における学び方 定年後の学生生活
PDF
Thesis introduction "RECIPE : Converting Concurrent DRAM Indexes to Persisten...
PDF
人生100年時代の学び方、脳には可塑性がある
PDF
エンジニア人生と定年退職、人生100年時代のエンジニアの生き方、「私のような仕事につく方法」、2019/06/23 DevLOVE X Day 1 D-7
PDF
OSSとの付き合い方。OSSから学んだこと。OSS貢献者賞受賞講演
PDF
エンジニア人生と定年退職、人生100年時代のエンジニアの生き方、デブサミ 2019 【15-A-8】
PDF
未経験プログラマがコボルコンパイラを作った話 #compiler_study
PDF
Godel, Escher, Bach: an Eternal Golden Braid, reading club, Chapter 12
PDF
海外から見た東京 〜人生100年時代の働き方〜 #efsta56
PDF
理科系の作文技術
PDF
Agile Software Development advanced course (PBL) at AIIT, 2015
PDF
質問される力 #TechGirls
PDF
Oracle vs Google API 著作権裁判を考える
PDF
Using oss at an internet company and hacker culture
PDF
Be Hacker
PDF
IT勉強会 Anatomy of IT Study groups, seminars, conferences in Japan
Infra study 2nd #1 人生100年時代の学び方,定年後の大学院生活
Infra study 2nd #1「インフラ技術者・研究者としてのキャリア」
不揮発性メモリ(NVM)とはなにか
続・人生100年時代の学び方
人生100年時代における学び方 定年後の学生生活
Thesis introduction "RECIPE : Converting Concurrent DRAM Indexes to Persisten...
人生100年時代の学び方、脳には可塑性がある
エンジニア人生と定年退職、人生100年時代のエンジニアの生き方、「私のような仕事につく方法」、2019/06/23 DevLOVE X Day 1 D-7
OSSとの付き合い方。OSSから学んだこと。OSS貢献者賞受賞講演
エンジニア人生と定年退職、人生100年時代のエンジニアの生き方、デブサミ 2019 【15-A-8】
未経験プログラマがコボルコンパイラを作った話 #compiler_study
Godel, Escher, Bach: an Eternal Golden Braid, reading club, Chapter 12
海外から見た東京 〜人生100年時代の働き方〜 #efsta56
理科系の作文技術
Agile Software Development advanced course (PBL) at AIIT, 2015
質問される力 #TechGirls
Oracle vs Google API 著作権裁判を考える
Using oss at an internet company and hacker culture
Be Hacker
IT勉強会 Anatomy of IT Study groups, seminars, conferences in Japan

Internet and Opensource at Security and Programming camp 2011

  • 1. セキュリティ&プログラミング キャンプ2011 8/10/2011 吉岡弘隆 mailto:hyoshiok@gmail.com http://d.hatena.ne.jp/hyoshiok/ twitter @hyoshiok 1
  • 2. お題 ● 自己紹介 ● セキュリティ&プログラミングキャンプ2011 ● インターネットが変えた社会 〜オープンソースソフトウェア〜 2
  • 4. ブログ、日記 ● 未来のいつか/hyoshiokの日記 http://d.hatena.ne.jp/hyoshiok/ ● mailto:hyoshiok@gmail.com ● http://twitter.com/hyoshiok ● DEBUG HACKS − 吉岡弘隆、大和一洋、大岩尚宏、安部東洋、吉田俊輔 著 − 2009年04月 発行 − 424ページ − 定価3,360円 − ISBN978-4-87311-404-0 4
  • 5. 情報処理2011, vol. 52, No.4.5 ● 全国技術系勉強会マップ ● ~技術者のライブセッションに 参加しよう~ ● ● http://d.hatena.ne.jp/hyoshiok/20110227#p1 デブサミで『ハッカー中心の企業文化を日本で根付かせる』という講演をし ● てきた 5
  • 6. カーネル読書会 ● LinuxやOSSに関する技術的な 話題を扱う勉強会。 − 10年間、100回続いている − 第100回、Linusさんや世界中のカーネルハッ カーも参加してくれた。うれしい。 http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20091023/339312/
  • 7. セキュリティ&プログラミング キャンプ2011 ● プログラミングの楽しさを伝えたい、共有した い ● (わたしの野望)プログラミングが好きな人と いっぱい出会う事。そのような人を増やす事。 ● 世界最高の講師を準備した。 http://jibun.atmarkit.co.jp/lstudent/special/camp2009/01.html ● インターネットが変えた社会 − オープンソースという考え方 7
  • 8. プログラミングコース宣言 ● ソフトウェアは人が創る。人がすべてだ。 ● このキャンプで、プログラムを創ることの − 楽しさ − 達成感 − 難しさ を共有したい ● オープンソース開発者の卵を育てたい 8
  • 9. このキャンプ卒業生のイメージ ● 使う人というより作る人 ● 既存のオープンソースなども、どんどん利用し て、改善、改良する人 ● コミュニティに積極的に参加する人 ● ソフトウェアによって社会をよくする人 ● ハッカーマインドを持っている人 9
  • 10. ハッカーマインド • ハッカーって – コンピュータ技術に精通した人(辞書的 な定義) – ちょっとした技巧(ハック)を操る人 – 社会を変えた人 – (なんでもかんでもハッカー?) 10
  • 13. 質問 • プログラムを書いたことがある人? • 複数の人とプログラムを作ったことがある人? • 1万行を越えるプログラムを作ったことがある 人? • 10万行を越えるプログラムを作ったことがある 人? • オープンソースソフトウェアの開発に参加した ことがある人? • オープンソースソフトウェアの開発に参加した い人? 13
  • 14. オープンソースという考え方 • オープンソースって? • クローズドソースソフトウェア(多くの商用ソ フト)の作り方とどう違うのだろう。 • 何が優れているのだろう。 14
  • 15. オープンソースソフトウェア ● ソースコードを公開して、自由に実行、変更、 再配布を可能にしたもの。 ● ソースコード:人間がプログラミング言語など を用いて記述したもの。 − そのままではコンピュータは実行できないので、通 常、コンパイラと呼ばれるソフトウェアで直接実行 できる形式に変換して実行されるか、インタプリタ と呼ばれるソフトウェアで字面を解釈し実行され る。 15
  • 16. オープンソースソフトウェア ● 企業の作った商用ソフトウェアではなく、楽し いからと作ったソフトウェアがどんどん普及し ていった。 ● インターネットを動かしているソフトウェアの 多く(ほとんど)はオープンソースソフトウェ アだ。(Linux, BIND, Apache, sendmail, MySQL, Perl, Ruby, ...) ● 世界中のボランティアが改良、開発をしてい る。 ● そんなことが信じられるか? 16
  • 17. オープンソースソフトウェア ● 90年代になってインターネットが普及した。 ● 低額で自由に情報交換ができるようになった。 ● ソフトウェアをインターネットで公開したら、 世界中の人たちがよってたかって利用して、時 には改良しはじめた。 ● 公開して自由に利用、変更、改良、配布できる ようにしたソフトウェアをオープンソースソフ トウェアと呼ぶことにした。(1998年2月) 17
  • 18. インターネットが全てを変えた ● 大規模ソフトウェアをチームで作る場合、昔は 同じ場所に集まってみんなで開発していた。 (企業) − 一つの場所にあつまらないとコミュニケーションの コストが高い。 ● ところがインターネットがあれば、同じ場所に 集まる必要性が少なくなった。 − メールでプログラムをやりとりできる。 − 広域分散ソフトウェア開発 ● 一つのところに全員集まらなくてもいい。 18
  • 19. 商用ソフトウェア ● 70年代、米国IBM社がソフトウェアとハード ウェアとを別々に売るようになった。 ● 商用ソフトウェアがビジネスとして成立。 ● 商用ソフトウェア(商品)なので通常は有償。 ソースコードの利用も自由ではない。 例:米国Microsoft社のWindows(ソースコード は自由に変更、再配布などできない) 19
  • 20. フリーソフトウェア ● 商用ソフトウェアがある一方、自由(フリー) に利用できるものがある。 ● ソフトウェアは自由に利用できるべきだと考え ている人がいる。 ● リチャード・ストールマンさん(米国)は、フ リーソフトウェアをいっぱい作っている中心的 な人。 ● 80年代から積極的に活動をしている。 20
  • 21. ハッカー倫理 • スティーブン・レビー「 ハッカーズ 」で次のように記してい る。 ISBN978-4875931003 • コンピュータへのアクセス、加えて、何であれ、世界の機能の 仕方について教えてくれるものへのアクセスは無制限かつ全面 的でなければならない。実地体験の要求を決して拒んではなら ない。 • すべての情報は自由に利用できなければならない。 • 権威を信用するな--反中央集権を進めよう。 • ハッカーは、学歴、年齢、人種、地位のような、まやかしの基 準ではなく、そのハッキングによって判断されなければならな い。 • 芸術や美をコンピュータで作り出すことは可能である。 • コンピュータは人生をよいほうに変えうる。 • 60年代〜70年代の民族誌 21
  • 22. 共通の価値観 • コンピュータによって社会をよくする • 管理より自由、反権威的 • ラフなコンセンサスと動くコード • 許可を求めるな、謝罪せよ 22
  • 23. オープンソースソフトウェア ● プロジェクトリーダとか、開発スケジュールと か、開発予算とか、企業があるわけではない。 ● 世界中のボランティアがよってたかって開発に 参加している。 ● 誰もコントロールできない。 ● 混沌の世界から開発されている。 ● バザール(市場、お祭騒ぎ)のようなソフト ウェアの開発方式。 ● エリック・レイモンドさん「伽藍(大聖堂)と バザール」、1997年 23
  • 24. バザールのような開発方式 ● ウィキペディア:世界中の人がボランティアで 百科事典の項目を書いている。 ● オープンソースソフトウェア:世界中の人がボ ランティアがソフトウェアを書いている。 ● コミュニティ:地球規模のコミュニティで開発 されている。 24
  • 25. バザールのような開発方式 ● 金銭的な報酬はない。(企業に勤めている人は 給与を貰っているけど) − お金儲けをするために開発しているわけではな い?? ● ボランティア:自主的にある活動に従事する人 のこと。(誰かに命令されてやるのではない) ● 組織ではなく個人がベース ● コンセンサスをベースに開発 ● 信頼と尊敬 25
  • 26. コミュニティによる開発 ● 見たことも会ったこともないない人たちが協力 している。国籍も性別も肌の色も年齢も組織も 関係ない。様々な改良を世界中から受け入れ る。 ● どんどん改良されていく。 ● Linux − 1000万行以上の大規模なソフトウェア。 − 最新版の改良には800名以上の人が参加した。 − 延べ数千人の人が改良に加わっている。 26
  • 27. なんでコミュニティに参加するのだ ろう ● インターネットの謎 ● 楽しいから、愛、尊敬、… ● カネ ● 一人でできないことをみんなでやれるから ● 多様な動機、人それぞれ、… ● 誰にも強制されない。自主的に参加している ● 10人いれば10の理由がある 27
  • 28. コミュニティに参加する企業 ● なぜ企業はコミュニティに参加するのだろう − ハードウェアを売るため − サービスを提供するため − ディストリビューションを売るため − 開発コストを削減できる − … − 営利企業は基本的には自社の利益になるから、コ ミュニティに参加する。(利益=売上−費用) 28
  • 29. プログラミングコースの人たち ● オープンソースの中の人たち(世界のトップク ラスの人たちを集めましたbyプログラミング コース主査) − Rubyの中の人 − Linuxの中の人 − OSの中の人 ● 講義や休み時間になんでオープンソースにハ マったのか聞いてみよう。 29
  • 30. わたしの場合 ● この話長いよ〜 − 10年以上前、Oracleというデータベースの会社にい た。その時、Netscape社がブラウザのソースコー ド(Mozilla)を公開した… 30
  • 31. 技術はみんなのものだ ● 技術は会社に独占されるべきではなく、みんな のものだ。それが社会を豊かにし進歩させると いう考え方。公開させるために一定期間独占。 − 技術の公開を奨励する例:特許 − 著作権。 ● オープンソースソフトウェアは、みんなのもの にしたら進化、進歩したという例だ。 31
  • 32. バザールモデル ● 多くの人の知恵の結集。 ● 善意を信用している。 ● インターネットを利用することによって地球規 模の協力が可能になった。 ● 地球規模のバザール(市場)だ。 ● オープンソースソフトウェアを使ったり、改良 したり、作ったりしたら参加できる。 ● 世界中の人と協力して何かを成し遂げる。 ● 一人ではなしとげないことを世界中の人と作り 上げる 32
  • 33. バザールモデル ● コミュニティの人たちとソフトウェアを作る。 楽しいし、わくわくする。 ● ソフトウェアによって世界をよい方へ変えるこ とができる。 ● 誰でも、参加できる。もちろん君達も。 ● 参加資格は、情熱。 ● ちょっとした勇気と、行動力。 33
  • 34. まとめ ● オープンソースの開発について ● バザールモデルについて紹介した 34
  • 35. 最後に ● ソフトウェアを作るのは楽しい ● 世界中の人たちと協力して作るのはもっと楽し い ● 世界規模のソフトウェア開発コミュニティがあ る ● 君たちも参加できる ● 21世紀のソフトウェアを作るのは君たちだ ● どう? 35
  • 36. 参考文献 ● オープンソースソフトウェアの育て方、Karl Fogel著、2009年7月、高木正弘、高岡芳成 訳、ISBN978-4-87311-412-5 ● アート・オブ・コミュニティ――「貢献したい 気持ち」を繋げて成果を導くには、Jono Bacon著、渋川よしき訳、2011年05月 ISBN978-4-87311-495-8 ● 伽藍とバザール、Eric S. Raymond著、山形浩 生訳 http://cruel.org/freeware/cathedral.html 36
  • 37. Q&A ● − オープンソースにふれたきっかけ − どのオープンソースプロジェクトに参加したらいいのでしょう − どの勉強会に参加すればいいのでしょう − はじめてのコンピュータは 37