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Learningful
   Organization
研究のエコシステムを創りつつ、探究する


      Jun Nakahara
  The University of Tokyo
68400時間
68400時間
生涯、企業・組織で人が過ごす時間
 初等・中等教育は14000時間
My Research is...
    「68400時間」の学習研究

 職場でビジネスパーソンはいかに学び、
   仕事ができるようになるか?
マネジャーはいかに部下の仕事・学びを促進
    することができるのか?
今から10年前
きっかけになった
 3つの問題
 ①A.G.O.C問題
After Gakui Owa-Con Problem
• 学位取得後の安住と挑戦回避傾向
   • 海外大学院で問題化
   • 学位取得後(After Gakui)
   「新たな挑戦」に及び腰になる

 • 重箱の隅をつつく社会的意義の失われた研究
  (終わコン: 終わったコンテンツ:Owa-
  Con)を再生産する

• 僕は「終わコン」をつくりたくない
②Deliverable問題
社会と学問を考える
        2つの発想法
• Doable(ドゥアブル)発想
  •   わたしは∼できる / している

  •   わたしには∼研究ができる / している

• Deliverable(デリバラブル)発想
  •   わたしは∼することで∼をもたらしている

  •   わたしは∼研究することで∼もたらしている
デリバラブルを考える問い


もし仮に、あなたの研究が明日なく
    なったとしたら、
世の中の「何」が変わりますか?
③アントレプレナー問題
学問の世界にも
  •   ベンチャー   •   エスタブリッシュ




知的体系と階層なき世界   既に体系と階層の
              決まった世界
•   エスタブリッシュ


誰かのつくった「知的体系」
       の一部を担うのか?
•   ベンチャー

    自分自身で「知的体系」を
       つくりあげるのか?
10年前、27歳だった僕は、
 ①終わコンメイカーになりたくない
  ②デリバラブルな研究がしたい
   ③ベンチャーで行きたい

もちろん「研究者かくあるべし」という
 一律の規範を述べたいわけじゃない
ていっても、何やんのよ?
         Self
       自分の興味関心
       がもてて持続でき
       そうなこと

                今まであまり手
 社会的ニーズのあ       をつけられてな
 ること            いこと

  Needs     Originality
えっ、まさか企業やんの?
• 働くホワイトカラー(≠専門職 ≠製造業)
• 眉をひそめる企業=教育業界の「聖性」信仰
• Learningful Organization
 • メリトクラシー
 • 教育課程修了後、仕事にとって必要なこと
  は企業の中で学ばれている
やろうと思っても誰もでき
     ない本当の理由は

• 企業の経営者・人事担当者・マネ
 ジャーとのリレーションを保てないこ
 と

• エコシステムがないこと
 (リソース・情報の循環関係)
あとで喋るので
 はしょりますが
  地道な、地道な、地を   うような
活動と、実務家・共同研究者・大学院生ら
     とのコラボによって
単著「職場学習論」 共著「職場学習の探究」 単著「経営学習論」
 東京大学出版会     生産性出版      東京大学出版会

論文:中原淳(2012)学習環境としての職場. 日本労働研究雑誌
今日本当にお伝えしたいこと
は「わたしの研究の詳細」
    ではない

どうやって社会とつながり新
たな領域を切り開くのか?
②自分を知らせる:Storyful Textをつくる

•   企業の人にとって「学習」研究
    はストレンジャー

•   まずは自分たち(学習理論)
    を知ってもらう

•   企業の事例、企業のス
    トーリーを徹底的に抽出
    「それってあるある」
    そこから学習理論が語り直
    されている
Creating Ecosystem of Research
③出会いをつくる:Learning bar


•   企業の人事担当者を対象に
    したイベント「Learning bar」

•   対話を中心としたイベント
    よくあるセミナーの
    ①聞く②聞く③聞く④帰る
    を超える
Creating Ecosystem of Research
しばらくすると・・・
イノベータに続き、アーリーアダプター
④コミュニティメディアになる
•   マスメディアの話題に
    なりようのない規模

•   コミュニティ
    メディアをつくる

•   興味関心の持続
    潜在層への働きかけ

•   Nakahara-Lab blog
    Nakahara-lab M@il Maga
    Twitter : nakaharajun
    Facebook : nakaharajun
Creating Ecosystem of Research
⑤みんなでプラットフォームをつくる

•   人事責任者、研究者で
    「自腹」で創った非営
    利型・一般社団法人


•   1人1ラボ時代:実務家
    も、研究者も、それぞ
    れが「ラボ」をもって
    探究・イベントを行う
知識生産の2つの様式:M.ギボンスのモード論

•   モード1の科学      • モードⅡの科学
    • 同業者の関心       • 社会的の関心
    • 研究者個人で生産     • 異領域の研究者
                   実務家と研究者
    • 同業者の相互評価     コラボレーション
    • 同業者のみに流通
                  • 社会に流通
モードIIの駆動 : 実務家と研究者のエコシステム
Emerging Research Eco-system
Researchを生み出すためのエコシステム




          共同研究の成果
結局、二律背反ではない

エコシステムをつくるから
  研究ができる

研究を生み出せるから
エコシステムを維持できる
昔からあったよね

1980年代:郵便・月刊誌でつながる
1990年代初頭:パソ通でつながる
 2000年代:ソーシャルメディア

「研究者」「メディア」「実務家」
     エコシステム
まだ道半ば・・・
道の先には何が待ち受けているか?
「幸せな未来」か、「地獄」か
Take Risk!
リスク論の智慧:「リスクゼロの地平」はない

     変化の時代にあっては
  「リスクをとらないこと」もリスク
みんなが向こうに走るなら
逆向きに進路を取れ!
Creating Ecosystem of Research

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