図書館システムの要求分析 ワークショップ 大図研福岡大会 図書館システム分科会
今日の流れ 要求分析とは? SBVA 法( Scenario-Based Visual Analysis ) シーンを決める シナリオを考える: ユースケース アクタと関係を抽出する 附: ユースケース図 アクタ関係表 アクタ関係表を分析する
要求工学とは システム構築におけるユーザーの要求を、科学的に定義するための方法や考え方の総称。“ユーザーは何が目的なのか”、“どういった機能が必要なのか”と いった要求をまとめ、それをシステムに正しく反映させる手法全般を対象にする。主な領域は、システム構築の最上流工程である要求定義の手法だが、それ以外 にも、要求の変更を管理する手法や、要求が適切に反映されているかどうか検証する手法を含む。  http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Keyword/20070202/260535/
要求分析とは 要求を完全にユーザや顧客が要求を決められることはできません。ユーザ・顧客は実現したいことを大まかに記述することはできます。しかしながら、設計者が 理解できる言葉になっていません。また、想定される総てのケースについての挙動の記述できているわけではありません。複数のユーザ・顧客がいる場合、それ らのニーズが整合していない場合もあります。ユーザや顧客は、他のステークホルダ要求はわかりません。よって、要求分析によって、完全な要求に変換する必要があるのです。この際に、上述したような国、会社及びプロジェクトの環境も考慮する必要があります。 つまり、曖昧模糊とした顧客・ユーザのシステムに対する要望およびその他のステークホルダの要求から、設計者が理解できる言葉で記述された要求を作成するための系統的なプロセス・手法が要求分析なのです。 http://se.rdy.jp/ra.html
「業務分析は業務全体を深く理解するための作業 」 業務で用いる IT システムを開発するそもそもの目的は、業務におけるビジネス上の要求を達成するためである。ビジネス要求に合致する IT システムを 正しく設計するためには、その前提として開発に関わるステークホルダ全員が、対象となるビジネスの全体像に対する共通理解を得ておくことが望ましい。 IT  システムの開発においては、ビジネスには精通しているものの IT には詳しくないユーザ側の非技術者と、その逆の立場である IT 技術者とが共同で作業することが多い。このとき、 IT 技術者はもちろんであるが、ユーザ側の担当者であっても自分のビジネスの全体像について案外理解していないものである。 こ のような状況で IT システムを構築しても、ビジネス要求を達成できるシステムができ上がることはまずない。担当者がよく知っている一部の業務だけが改善さ れた、部分最適に留まってしまう可能性もある。これを避けるためにも、業務分析を実施してビジネスの全体像を捉え、全体最適を目指すことが重要だ。 ( http://www.thinkit.co.jp/article/43/1/   より)
SBVA 法 Scenario-Based Visual Analysis シナリオ図解化分析法 非技術者でも IT システムの要求分析を行えるような業務分析の手法の一種 業務の作業手順を、図解を用いてビジュアライズすることにより、システムのユースケースを抽出することができる
シナリオ シーン例: 学生がリポジトリから文献を入手する 「学生が」->主アクタ 達成すべき目的を書く 1タスク 20 分間で終わる程度のタスクが目安 それ以上だと、複数のタスクが混在している可能性
学生が、リポジトリから文献を入手する シナリオ(主成功シナリオ) 学生が、グーグルに論文名を入力する グーグルは、検索結果を表示する 学生は、検索結果の中から、論文のデータを選択(クリック)する グーグルは、リポジトリへ跳ばす リポジトリは、論文のメタデータを表示する 学生は、PDFのリンクをクリックする リポジトリは、PDFを表示する
「ユースケース」風な書き方 主成功シナリオ: まずはどうなるとタスクがきれいに完結するかを一本書く。 「○○{が|は}( 必須 )、    △△{から|で}    ▲▲{を|に}     ×× する( 必須 )。」    の形式で書く。
ユースケース ユースケース ( Use Case )とは、ソフトウェア工学やシステム工学でシステム(あるいはシステムのシステム)の機能的要求を把握するための技法である。各ユースケースは、何らかのビジネス目標 / 機能に関するシナリオでの アクター (actor) と呼ばれるユーザーとシステムのやりとりを描いたものである。ユースケースのアクターはエンドユーザーの場合もあるし、別のシステムの場合もある。ユースケースでは技術専門用語をなるべく使わず、エンドユーザーやそのビジネスの専門家に分かり易い用語を用いる。ユースケースの作成は、ビジネスアナリストとエンドユーザーが共同で行うことが多い。ユースケースとユースケース図は厳密には区別されるべきものである。 出典 :  フリー百科事典『ウィキペディア( Wikipedia )』
ユースケースの場合 主成功シナリオから外れる:例外処理 拡張条件 1a  学生は、 OPAC に論文名を入れる 2a Google の結果は 0 件だった 3a Google の結果に、論文がなかった 3b  論文はあったが、電子化されていなかった 4a  リンク切れだった ・・・・・・・・
作業要素相関図 名詞要素 (~は) 名詞要素 (~を) 名詞要素 (~から) 動詞要素 (~する) 同じものはまとめて書く(上に重ねていく)
作業要素相関図 学生 論文名 Gooble 同じものはまとめて書く(上に重ねていく) 検索結果 論文データ メタデータ PDF リポジトリ 入力する 表示する 選択する 跳ばす
作業要素相関図で分かること 孤立している要素(関係線が 1 本しかないもの)は、シナリオに不備がある可能性 統合が不十分な可能性 粒度の調整 似たような要素をまとめられるか 関係線が集中しすぎている要素は、分割できるか システムの境界を検討する どの範囲をシステム化するか
作業要素相関図 学生 論文 Gooble 同じものはまとめて書く(上に重ねていく) 赤線を、追加・修正した。 検索結果 メタデータ PDF リポジトリ 入力する 表示する 選択する 跳ばす
作業要素相関図:作成するシステムの範囲 学生 論文 Gooble 同じものはまとめて書く(上に重ねていく) 赤線を、追加・修正した。 検索結果 メタデータ PDF リポジトリ 入力する 表示する 選択する 跳ばす
ユースケース図 学生 Gooble リポジトリ 入力する 表示する 選択する 跳ばす 表示する 選択する 跳ばす
アクタ関係表 が|は に|を|で メタデータと PDF をリンクする 結果を跳ばす PDF を選択する リポジトリ 検索する 論文名を入力する Google (に) メタデータを表示する PDFを表示する 検索結果を表示する 学生 リポジトリ Google 学生(が)
アクタ関係表の分析 対角線: アクタ自身が達成すべきこと      なにかが足りない? この場合: 「リポジトリが Google に、○○すること」はない?
作業の手順 シーンを決める シナリオを、模造紙の左半分に書き出す 訂正できるよう間を空けて 名詞要素と、動詞要素を、ポストイットに書き出す ポストイットを、模造紙の右半分に貼りながら、作業要素相関図を作る 模造紙の余白(右下?)にアクタ関係表を作る
参考文献 中鉢欣秀ほか ,  シナリオの図解化によるユースケースモデリング ( ソフトウェア工学 ),  電子情報通信学会論文誌 . D-I,  情報・システム , I- 情報処理 , 2005.4.1, 88(4), pp.813-828 中鉢欣秀 , 大岩元 ,  シナリオと図解を利用するソフトウェアデザイン手法 ,  ヒューマンインタフェース学会研究報告集  : human interface, 2004.11.5, 6(4), pp.75-76 山本修一郎 ,  要求工学 ( 第 39 回 ) アクタ関係分析 ,  ビジネスコミュニケ - ション , 45(1), 2008/1, pp.100-10  アリスター・コーバーン著  ;  ウルシステムズ監訳  ;  山岸耕二 [ ほか ] 訳 ,  ユースケース実践ガイド  :  効果的なユースケースの書き方 ,  翔泳社 , 2001.11

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