SlideShare a Scribd company logo
⽇日本  IBM  株式会社
2016/09/27
Linux Foundation Hyperledgerと
IBM Blockchain
IBMが考えるブロックチェーン技術
IBMはブロックチェーンを以下の4つの技術要素に分類して整理しています。	
スマート
コントラクト
暗号技術分散台帳
合意形成
電⼦子署名機能、認証機能など
により、取引の正当性・
機密性を確保するための技術
契約条項を組込み、取引ルール
を規定・実⾏行行したり、業務処理理を
実⾏行行する機能(ブロックチェー
ン上で動くプログラム)
参加者間で取引の完全性を
システム的に検証し保証する
仕組み
ビジネスネットワーク上の
参加者間で共有される、新規
登録のみ可能な取引データが
保存された台帳
取引時間の短縮(トランザク
ション処理理時間を⽇日から分に)
仲介者のオーバーヘッド
やコストの削減
セキュリティー
リスクの削減
利点
Linux  Foundation  Hyperledgerプロジェクト
Linux  Foundationʼ’s  Hyperledger  Project  Announces  
30  Founding  Members  and  Code  Proposals  To  Advance  Blockchain  Technology
https://www.hyperledger.org/news/announcement/2016/02/hyperledger-‐‑‒project-‐‑‒announces-‐‑‒30-‐‑‒founding-‐‑‒members  
※  ⽇日本のベンダーも多数参加
その後  …
§ ステコミの議⻑⾧長に、クリス・フェリス(CTO  IBM  Open  Technology)が就任
§ 初回のベース・ソースコードとして、
IBMとDAH社の提供分を採⽤用。すでにfabricを公開。
§ Apacheライセンスで多くのContributionが提供された。
インテルSawtooth  Lake、Ripple、IBM  Open  Blockchain、
Digital  Asset  Holdings  Hyperledger、Blockstream
https://github.com/hyperledger/hyperledger/blob/master/proposed-‐‑‒contrib.md  
§ Executive  DirectorにApache  Foundationのファウンダーの
  ブライアン・ベーレンドルフが就任
2016/2/9 プレス発表
4
Premium	
General
Linux Foundation Hyperledgerのアーキテクチャー
HyperledgerーンのAPI、SDK、CLI
Hyperledgerのサービス
メンバーシップ
メンバーシップ・
サービス
登録
アイデンティティ管理理
監査可能性
ブロックチェーン
ブロックチェーン・サービス
コンセンサス
マネージャ
P2Pプロトコル
トランザクション チェーン・コード
チェーン・コード・
サービス
セキュア・
コンテナ
セキュア・
レジストリ
イベント・ハブ
分散台帳
台帳ストレージ
様々なコンセンサスモデルに
対応することができます。
(ハッカソンでの、PoW実装事例例有)
パーミッション付き
ブロックチェーンに対応
軽量量コンテナーベースの
スマートコントラクト実⾏行行環境
⾮非同期のイベント実⾏行行が可能
© 2016 IBM Corporation6
セキュリティ・プライバシー要件
# セキュリティ要件 実現⽅方法
1 ユーザー認証 アプリケーション上でユーザーIDとパスワードを⼊入⼒力力し、認証を⾏行行う。
既存のSSOなどとの統合も考慮し、ユーザー認証はブロックチェーン外で⾏行行い、アプリケー
ション上でブロックチェーン上のユーザーID  (Enrollment  ID)  との結び付けを⾏行行う。
2 ブロックチェーン上でのユーザーやノード認証 それぞれのユーザーやノードに対して  Enrollment  ID  が割り当てられ、それによってユー
ザーやノードが認証される。
3 トランザクションの改ざん防⽌止 メンバーシップサービス(認証局)の発⾏行行した電⼦子証明書(Tcert)  によってトランザク
ションに署名を⾏行行う。
4 匿匿名性の確保 トランザクション毎に匿匿名証明書を発⾏行行することで、ユーザーのアイデンティティを秘匿匿し
たり、複数トランザクションが同⼀一ユーザーに紐紐づけられることを隠蔽することができる。
5 トランザクションのデータの保護 Security/privacy  機能を有効にした場合、トランザクションのデータは暗号化される。
PBFTでは暗号化されたデータのハッシュ値に対してコンセンサスを取るため、通信経路路上
ではデータは完全に暗号化されている。
6 ファイルシステム上のデータの保護 ファイルシステム上に保管されたデータ(トランザクションのデータおよびKVS)は、暗号
化される。
7 アクセス制御(実⾏行行・参照制御) チェーンコード内で、トランザクションの署名と、トランザクション実⾏行行者の電⼦子証明書を
確認し、トランザクション実⾏行行者の権限に応じたアクセス制御を⾏行行う。(例例:⾃自社にアカウ
ントを持たない顧客の情報は⾒見見えない、など)
8 ブロックチェーンプラットフォーム⾃自体への
攻撃
システム管理理者が悪意を持って攻撃した場合に、データのプライバシーが侵害される可能性
がある。次期バージョンのコンセンサスアルゴリズムで対応予定。また、ハードウェアのセ
キュリティ機能によりシステム管理理者の不不正を防ぐようなサーバーもある。
7
Ecert
署名鍵(公開鍵)
検証ノード
取引台帳
Ecert認証局
Enrollment CA
①ユーザー登録
②Ecert
発行
ブロックチェーンに対して、
⑤Tcertを用いてトランザクションに署名
⑥Tcertを用いて暗号鍵交換
Tcert認証局
Transaction CA
Tcert
署名鍵(公開鍵)
暗号鍵
③Ecertを用いて
Tcert発行要求 ④Tcert発行
Enrollment ID
暗号化されたEnrollment ID
※毎回違うTcertを使えば、それぞれの
トランザクションは違うユーザーから
発行されているように見える
ユーザー
IBMのBlockchainへの取り組み
IBM Blockchainは、Linux Foundation HyperledgerをベースにしたBluemix上のBlockchain環境とスマート
コントラクトのサンプルプログラムや開発環境を提供しています。また、東京においてもブロックチェーン・
ガレージの提供を開始しました。
Linux Foundation Hyperledger
https://github.com/hyperledger
数多くのオープンソースソフトウェアを
排出しているLinux Foundationコミュニティの
Blockchainファブリック開発プロジェクト。
IBM  Bluemixガレージ  for  Blockchain
https://www.ibm.com/blockchain/garage.html  
ブロックチェーンの活⽤用を促進するためのアプリ開発を
⽀支援するためのIBM  Bluemixガレージ  for  Blockchainを、
ロンドン、ニューヨーク、シンガポール、東京で提供
します。⼤大企業からスタートアップまでを対象に、
デザインシンキングやリーンスタートアップの⼿手法を
駆使したモバイル系アプリ開発⽀支援します。
IBM Blockchain
https://console.ng.bluemix.net/catalog/services/blockchain/
Bluemix上のサービスの⼀一つとして提供される
Hyperledgerのインフラ環境。ボタン⼀一つで起動させる
ことができます。また、IoTプラットフォームとブロッ
クチェーンを連携させるWatson IoT with Blockchainの
提供を予定しています。
IBM Blockchainデモ
https://github.com/IBM-Blockchain
Hyperledger上で動くスマートコントラクトのサン
プルやJavaScript/nodejsライブラリ、デモアプリ
をソースコードとともに公開しているサイト。デ
モアプリであるmarblesは⼆二者間でマーブル(⽟玉)
をやりとりするデモアプリで、ボタンをクリック
するだけでBluemix上にデプロイできるDevOps環
境のテンプレートとしても機能する。
Bluemix でのブロックチェーンアプリケーション開発
Bluemix でのブロックチェーンアプリケーション開発
ブロックの中身の確認
ノード状態の確認
REST API
ログ
参考)Watson IoT with Blockchain	
Watson IoTに収集されたセンサーデータをnode-redというエディターを通してセンサーデータを
フィルタリングし、特定のデータを参加者間で共有する確定データとしてBlockchainに書き込みます。
現在リリース前ですが、Webサイトからデモイメージを体験できます。
https://discover-iot-blockchain.eu-gb.mybluemix.net/iot-blockchain.html 	
トレードファイナンスのケースで説明します。	
1. 中国の工場で生産された商品が船に
荷積されたことを港のセンサーが検知して、
確定情報がクラウドにアップされ、
ブロックチェーンに書き込まれます。	
2. 船が日本の港に到着して、荷物が
トラックに積まれたことをトラックの
センサーが検知して確定情報がクラウドに
アップされ、ブロックチェーンが更新されます。	
3. 荷物が目的地に到着したことをトラックの
センサーが検知して確定情報がクラウドに
アップされ、ブロックチェーンが更新されます。
参考)Watson IoT with Blockchain	
Bluemix上のシステム構成図を添付します。
IBMグローバル・ファイナスによるサプライチェーン・ファイナンス	
https://www.youtube.com/watch?v=F0P7NM7d-ps&feature=youtu.be
$$パートナー
IBM グローバル
ファイナンス
サプライヤー
§  IBMグローバル・ファイナンス (IGF) は世界中の 4,000 以上のサプライヤーやパートナーにまたがる
サプライチェーン・ファイナンスを提供しています。
§  パートナーは、サプライヤーから購入をするときに、融資を受けます。
§  2014年には290万件以上の取引があり、IBMは450億ドル(約5兆4千億円)の融資を行っています。
§  一方で、年間25,000件以上の争議が発生しています。
–  金額の不一致、商品が届かない、など
→ ブロックチェーン上にパートナー、サプライヤー、銀行、運送業者などすべてのやりとりを記録
することで、プロセスの見える化を行う
–  決済にかかる時間の短縮し
–  争議の件数を削減、解決までの時間を短縮します
発注
商品発送
金融市場におけるポスト・トレード処理

More Related Content

PDF
Polkadotの紹介
PPTX
OSS開発支援Stakes.Socialの使い方
PPTX
約束としてのスマートコントラクト (Smart contract as a way of promise) 
PDF
札幌Ibmクラウド勉強会 blockchain
PDF
札幌Ibmクラウド勉強会 blockchain
PDF
Blockchain EXE #16:Hyperledger fabricの技術動向とファイナンシャルエンジニアリング視点でのトークンエコノミー|平山 毅...
PDF
Blockchain EXE #1ブロックチェーン技術の可能性について解説|IBMコンサルティング・アーキテクト 平山毅
PDF
Hyperledger Fabric 概説
Polkadotの紹介
OSS開発支援Stakes.Socialの使い方
約束としてのスマートコントラクト (Smart contract as a way of promise) 
札幌Ibmクラウド勉強会 blockchain
札幌Ibmクラウド勉強会 blockchain
Blockchain EXE #16:Hyperledger fabricの技術動向とファイナンシャルエンジニアリング視点でのトークンエコノミー|平山 毅...
Blockchain EXE #1ブロックチェーン技術の可能性について解説|IBMコンサルティング・アーキテクト 平山毅
Hyperledger Fabric 概説

Similar to 20160927 ibm blockchain (20)

PDF
Token Operability WebX Hyperledger Workshop IBM Tsuyoshi Hirayama 20230726.pdf
PDF
Hyperledgerプロジェクト概観
PDF
BlockchainEXE_IBM特集 Cloud Satelliteで実現する分散クラウド時代のIBM Blockchain Platform An...
PDF
Cloud Satelliteで実現する分散クラウド時代のIBM Blockchain Platform Anywhereとエコシステム | 日本アイ・ビ...
PPTX
IBM blockchain Introdution for marketer 20161216
PDF
パネルディスカッション : エンタープライズブロックチェーンの活用例
PDF
Hyperledge meetup 20210908 パネルディスカッション : エンタープライズブロックチェーンの活用例 IBM 平山毅
PDF
(きっと)あなたにも出来る!Hyperledger composer でブロックチェーンアプリを動かしてみた
PDF
(きっと)あなたにも出来る!Hyperledger Composer でブロックチェーンアプリを動かしてみた
PDF
エンタープライズブロックチェーン構築の基礎
PDF
OCHaCafe #4 Hyperledger Fabric アプリケーション設計入門ガイドでしゃべった内容+おまけ資料
PDF
Hyperledger Fabric のプラットフォームおよびインフラ運用
PPTX
Hyperledgerのチュートリアルで理解する基幹システム向けブロックチェーンハンズオン
PDF
Hyperledger Fabric 1.0 概要
PDF
Hyperledger Projectの概要
PDF
BMXUG女子部 ブロックチェーン
PDF
20190423 hl meetup business blockchain_ver 0.2配布用
PDF
サステナブルファイナンス分野における日立の取り組み
PPT
既存 IBM Notes アプリにブロックチェーンを適用するよ! (きっと)動くよ!!
PDF
MinChain – Bitcoin ライクな最小限のブロックチェーン実装
Token Operability WebX Hyperledger Workshop IBM Tsuyoshi Hirayama 20230726.pdf
Hyperledgerプロジェクト概観
BlockchainEXE_IBM特集 Cloud Satelliteで実現する分散クラウド時代のIBM Blockchain Platform An...
Cloud Satelliteで実現する分散クラウド時代のIBM Blockchain Platform Anywhereとエコシステム | 日本アイ・ビ...
IBM blockchain Introdution for marketer 20161216
パネルディスカッション : エンタープライズブロックチェーンの活用例
Hyperledge meetup 20210908 パネルディスカッション : エンタープライズブロックチェーンの活用例 IBM 平山毅
(きっと)あなたにも出来る!Hyperledger composer でブロックチェーンアプリを動かしてみた
(きっと)あなたにも出来る!Hyperledger Composer でブロックチェーンアプリを動かしてみた
エンタープライズブロックチェーン構築の基礎
OCHaCafe #4 Hyperledger Fabric アプリケーション設計入門ガイドでしゃべった内容+おまけ資料
Hyperledger Fabric のプラットフォームおよびインフラ運用
Hyperledgerのチュートリアルで理解する基幹システム向けブロックチェーンハンズオン
Hyperledger Fabric 1.0 概要
Hyperledger Projectの概要
BMXUG女子部 ブロックチェーン
20190423 hl meetup business blockchain_ver 0.2配布用
サステナブルファイナンス分野における日立の取り組み
既存 IBM Notes アプリにブロックチェーンを適用するよ! (きっと)動くよ!!
MinChain – Bitcoin ライクな最小限のブロックチェーン実装
Ad

More from Masanobu Takagi (13)

PDF
第一回 岐阜県DX推進コンソーシアム 生成AI WG 勉強会資料(株式会社リーサ高城勝信)
PDF
君たちはどう学ぶか?生成AI時代のキャリア形成を考える
PDF
システム構築の基礎
DOCX
プログラミング未経験者を対象としたインタラクティブシステムの演習授業の開発
PDF
APIエコノミーを支える技術基盤
PDF
キッチンカーマッチング
PPTX
Activity Plan of API Lab AIZU@AiCT
PPTX
テクノロジーの民主化
PPTX
デジタル決済のまとめ
PPT
2016 サイバスロン報告
PPTX
SFCアカデミーキャンプ2016 人工知能
PDF
Blockchain@OSC Kyoto 2016
PDF
ちば自転車マップと今後 20150611
第一回 岐阜県DX推進コンソーシアム 生成AI WG 勉強会資料(株式会社リーサ高城勝信)
君たちはどう学ぶか?生成AI時代のキャリア形成を考える
システム構築の基礎
プログラミング未経験者を対象としたインタラクティブシステムの演習授業の開発
APIエコノミーを支える技術基盤
キッチンカーマッチング
Activity Plan of API Lab AIZU@AiCT
テクノロジーの民主化
デジタル決済のまとめ
2016 サイバスロン報告
SFCアカデミーキャンプ2016 人工知能
Blockchain@OSC Kyoto 2016
ちば自転車マップと今後 20150611
Ad

20160927 ibm blockchain